プロローグ 前世の記憶
プロローグ 前世の記憶
と、あの世の交通事情
森田健氏著作の『生まれ変わりの村』シリーズを読んだことがあるだろうか。
中国奥地に、前世の記憶を持つ人々が集中して生まれる村があるという。森田健氏は、そうした人々や前世の家族への取材を通じて、生まれ変わりや死後の世界についての証言を記録している。
前世で誰だったのか。
死んだあと、どこへ行ったのか。
なぜ、前世の記憶を持ったまま生まれてくる人がいるのか。
そして、生まれ変わるとき、人は何を忘れ、何を覚えているのか。
もちろん、そこに記された証言が、すべて科学的に証明された事実だというわけではない。
けれども、もし、そこに語られているような世界が本当に存在するとしたら。
死んだ人々は、いったいどこへ行くのだろう。
天国へ向かう者。
地獄へ向かう者。
もう一度、この世に生まれてくる者。
彼らは、どうやって行き先を決め、誰に案内され、どのような手続きを済ませるのだろうか。
生きている人間の世界に役所があるのなら、死んだ人間の世界にも、受付くらいはあるのではないか。
そして、もし死後の世界にいくつもの川があり、それぞれの川が違う場所へつながっているのなら。
川から川へ移動したい死者は、どうすればいいのだろう。
まさか、泳ぐのか。
まさか、歩くのか。
それとも、誰かが乗り物を用意してくれるのか。
これは、そんな疑問から始まった、冥界の交通改善のお話である。
なお、これから登場する冥界総合受付課、四人の女性職員、そして中古モノレールをめぐる騒動は、すべて本作の創作である。
死後の世界にも、予算がある。
契約がある。
人手不足がある。
そして、なぜか片方だけなくなる靴がある。
――冥界の仕事は、今日も終わらない。




