表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/26

メロスたちは最下層へ向かった。

「それじゃあ、行きましょう。

出てくる魔物は、メロス、あなたに全て倒してもらいたいのだけど、お願いできるかしら?

道を開くためにも、魔力はできる限り残して起きたいの」


目の前に現れたゴブリン3匹を見ながら、サマーが言う。

メロスはゴブリンを蹴り飛ばすと、他の2匹を巻き込んで肉塊に変えた。


「これでいいか?」


「ええ、ありがとう」


サマーは満足そうに頷いた。


「私はいいんですか?」


「ええ、魔力を温存しておいて」


「わかりました」


桜は若干不満そうに返事をした。


「あっ、今回は素材を取るとかは考えなくていいわ。まあその状態なら、魔石も粉々になってそうだけどね」


「そうか、ならば無意味に殺す必要はなかったか」


「メロスに任せるわ」


そして、まるで何事もなかったのように、3人は歩き出す。





「しかし気になったのだが、なぜサマー1人では、この迷宮を探索しなかったんだ?」


メロスが気まぐれに質問する。


「そう言われると、サマーさんならすぐにでも調べに行きそうな気がするんですけど」


桜も不思議そうに、サマーの答えを待つ。


「この迷宮、時々不自然なことが起きるよ」


サマーが迷宮の壁に触れながら、答えた。


「不自然?」


「最下層にいた時、前触れなく空間が曲がったの。

最下層にいるはずなのに、まるで私を誘い込むように、退路が塞がって、下への道が開いたわ。

明らかに危険な雰囲気だったから、空間魔法で逃げたけどね」


「そうか、だが意外だな。サマーなら喜んで下に行くイメージだったが 」


メロスが首を傾げた。


「私は冒険者じゃないから、無謀なことはしないわ

命あっての研究よ」


メロスを追いかけ回したとは思えない言葉に、桜が微妙な目を向けた。


「行っておくけど、桜ちゃん。

この世界には、いえ、どの世界にも上には上がいるわ。

私もかなり強い方だけど、勝てない人には勝てないのよ」


サマーが桜に諭すように言った。


「ええ、知ってます。

そこの筋肉エルフには、どんな手段を使ってもかすり傷1つ連れられなかったので」


桜はこの世界に来た直後こそ、『チート来た』と一瞬、調子に乗った。

しかしメロスがいたため、すぐに『ああ、本物のバグキャラだ……』と現実を理解した。

メロスがいたからこそ、桜は1年も訓練に費やしたのだ。

そして、絶対に勝てない相手がいることも理解している。


「そうね。

そういう意味では、桜ちゃんはラッキーだったわね。羨ましいくらい」


サマーが桜に笑いかけた。

そんなやりとりをしている間も、メロスは出てきた狼や角のあるウサギ、羽の生えた猿たちの意識だけを奪っている。

それを横目に見ながら、桜たちは会話を続けた。


「羨ましいって、どういう意味ですか?」


「そんなに深刻な話ではないわ。

ただ、桜ちゃんほど優しい出会いじゃなかっただけ。

私が勝てない相手と出会ったのは、この世界に来て20年経った頃だったわ」


「誰に、出会ったんですか?」


「任命官のナンバー3よ。彼に会った時、死を明確に感じたわ」


桜が唾を飲んで、話の続きを待つ。

それに気がつきながらも、サマーは黙って足を止めた。


「……さて、そろそろ30層目よ。

くだらないお喋りはやめましょう。

私が道を開くから、その間、私を守ってくれるかしら?」


「うむ、任せろ」


メロスが請け負う。

桜は不承不承で頷いた。


「始めるわ、何が出てくるかわからないから注意して」


サマーが壁に手を向ける。

すると壁に穴が空き、下へと続く坂道が現れた。


「メロス、何か気配は感じるかしら?」


サマーが聞く。

すると、メロスは首を振った。


「生き物の気配はないな。

しかし、サマーは空間魔法で把握できるのではないか?」


「残念だけど、空間が歪み過ぎているわ。

だから私にはわからないの。

ところで一応聞くけど、どれくらい深いかまでは、わからないわよね?」


サマーが僅かな期待を込めて、メロスに尋ねた。


「それよりも、大事なことがありそうだぞ」


「何かあったの、メロス?」


「生きていない気配はうじゃうじゃある。

ゾンビとやらが、団体で待っているようだ。

気をつけた方がいいだろう」


それを聞いてサマーが思案する。


「ゾンビ、ね。

桜ちゃん。

私が言った、出れなくなくって彷徨っている冒険者の話は覚えている?」


「ああ、そういえばそんなことを言ってましたね。

……まさか、本当の話なんですか?」


桜が少し顔を青くする。

生き物の解体は、メロスに習ったが、人間のゾンビなんて会いたくなかった。


「それは怪談話よ。だけどここは、能力の高い冒険者が、行方不明者になることの多い迷宮なのよ。

その理由がわかるかもね」


桜はめちゃくちゃ嫌そうな顔をする。


「その推測が当たらないことを願ってます」


「下で待っているのは、生前は名のある者たちだったと思うぞ。

少なくても、我らを追っていた4人組よりは、強い」


メロスが断言した。


「まあ、下りればわかることよ。

行きましょう」

お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ