ショータイム
ノシナの体に2本の注射器が刺さり押し飛ばされる。
「あぐっ、ぐぁぁぁっ!!」ノシナが苦しそうに叫ぶ。
「ガキめ…あたしをこれほどまでに追い詰めるとは大したものだが、最後の詰めが甘かったなぁ…!!」翼の代わりに腕があり、切断されたはずの右翼にあたる右腕も生えている。そして、右半身が血まみれになっている。
「て、てめぇ!!ノシナに何をした!!」
「そのガキより自分のことを心配しな!!そのガキは悪魔族と天使族の力を同時に発揮できない、つまり両方を同時に使うと暴走しちまうのさ!!」
「なにっ!!じっ、じゃぁ…」
「そうさ、今その2つの力を活性化させる薬をぶちこんだ!!あたしのギフトは『直接調合』!!素材をぶつけるだけで薬の調合ができるのさ!!もちろん入れ物は作れないがね。」
「がっ、チ、チイア…早く逃げろ…!!俺が…理性を失う前に…ッ!!」
「ほら、本人も警告してるじゃないか。あたしは十分回復薬を打ち込む時間ができて気分が良いんだ。お前は見逃しといてやる。」女を見てみると、確かに血にまみれていた右半身は通常の状態になっている。そして、チイアには2つの選択肢が課せられた。逃げるか、残るか。
「俺は…」逃げると言いかけた瞬間、脳裏にノシナの言葉がよぎる。
「繰り返したくないのなら、自分の力で立ち向かってみろ。」
「…逃げない…、立ち向かう!!」
「…っ!!」
「コイツバカかっ!!」女は自分の体に再び薬を打ち込み、翼を生やす。
「2人で仲良く死んどきな!!」そう吐き捨てると、空高くに舞い上がる。
「バカヤロウ…。あんなに逃げろって、言ったのによ…。具体的な…策はあんのか…?」
「そんなの無いね。でも、お前が言った自分の力で立ち向かう時が今だと思ったんだ。」すると、
フワァァァ…
チイアの体が緑の淡い光に包まれる。
「なっ、なんだこりゃ!?」
「…チイア。お前の体は多分…ギフトを覚醒させようと…してる。一か八か賭けだが…一つ策を思いついた。」
「にしても、腹減ったな。なんか知らねぇけどお前のエネルギーなら喰える気がする。寄越してくれないか?」
「察しの良いヤツだぜ。」
ズドォォォォォ
ノシナが今まで無理矢理抑え込んでいた莫大なエネルギーを放出する。それがチイアに吸収される。まるで、元あった場所に帰るように。
ブゥゥゥン
エネルギーは最後に細長い光の柱を作り、静かにチイアに収まっていく。
「バカなっ。あの強大な力を全て飲み込んだのか!?…どちらにせよ、今がチャンスだ!!」女はチイアに向かって急降下する。
「覚醒させたばかりのギフトはお預けだよっ!!『氷欠損毒撃』!!」チイアに3つの注射器が刺さる。一瞬で体が凍り、欠け、毒が全身に回る。
「かの有名な騎士でもこの攻撃にはなす術がなかったよ、終わりだ。」
しかし、
バッリィィィィィン!!!
チイアの体が炎に包まれ、氷を溶かし、欠けた箇所を炎で修復し、毒を焼ききった。
「この炎…!!まさかっ、お前のギフトは…!!!」




