表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あめめといろはのおなか大冒険~弟が飲み込んだ魔法のアメ玉を取り戻せ!~  作者: しぐまみゅう
第一章 はるとが魔法のアメ玉を食べちゃった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/8

1. はるとが危ない

 私の名前はいろは、小学3年生。近くの小学校に通っている。


 ――みーん、みーん


 もうすぐ夏休みだ。通学路にせみの声が響く。今日もお日さまはカンカン照り。プールの授業も楽しかった。いつも通り、ランドセルと水着を担いで、家に帰る。


 靴を脱ごうと、玄関に座ると、キャンディーの精霊『あめめ』がいきなり飛びついてきた。あめめは、お菓子のすばらしさを人間にもっと知ってもらうために、お菓子の国からやってきた精霊の見習いさん。ひょんなきっかけで我が家に居候している。


「いろは~! 大変なの!」


「どうしたの、あめめ?」


「はるとがね、はるとがね」


「あめめ、落ち着いて」


「飲んじゃったの!」


「な、なにを!?」


「お菓子の国の精霊王から預かった、大事な魔法のアメ玉! 精霊試験に必要なの」


 はて、精霊試験? 何の話だろう?


 手のひらサイズのあめめが、ピンクのポニーテールを振り乱し、私の周りを飛び回っている。ちょうちょみたいなきれいな羽をバタバタさせている。


 あめめは、おっちょこちょいなのが困ったところで、野良猫におそわれそうになっているのを助けて以来、すっかりなつかれてしまった。


 そして弟のはるとは2歳になったばかり。


 ――確か今日、ママは保護者会だったはず。


「ひ、ひなた兄ちゃんに相談しよう!」


 ひなた兄ちゃんは私の従兄。ひなた兄ちゃんは近くの医大に通っている医学部生だ。ひなた兄ちゃんの本当のお家は遠い。だから大学生の間だけ、うちで預かっている。今は試験が終わって、一足早い夏休みだ。


 ランドセルを背負ったまま、階段を駆け上がって、ひなた兄ちゃんの部屋になだれ込んだ。


「ひなた兄ちゃん大変!」


 ひなた兄ちゃんの部屋には、表紙に人体の絵が描かれた、難しそうな本がたくさん並んでいる。私の声が大きかったせいか、ひなた兄ちゃんが椅子から落ちそうになった。


「いろは、おかえり。あめめも、いきなりどうした? 驚かせないでくれ」


 ひなた兄ちゃんは読んでいた医学書を机の上に置いて、眼鏡のリムを押さえた。


「はるとが、はるとが、あめめの魔法のアメ玉を飲み込んじゃったらしいの!」


「アメ玉? はるとは息をしているか? 顔色は? おばさんは?」


「はるとは、息しているし、元気そう!」


 あめめが即答した。


「ママは今日保護者会だよ」


 私も答えた。


「それで、その魔法のアメ玉ってどのくらいの大きさなんだ?」


「大きさはね。えっと、こーのくらい」


 あめめが手を胸の前に出して、その大きさを表現する。よく分からないけど、どうやら普通のアメ玉より少し大きいみたいだ。


「はるとはどこ?」


「一階のリビング!」


 私はひなた兄ちゃんの後を追って、ランドセルを置いて、一階に駆け降りた。


 はるとはリビングの真ん中に積み木を広げて遊んでいた。テレビでは最近流行っている『パティスリー・サオトメ』のオーナー・パティシエの早乙女さんが、ワイドショーでコメントをしている。


「おねえたん、おかえり」


 はるとが覚えたての言葉で挨拶をする。最近気に入ってるゴーゴーライダーのTシャツを着て、ご機嫌だ。まあるいほっぺがかわいらしくて、天使のよう。


 ひなた兄ちゃんがしゃがんで、はるとの顔をのぞき込んだ。


「顔色は悪くないな。ねえはると、ちょっといい?」


「うん?」


「おくち、あーん」


「あーん?」


 ひなた兄ちゃんに言われて、はるとが不思議そうな顔で、お口を開ける。ひなた兄ちゃんは、スマートフォンのライトで口の中を照らしながら、奥までよーく確認した。


「口の中にそのアメ玉はないし、はるとの呼吸も問題ない。完全に飲み込んじゃったのかな? とりあえず、のどにつまらなくてよかった」


「飲み込んじゃったら、アメ玉はどうなるの?」


 あめめが心配そうに聞く。


「アメ玉だよな? おなかの中で消化、吸収されて、残りかすがうんちになって出てくる」


「うんち!?」


 私とあめめは口を揃えて言った。


「消化管のどこかでつまったらいけないし、今は元気そうだけど、小児科で診てもらった方がいいかも。おばさんに連絡しとくよ」


 ひなた兄ちゃんがスマートフォンで、ママにメッセージを送った。あめめが困った顔をした。


「魔法のアメ玉は、お菓子の国の精霊試験に必要な大切なものなの!」


「うーんと、試験のことはあめめが精霊王に謝るしかないんじゃないかな?」


「ダメ! このままだと、またマカロンの精霊のマカロに馬鹿にされる! それに万が一、失格になると二度と人間界に来ることができなくなる」


 精霊試験は重要な試験みたい。あめめが、しおれたお花みたいになった。


「そうだ! あのアメ玉は、魔法のお砂糖でできているの。だから――」


「だから?」


 あめめは少し言いづらそうに答えた。


「溶けたら魔力があふれ出す。はるとは魔力を持たない人間だから、危ないかも知れない」


「えええっ!」

「えええっ!」


 ひなた兄ちゃんと私の声が、思わず揃った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ