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第7話 『ワイルドボアステーキとチーズリゾット』

挿絵(By みてみん)

「さあ、あなたに再び、命を吹き込んであげるわ」


ワイルドボアの肉を見つめながら、私はそう呟いた。


「ルイズ。未だに料理する時の、その口癖直ってないんだな」


リアムが、イヒヒとからかうように笑いながら茶化した。


「うるさいわね。美味しいの作っても食べさせてあげないわよ」

「わるいわるい」


リアムは笑いながら軽く謝ってきた。私は無意識に言ってることだったから、少し恥ずかしくなった。

気を取り直して、料理に取り掛かる。


(まずは、ワイルドボアのステーキからね。)


ワイルドボアの肉を厚めに切り出す。


「うぉ、食べ応えある厚みのある肉だな。そそるぜ、これは」


リアムが唾を飲み込んで喉を鳴らした。フライパンに油を敷いて、肉に塩をふって焼き始める。


ジュウゥウウ!


肉から心地よい音が上がる。しばらく焼いているとワイルドボアの焼けた脂身の甘みが立ち昇ってくる。


(焼いてるうちに、もう一品用の肉を準備しなきゃ)


私は同じ肉を今度は肉を薄く切り出して短冊状に切り出す。


「もう、いい感じなんじゃないか?」


リアムが我慢できずに口を挟んでくる。


「ん?もうちょっとね」


一応、焼いてるのを確認するも、もう少し焼き色を付けたいので、そのまま焼き続ける。


(さあ、同時進行で、もう一品を作らなきゃ。まずは鍋にニンニクをいれてと)


ステーキとは別の鍋にニンニクを入れ、次第に色が白から茶色へと変わっていく。するとニンニクの香りが周りに充満する。


「やばいな。この匂いは余計にお腹が減ってちまう」


リアムが悶えているのを横目に、ニンニクと同じサイズに切り揃えた玉ねぎ、きのこを投入する。鍋の温度が上がっているのもあって、鍋に入った瞬間、一際、大きい音が響く。


ジュワアアアアアア!


そのあとに、フライパンのワイルドボアのステーキをひっくり返す。すると焼いていた面がカリカリになって、良い色に染まっていた。


(良い感じのきつね色になってるわね)


次は鍋の方の玉ねぎ、きのこにある程度、火が入ると今度は、先ほど短冊切りにしたワイルドボアの肉を入れて、そこにさらに水で洗っていない生米を入れる。生米と肉、野菜を油となじませて混ぜる。生米が触って熱々になるまで、温める。


ジュワジュワ、パチパチ!


フライパンのステーキが脂と肉から出てきた水分がぶつかり合っている音が二重奏(アンサンブル)となって奏でている。鍋の方をみると生米は熱々になっていた。そこに一気に水を投入する。


ゴワアアアアアアア!


熱々だった鍋が水の冷たさで一気に温度が下がって、地響きのような音が上がる。そこに塩、胡椒を入れたら、蓋をして水分がある程度、なくなるまで煮込む。


フライパンのステーキに目をやると、外側はいい感じに焼き上がっている。細い金串を刺す。この刺した金串を抜いて、赤い汁が出てくれば、まだ中は火が入っていないこととなる。そして、スッーっと金串を抜くと透明な汁が出てきた。きっちり火が入ってるサインだ。


「流石だな、ルイズ。ここは、さながら厨房のようだぜ」


リアムも最高潮とばかりにテンション高く声を出す。私は待たせてしまっているのを少し詫びるように、なだめるようにリアムに伝える。


「もう少しだからね」


ステーキは焼き上がった。が――これで終了じゃない。先ほど取ってきた葉っぱがここで満を持して登場する。その葉っぱは手のひらよりも大きいもの。それに焼いた肉を載せて包んだ(くるんだ)。この葉はホオノキという木の葉で、これで肉を包む(くるむ)ことで殺菌効果と、ホオノキの香りをまとわせてくれる。これでステーキは一先ず完成だ。


「葉っぱは、そう使うんだな。面白い!」


続けて、今まで焼いていたフライパンで、残っていたワイルドボアの肉を焼き始める。これは今晩の食事用ではなく明日の朝、昼飯用の肉だ。


ワイルドボアのステーキを焼いた時に出た脂を捨てずに、そのまま使っていく。なぜなら、その油はワイルドボアの肉の味や香りが付いた油だからだ。その油に潰したニンニクを入れて、ニンニクの香りを油に移していく。そのあとはバターを入れる。次第にバターは溶けていき、形がなくなり、バターが泡だけの姿になって泡立っていく。そこから、さらに火を言えると泡が少し茶色がかっていく。そうやって焦がしバターが出来上がり、そこにワイルドボアの残った肉を浸す。


先ほどと違って、今度はじっくりと弱火で焼いていく。溶けたバターをワイルドボアの肉塊に繰り返し、かけていく。それをかけるたび、バターの匂いが広がっていく。そうやって徐々に火を入れていく。


私は荷物の中から、魔法糸から作られた魔法アイテム『マジッククロス』を取り出す。


「それはなんだ?」


リアムが興味津々で聞いてくる。


「ああ、これ?マジッククロスっていって、魔法の耐性のあるマントやコートとかに使う布で作られたもので、これを使うと多少の炎なら燃えないのよ」


バッと広げてリアムに見せて説明を続ける。


「その性質を利用して、料理をじっくり焼くのに利用してるの。まぁ、そんなことに使ってるのは、教えてくれた師匠と私くらいなもんね」


そう言いながら、焦がしバターで焼いたワイルドボアの肉を、そのマジッククロスに包んで(くるんで)置いておく。


これで蒸し焼きになって、しっとりとした肉になるのよね。


「でも、これは明日用だから、今夜は食べないわよ」

「そうなのか……」


リアムが少しがっかりして肩を落とす。そうこうしているうちに、鍋の蓋がカタカタと音を上げて、出来上がりを知らせてくれる。


その蓋を開けると抑えられていた湯気が勢いよく吹き上がる。その鍋の中を覗く。するとゴポゴポいいながら米が水分を吸って膨らんで、弾ける。その様子はまるで白いマグマだ。普通の白米よりも水分が含まれていた。そこに少し牛乳を軽く入れて、良く混ぜる。


「うおっ!美味そうなリゾットだな」


我慢できないと言わんばかりにリアムが覗き込んでくる。


「さあ、仕上げはリアムにも手伝ってもらわなきゃ」

「おっ、俺にか?」


そう言うと荷物から牛乳とパルメザンチーズの塊を取り出す。そのパルメザンチーズをリアムに渡し、チーズを削って、鍋に入れてもらう。


「よし!仕上げて、とっとと食おうぜ。もう腹ペコだ!」

「頼むわね!」


お互いに声を掛け合うとリアムがチーズを鍋の上で削るとチーズがリゾットの山に雪化粧となって降り注ぐ。

牛乳を入れて少し水分量が増していたリゾットが次第に水分がなくなって、リゾットがずっしりと重くなっていく。


「よし!いいわよ。これで完成ね」


出来上がったリゾットを器によそう。ホオノキの葉に包んだワイルドボアのステーキを取り出す。すると、葉っぱの香りと肉の香りが混ざったいい香りが広がっていく。そのステーキを食べやすい大きさに切り出して、これも器へと盛り付ける。


肉とリゾット、それぞれに黒胡椒を振って、仕上げる。


「おおーー美味そうだな。おい!」


今にもよだれが垂れてきそうなリアムが声を漏らす。


「森の香り薫るワイルドボアのステーキとキャンプ飯チーズリゾットの完成ね!」


ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回のエピソードのマジッククロスはアルミホイルと認識していただけるとありがたいです。

明日は朝、夕の2話投稿になるのでよろしくお願いします。


少しでも興味を持っていただけたら下にある星マークでの評価をよろしくお願いします。作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な評価で構いません。

いいねや、ブックマークもいただけると本当に励みになります。

これから、連載していきますので応援よろしくお願いいたします。

何卒よろしくお願いいたします。

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