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本領発揮のダメチーター

跳ね飛ばされる体。

意識が戻ってくる......!


「気が付いたか?」

「......お前はいつからそこに!?」

「今だよ。」

意識がなくなっていたのはほんの一瞬だったはず。

その間に現れたということは......テレポートの異能力者か?

右手に持っているのは......箒?

学校の備品か?

それで俺と勝負しようというのか?

笑わせてくれる。


「お前、確か奥の手と呼ばれていたか。」

「あれは正直持ち上げすぎだ。そんなに凄い人間じゃないよ。人の助けがなければ何もできない。」

「そんな奴が俺とタイマンか?あれだけ足を引っ張っていたのに。」

こいつは逃げ続けていた。

いや、戦闘をするのをことさらに嫌がっていたように思う。

「タイマンで戦っても絶対に勝てない。」

「は?」

何を言い出すんだ、コイツは......

タイマンで戦っても勝てない?

ならなぜ俺に歯向かって......!?

「誰だ!?そこに居るのは!?」

後ろの方、隅の方に一人の影が見える。

黒髪の女......か?


「考える隙は与えない!」

目の前の男が箒をこちらに投げ槍の要領で投げてくる。

そんなもの効く訳が無いだろう!

「シールド!」

前のようなものなら時間はかかるが簡易的なシールドであれば貼りなおすのにそう時間はかからない!

箒が弾かれて地に落ちる。

待て......嫌な予感がする。

「上かッ!!」

見上げると大量のモノが落ちてきていた。

ここは体育館の非常階段の真下だったのか!?

何時からアイツはここに居た?

俺は常に精神を研ぎ澄ませていたから、ここに人間が居れば気づかないはずはない。

これも奥の手の仕業か?

あの肉体強化の異能力者がここに飛ばしたのはこのためだったのか!?

アイツの能力がテレポーターだったとして一瞬で人間をこの位置に配置しここに来たというのか!?

いや......待てよ。

であればあの女はなぜあんなところに居るんだ?

今のところあの女はまだ活躍していないはず。

ここに連れてきたのがあの女だとすればつじつまがあう。

だったら、ここに何人連れて来たんだ!?

咄嗟に色々な事が脳裏に浮かび、反射的にポケットからステンレスの粉末を取り出して投げた。

「シールド!」

展開されたシールドは最小限の範囲で自分の身を守る。

学校の備品らしきモノ達はシールドに当たって勢いを失った。

「どうした?この程度か?」

「ここからだ!」

「何!?」

男が叫ぶと同時に備品がガタガタと動き出した。

いや、これは......備品同士がつながり始めている!?

「これは!?」

「『鉄格子の監獄(アイアンプリズン)』お前の技だよ。」

小癪な!!

今は色々考えている暇はない!

ズボンの下ポケットから小瓶を取り出す。

この中に含まれているものは王水!

これでこのガラクタどもを全て土に返す!!

「『溶解(メルト)』!」

俺の異能力があればこの小瓶のような少ない液体だろうが何だろうが一瞬で体積を増やすことが出来る。

終わりだ!!

「見ろ!瞬く間にガラクタが溶けていくのを!この穴が俺が通れるサイズになった時、貴様の終わりだと思え!」

鉄格子の監獄(アイアンプリズン)も少しずつ修復がされているようだがそれと俺の能力では速さが全然違う!このサイズであればものの1分もかからずに終わる!!

大した事無いではないか!これだけ人数が集まったところで何かが出来る訳でもない!こいつの異能力は俺と同じようなモノみたいだが、それでも出力や準備の差は圧倒的!勝ち目などない!!

正味3人の異能力者だったが大したことないではないか!一つの学校に3人、生徒会長も含めると4人という異能力者の数ははっきりと言って異常だがただそれだけ!何かができると言ってもこんなセコい奇襲戦法で少しの間俺の足止めが出来るぐらいだ。他には何もできないクズどもの集まり!所詮は俺たち『人理の開拓者』の考えも理解できぬような一般人の群れにすぎん!

勝ったッ!この勝負、

「いいえ、すでにあなたはチェックメイトよ。一回目に彼を仕留め損なった時からね。」

誰だ......!?

振り返ろうとした瞬間に首筋に何かが当たる。

これは......傘の先端!

「誰だ!貴様は!?」

「あら、そういうときは自分から名乗るものよ。マナーがなっていないわね。」

何だ?この頭が微睡(まどろ)む感じは......?正常な判断力が少しずつ刈り取られているような気がする......

一体......ヤツは何者なんだ......?

これだけの人数をまとめ上げるヤツは......何者なんだ?


--------------------


「名前は......言わない。」

「......あら、そう。なら私たちも名乗る必要はないわね。」

「......」

帽子をかぶった男は完全にララのチートにかかっていた。

だが意志が強いのかなかなか誘導されてはくれない。

ララがいつもと変わらない表情でこちらに話しかけてくる。

「ジャッジマン。これは何か情報を聞き出した方が良いのかしら。それとも事態の収拾をするのが先かしら。私としてはこの人がどうなろうと関係ないのだけれど。」

「事態の収拾が先だろうな。」

「了解したわ。」

ララは目線をこちらから帽子男に戻した。

「まずは......あの大きな塔をなくしてくれるかしら。人目につくわ。」

「......嫌だ。」

「では体育館の壁を直してくれるかしら。それなら戦闘に影響はないでしょう?」

「分かった。」

見る間に壁が直る。

周りにその場所と同じ材質があれば大抵の物が作れるらしい。

俺は学校の備品を一つ一つつなぎ合わせて格子を作るのがやっとだったのに。

「良い子ね。よくできました。じゃあ次にあの塔の大きさを小さくしてもらえるかしら。少し小さくしたところで中の武器の数が変わらなければ戦闘に影響は出ないでしょう?」

「分かった。」

塔が少しずつ小さくなっていき人目につかない大きさになった。

ララの誘導はチートとララの会話術があって初めて意味を成す。

ここに至るまでにどれだけの人を口説き落としてきたのだろうと思うと少し畏怖の念と似たようなものを覚える。

「センサーの類も切ってくれると嬉しいのだけれど。誰か関係ない人が来て勝手に誤作動を起こしたら大変でしょう?関係ない殺しはしたくないでしょう。」

「そうだな。」

俺はあのセンサーをかいくぐるために小日向さんのチートを借りた。

センサーの位置を確認し、自分が誤射されることを防ぐために裏側にはセンサーをつけていないことが確認できたので配置をそのまま移行できたというのが実際のところである。

センサーさえなければあれはただの置物と化す。

センサーがピピッという音を立ててスイッチがオフになる。

「そう。良い子ね。」


「人理の開拓者の情報が聞きたい。出来るか?」

「やるだけやってみるわ。」

ララにそうお願いすると快く承諾してくれた。

今でこそララは俺に協力してくれるが前はとても天邪鬼(あまのじゃく)だった。

何故今はこんなに協力してくれるのかは分からないのだが......

「人理の開拓者というのについて教えてくれるかしら。私も同じような人間だから組織のことを知っておきたくて。」

「......分かった。」

男は少しためらったが最後には質問に応じた。

「人理の開拓者は崇高なる革命軍だ。この異能力者の存在自体を知らない社会を牛耳って支配することを目的に結成された集団だ。団員数は全員で20人ほどだが現在も団員は増え続けている。様々な異能力者が在籍している。」

「どんな人たち?」

「それは......分からない。実際に会ったことは少ないのでな。」

「なら実際に存在しているかどうかわからないわね。良いわ。もう結構よ。」

もしくはこいつが把握していないだけでさらに大きい集団である可能性もないことはない。

その可能性は否定したいのだが......


「この人、どうしようかしら。チートを使わないように約束して帰してあげても良いのだけれど。」

その時、後ろから声が聞こえた。

「あー、その人こっちに渡してもらおうか。」

「誰だッ!?」

いや、その声は......

「ぐーさん!?」

「知り合い何ですか?」

「あー、うん。ちょっとね。」

なぜぐーさんがこんなところに?......と思いかけたが文化祭だ。居てもおかしくはない。

「俺の知り合いならそいつの身柄を確保してくれる。警察には突き出せないだろう?」

「確保って......どうするつもりですか?」

「......悪いようにはしない......かなぁ。」

ざっくりした返事だ。

ぐーさんらしいと言えばぐーさんらしいのだが。

「この人信頼できるんですか?」

小日向さんが怪訝そうな目で......いや、本気で心配するような目でこちらを見つめる。

「あぁ。多分な。」

「多分ですか。......私は佐々木君がどうしようとかまいませんが......」

小日向さんは目を伏せながらそう言った。

「ぐーさん、本当に任せて良いんですね。」

「まあな。」

「ではお任せします。」

ぐーさんはすぐさまどこかに電話をかけると少しだけ話して会話を切った。

「あとで説明してもらいますからね。」


--------------------


「あー!ここに居た!!どんだけ探し回ったと思ってんのよ!!」

「いやすまん。」

「すまんじゃないわよ!急に走り出したかと思ったら何も言わずにどっか行って!心配もするでしょうが!それに並びかけてた列抜け出してきちゃったのよ!どうしてくれるのよ!」

「だから並んだままで居てくれって。」

「そんなこと出来る訳ないじゃない!そういう所はほんと昔から鈍感なんだから!あー、もう!ほら!行くわよ!」

............

「あのー。その人は?」

一同がキョトンとしている中、いきなり金髪の人が現れたと思ったら矢継ぎ早に口論し始めたのだ。

いや、金髪......まさか!?

「前、見せただろうが。」

「その人が奥さん!?」

「あら、ムネトシ君じゃない!久しぶり!元気してる?というかそんなに驚くことないじゃない!まさかあんた伝えてなかったの!?主人が口足らずで本当にすみません!分からないことあったらなんでも聞けばいいから!でも、教えてくれないこともいっぱいあるからそこは根気強く追及すれば聞き出せるはずよ!頑張って!!」

「は、はぁ......」

なんだかすごい圧迫感だ。

でも少しホッとした。

ぐーさんは俺の知らないところで悪いことをしているかもしれないと思ったが、奥さんがこんなにいい人なら信用も少しは出来るかもしれない。

にしても綺麗な人だな......

「佐々木くーん。目が点になっていますよー。戻ってきてくださーい。」

その瞬間、完全に頭が真っ白になった。

あ、切れた。

「佐々木くーん!どうしたんですか!?」


--------------------


「あ、やっと起きましたか。」

「......小日向さん。」

「もう閉会式終わっちゃいましたよ。」

「......その時もずっと?」

「閉会式には佐々木君の分まで出ておきましたよ。」

「あ.....そうですか。」

気が付くと保健室の中だった。

隣に傑は......いなかった。

怪我ならアイツの方が大きかったが、肉体強化でどうにかしたんだろう。

そんなことを難なくやってのけてそれを自信たっぷりに誇れるのがアイツの嫌なところだ。

むすっとしていると急に頭に柔らかい感触が伝わってきた。

「んぁ?」

「今日は頑張ったので特別に頭をなでてあげます。」

身をよじったところでどうにもならないのでされるがままである。

「......ありがとうございます。」

「どういたしまして。」

小日向さんがニコリと笑う。

こうして俺の長い長い文化祭が幕を閉じた。

文化祭編もこれにて閉幕です!

不審者は退治できましたが、数々の疑問も残されてしまったかも......?

これから少し幕間を挟んで新しい章に続きます。

ぐーさんは一体何者なのか?

人理の開拓者とは一体?

他にもたくさんありますが、おいおい語ることにしましょう。

末永くお付き合いください。

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