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友達は大切に

そうだった......

この時期になると、あいつらが騒ぎ出す。

昔よりも知り合いの数は減ったが、行事が近づくと少しずつ姿を現し始める。

自分は目の前に居る男をどうにかして説得しなければならない。


「今年は、どんな事をするのだ?ジャッジマン。」

「いや、今年は何もしないから。な?今年こそは普通に文化祭楽しもうよ。」


目の前の男は両手をヒラヒラとさせて、やれやれといった風な格好をする。

実にアメリカンな態度だ。


「我ら、黒狼団の誓いに基づき行動するまで。よって、我らが祭事にチートの存在を世に知らしめるのは契約によって定められし必然である!」

「そもそも、黒狼団って解散しなかったっけ?」

「してなぁい!!うやむやになったかもしれないが、まだ解散はしてなぁい!!そうやって変なあしらい方をするでなぁい!!!」


バレていたか。

確かに、メンバーも散り散りになってしまったが、解散はしていない。

というか、俺が骨折したこともあって、色々な事がうやむやになってしまったのである。


男は制服をマントのようにブワサァッと浮き上がらせて

「参謀のジャッジマンを奮い立たせるのも我らが務め!そして、魔王13番目の落とし子であるオルクス=ルシフェノンの魔眼契約の一つである!!」

「その、魔眼契約、聞くたびに一つ増えてるような気がするんだけど、気のせいなの?」

「なんのことだか。」

「嘘下手なんだから、しらばっくれるのやめたら?」

ピューピューと下手な口笛をふいてごまかそうとしている。

そんなことはどうでも良い。

些細な疑問だったのだ。


「さて、今年はどうするか。我々の長き戦いの日々に行われた行事よりも規模が大きく、出来ることの幅も広がっている。我らの存在を学校の凡才に伝えるには十分であろう?」

「長き戦いって、3年間だけだろ。それに高校では目立たないことに決めたんだ。」

「何を言っている、ジャッジマン!?もう貴君は学校のちょっとした噂になっているのだぞ!?」

「は?」

思わず大きな声が出る。

教室の端の方で話していたにも関わらず、何人かがこちらの方を振り向く。

驚きのまま俺はそのことについて尋ねた。


「噂になってるって.........どういうことだ?」

「当たり前である!貴君はすでに『中学校時代になんか凄いことをやっていたちょっとアレな人』として知れ渡っている!皆、羨望のまなざしで見つめていたぞ!!」

オルクス......田中はとてもうれしそうな顔でそう言った。

「それは小馬鹿にされてるんだろうが!しかも、結構冷たい視線だと思うんだが!?」

ダメだ!

コイツ、人の話の本質を全く理解していない!!

「俺の穏便な高校生活が......」

俺はがっくりと肩を落とした。


「おぉ!オルクスじゃねーか!元気してた?」

「黒狼団武力部隊特攻隊長の新崎殿ではないか!お互い久しぶりだな!」

「なんか、懐かしい響きだなぁ。あの日の光景が脳裏にまじまじと浮かんでくるぜ......あの頃は楽しかったなぁ。まぁ、俺の場合は今も結構楽しいけどな。」

二人はガッチリと握手を交わす。


「オルクスがここにいるってことは作戦会議だな?」

「流石、物分かりが早い!特攻隊長は今日もキレッキレだな!」

「これ......作戦会議だったのか。」

傑とオルクスは嬉々として話している。

オルクスはともかく、傑も今年も何かするつもりなのだろうか。

俺以外は乗り気というのが少々意外だ。


「本当に今年もやるのか?」

恐る恐る聞いてみる。

二人ともキョトンとした顔で見つめてくる。

中二病が元で出来たグループだ。

「もちろん!それが俺たち黒狼団だからな!」

「多分、ほかのメンバーもそれを望んでる。結局のところ、楽しかったんだ。普通のバカやってる中学生活とは違うものだったかもしれないが、その時間が無性に楽しかったんだ!」

唖然とする。

まさかこんなにもキッパリと言われてしまうとは。

チートを世の中に知らしめる。

そんな、誰の得になるか分からないようなことに賛同して集まってくるものが居ることが、不思議ではあるがちょっぴり楽しかったのもまた事実だった。

「俺たち、運命共同体だろ?」

「それは......誘い文句として正しいのか?」

「細かいことは気にするなって!」

俺は小さくため息を吐いた。

口の端に笑みをこぼしながら。


それから俺たちは文化祭の計画を立て始めた。

作戦会議とは言っていたが、まずは催しを見に行ったりする計画から立てている。

チートを世に知らしめるのも大事だが、文化祭を楽しむのも大事というコンセプトである。

「何やってるんですか?」

「うぉっ!小日向さんっ!?いつから居たんですか。」

「だからそう、影薄いみたいに言うのやめてくれませんか......」


「はははは、はじっ!初めましてっ!俺っ...私っ、オル...田中太一と申します!初めましてっ!」

「あっ、はい。初めまして。私、小日向時雨と言います。よろしくお願いします。」

「彼女、良い名前じゃないか!俺みたいな平凡な名前と違って。」

「何故それを、俺たちに向かって言うんだ。本人が目の前に居るのに。」


暫し流れる沈黙。


「まぶしすぎる...俺のような暗黒の存在にとってこれほどまでに眩しい存在は天敵になりかねん!」

「ごめんね、小日向さん。コイツ、女の子と話すの慣れてないんだ。」

「別に佐々木さんも同じようなモノなので、別に気にしてませんよ。」

「へ?」

「よく言った。小日向さん。」


俺も黙り込み、過去の言動を思い返す。

............

俺もそんな風に見えていたのか!?


「で、何やってるんですか?」

「黒狼団の会議だよ。」

「黒狼団?」

傑は端的に黒狼団について説明していた。

俺もオルクスも放心状態のため、ポカーンとみているしかない。

あれが......イケメンの余裕か...


「面白そうですね!私も入ってみます!」

「「「は?」」」

皆一致で唖然としている。

今度は傑も一緒だ。


「私も黒狼団に入ります!名前はアレだけど、やってることは私にもプラスになることだと思います。この能力隠すの大変だし。」

「え......良いの?」

「はい。どうしたんですか?」

「我らが黒狼団にこんな聖人が......女神が入ってくるなど...」

「女子は居るには居るが......こんな善良な小日向さんが入ってきても良いのだろうか...」

「いいじゃないですかー。それに私、善良っていうほどそうでもないですよ?」

「いや、まぁ、別に、大丈夫なんだけど、その、予想外だった、っていうか...」

「??」

「まぁ、小日向さん。そういうところあるから。本人が良いなら良いんじゃないの...?」

「えぇ......」


結局、成り行きで小日向さんだけではなく雨姫まで入ってしまった。

本当にいいのだろうか...

そもそも黒狼団自体、中学の時につぶしておくつもりだったのだ。

骨折さえなければ、解団式も行えたはずなのだ。

なのに...なぜこんな......

「別に良いんじゃないですか?」

「へ?」

「それが仲間内で楽しめるところなら。」

「......そうかな。」

「私、そういうところって大事だと思います。」

「......またそんな場所になればいいな。」

「はい!」

あぁ。

やはり小日向さんは俺とは違う考えを持っている。

そんな小日向さんの考えは俺にとってキラキラとしているのだ。

だから素直に心に響くのだ。

前とは違う形でも、この集まりがまたできたなら。

多分、きっと、楽しいのだろう。

黒狼団に新規二名が入会しました!

文化祭で一体何をしようと言うのか!

そして主人公は自分の言動が『話す人数が少なくなればなるほどコミュ力が変なベクトルで高くなる例のアレである』ということをついに知ってしまった!

それはそれとして。

毎週日曜日に短編を上げることが決定いたしました!

これで新規でこちらに流れてくる人も居るのでは......フッフッフ(ゲス顔)

とりあえずそちらも日曜日にご覧いただけたらと思います。

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