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ポチ太の遥かなる挑戦

そして、約束の日は来た。

「俺たちがゴミ漁りの犬達(ジャンク・ドッグス)と知って、来たんだろうな?」

「ああ、それを承知して来た。」

目の前に居るのは大柄なブルドッグとそれを囲むドーベルマン、さらに脇にはダックスフントと来ている。

こいつら...本当に捨て犬か?


「そんなの出来っこないだろ!」

荒れ地の会がキャンキャンと爆笑している。

確かに自分達と相手の差は歴然だ。

捨て犬の規模が違う。

...と聞いたことがある。

自分も実際に見たことは無いのだが、数だけでなく戦力がデカいとか、人間達の『しやくしょ』とかいう場所でも対処しきれていないとか、色々なことが言われている。

「出来っこないかもしれないな...」

「ホラ!やっぱりだ!」

「だが、」

「ん?」

「やってみないと分からない。」


「俺たちジャンク・ドッグスはこの一帯ではどの捨て犬同盟よりも強い。お前らと...そのぉ...何だったか?仲良し組?なんて作らなくても生きていけるんだよ。」

ボスのブルドッグが顔の周りについた肉を重そうにブルブルと震わせながら、重たそうに口を開く。

「そうです!我がギャングは最早、カ・ン・ペ・キ。その領地は留まるところを知りません!」

脇で短い手足をせわしなく動かしながらダックスフントがフンスフンスと鼻を鳴らす。

「だがお前たちはやり口は基本的に侵略と略奪。配下にしては奴隷のように扱う。配下の使えない捨て犬は見放し、領地の外に追いやってしまう。」

「そうだ。何が悪い。俺たちも生きるためには必要だからなぁ。」

「お前らのやり口はその限度をはるかに超えている!」


ブーイングの嵐。

阿鼻叫喚と嗚咽が混じる。

「あいつらのやり口はほんとにクソみてぇだぜ!?そんな奴らに喧嘩売るってのかよ!?俺行きたくねぇよ!」

力のない奴は出ていけと言われ、力がある奴は最低限の食糧を渡して生かす。

そして自分たちの私腹を肥やす。

腹の立つやり口だが、だれも歯向かうことができない。

「しかし、行かなければいつ攻められるか分からない。その時が来たら俺たちは終わりだ。」

「こんな小犬数でかよ!呆れてモノも言えねぇぜ!」

くぅーんと耳を垂らしながら死んだふりをするものに、ゆさゆさと両手を使ってさする下手な芝居をしている。

確かにうちは10匹にも満たない少数の会だが、相手は噂によると100匹以上もいるらしい。

末恐ろしい、まさにギャングである。


「なら、俺たちとやりあうっていうんだな。」

「いや、そうじゃない。話し合って争わないようにしようと言いに来たんだ。」

ブルドッグがブルルルルと肉を震わせてけたたましく笑う。

周りの部下も少なからず抑えた笑いをしてきた。

「お前は本当に犬なのか!?欲望は尽きないのに、取れる領地を取らないだぁ?笑わせるのも大概にしろよ?」

「お前らは十分に充実している!それでも取り上げるのか!」

「そんな当たり前のことを言うなよ。」

グッと歯を食いしばる。

何故、同じ捨て犬なのにも関わらずこの気持ちが理解できない!?

「お前ら...人にも迷惑をかけているらしいな。」

「当たり前だ。人は憎むべき相手だろう?力があるなら退けて当然だ。」

「この...外道がッ!犬としての矜持は無いのか!?」

「這いつくばって飯を食い、媚びを売り続ける事か?それが矜持と言うのなら、立派な『負け犬』だな!」

ワンワンキャンキャン笑い転げる。

ジョークも大概にしておけ。

ワシには奥の手がある。


『ここか?言っていたのは。』

『ようやく着きなさったか、ご主人。』

『こんな狭いところに人間は軽々入られないの!』

やっと奥の手の登場である。

「なんだぁ?そいつは。」

「ワシが連れてきた、ワシのご主人だ。」

「貴様......魂を売ったのか?人間どもに心を許したのか!」

「違う。いるべき場所に戻ったのだ。」

『へぇ...こんな場所にこんなに犬が居たんだ......誰?お友達?』

『まぁ、そんなところだな、ご主人。』

奥の手が来たところで話を進めさせてもらう。

「.........さて、私は人間を味方につけている。一人を味方につけるということは、それに関わっている人間も味方になっているということだ。今は代表者の一人に来てもらっているが、来させようと思えばたくさん来てくれると思って良い。」

「......ただの犬のために人間が動くと...?」

「そうだ。」

ブルドッグは噴き出すように笑う。

「馬鹿な!そんなこと本気で思っているのか?!」

「そうだ。」

嘘である。

そんなことはこれっぽちも思っていないが、見栄を張る必要があるのだ。

戦わずに交渉するというのなら、動揺してはいけないのだ。

「だが、何人、人間が来ようが無駄だがな。」

「.........」

「知ってるか?俺の脇に控えているこいつらは、倒そうと思えば人間も倒せるほど強い。そんな奴らがここには10匹もいる。はっきり言って負けるわけがないんだよ。」

ブルドッグがワン!と一回低い声で唸るように吠える。

脇に控えていたドーベルマンが近づいてくる。

ガルルルルゥと目をギラギラと光らせて唸っている。

「切り札はそれだけか?」

『これは......』

『ご主人、一回撤退です!』

『逃げろォォォォオオオ!!!』


「ということがあって一回目は失敗に終わった。」

荒れ地の会のメンバーで空き地に集合し、そう伝えた。

「当然だな!」

「だが、ここで終わらせてはいけない。次こそは必ず機を整えて挑む!」

ポチ太は新たな決意を胸に、次なる挑戦へ向かうのだった。

幕間、ポチ太の辺鄙な日常、いかがだったでしょうか?

俺たちは何を見せられているんだ?そんな感想にはノーコメントです!

と・に・か・く、ポチ太の性格のようなものが分かっていただければ幸いです!


連続投稿も悲しいかな、明日で終了です。

ここからは一週間に二回、水曜日と土曜日の18:00に更新する予定です。

どうぞご贔屓に、よろしくお願いいたします。


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