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第65話 「後日談」

■後日談「ホリイ」:

事件の一年後。


ハル商会の事務所に、荷物が届いた。


ホリイ宛の箱の中には、手書きの書類が詰まっていた。


ハル商会の商圏、つまり鉱山に関する、ルート開発のための指南書だった。


何度も訂正した跡がある。

書くには、大変な苦労があっただろうとホリイは思う。


差出人の名前は、


「アキちゃんのファン」


ありがたいです。


ホリイは、窓の外の空に向かって、そうつぶやいた。



■後日談「ハルとハルアキ」:

事件後、クロエの協力のもと、ハルは事態の収拾に忙しかった。


四人の老人たちについては、採掘した鉱石がほとんど無傷で戻ってきたこともあり、温情で極刑は回避できた。


「お前がぐずぐずしてたから、ちょっといたずらしたんだよ。あ、裏ボスは俺な」


最後まで気に食わない態度だった。

それでもハルは、昔より彼らとの距離が近くなった気がした。


大量の鉱石による資産追加にともない、ハルは商館の運営を変える決心をした。


海産物を取り扱う部門を完全に独立させ、一般企業にした。

それに伴い、ハルアキがその企業の専務として就任してくれた。


転生者社会と切り離した、普通の企業だ。

ゆくゆくは、ハルアキに任せるつもりでいる。


アキちゃんが思っていた形とは違うかもしれない。


それでも、彼女の願いは残せた気がする。


商館の運営に関しては、クロエのアイデアを取り入れた。


広大すぎた商圏の一部を、若い商人に貸し与えるという手法だ。


クロエは若いころ、才能があるのに商圏が手に入らない時期があり、苦労していたのだという。


若く、やる気のある商人候補に、鉱山運用のノウハウを教える。

そして、教育費と鉱山レンタルの費用として、売り上げの一部を受け取る。


東北商人グループ内でも独特のスタイルだが、若い商人候補の応募が殺到した。


全体の売り上げは落ちた。

しかしハルとしては、身の丈に合った商売に落ち着いたとして、案外気に入っている。


クロエから、今回の功労者である若い黒髪の採取師に便宜を図ってくれと言われたので、ハルは毎月、ほぼ原価で海産物を送っている。


なんで採取師が出汁の素材を買い求めるのだろう。


ハルは不思議だったが。


「アキちゃん。ふがいない俺だけどさ、なんとかやってみるぜ」


扉の横のアキの写真に向かって、ハルはパンパンと両手を叩き、拝んだ。

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