39 もしゴブリンが富国強兵につとめていたら?
ゴブリン共が町をつくり、人間のように生活をしている。
オークやオーガといった人間型の種族も。
そこでは田畑が耕され、鉱物を採掘している。
資源を工房で加工して道具を作り出している。
武器や防具を装備した軍隊がいる。
これらを率いる指揮官と、それらの上に立つ王がいる。
そんな敵は手強いものだ。
だから、そうでなければと願う。
組織的に動く敵ほど厄介なものはない。
しかし、都合の良い想像は出来ない。
山を越えてやってきたゴブリンの指揮官。
そいつは製造された武器を持っていた。
獣のように生きてるモノに作れる道具ではない。
製造技術を持った職人がいる。
職人がいるという事は、仕事に専念出来るという事で。
食い物の為に田畑を耕す必要がなく。
住処を自分で作る必要がなく。
材料を手に入れるために自分が鉱山を掘る必要がなく。
必要な工具や材料を、生産地までわざわざ取りに行く必要がない。
だから職人としての仕事に専念出来る。
ゴブリンにそんな事が出来るとは思えないが。
しかし、それなりの質の剣を持ってた。
他の誰かから奪ったのでなければ、自分たちで作ったという事になる
どうやって作ったのかは分からないが。
それも、ゴブリン共が社会を作っているなら納得出来る。
もしそうなら、ゴブリンは最悪の敵になる。
小数で群れて行動してるならまだ良い。
それは山賊や追い剥ぎと同じような存在だ。
どんなに大きくても犯罪集団でしかない。
だが、社会を作ってるとなればそうはいかない。
富国強兵。
強い兵士を養うには、まず国が豊かでなければならない。
食うに困らないだけの食料で人口を確保して。
産業によって生活や仕事を楽にこなせるようにして。
教育によって効率よく動ける人員を育て。
こうした土台があって、初めて兵士に振り分ける人員が出てくる。
強い兵とは豊かな国があってこそだ。
これをゴブリン達が行ってるとしたら、とんでもない事になる。
一匹一匹は弱いが、繁殖力が強く数が多いのがゴブリンだ。
これらが軍隊を養う土台をもってるとしたら。
巨大な勢力がそこにある事になる。
ゲールが「そうでないと良いんだけど」というのはこれだ。
ゴブリンがこのような社会を、国を作ってるならば。
強力な軍隊が出来上がってる可能性がある。
だから、そうでなければ良いと思ったのだ。
もしそうなってたら、ゲールやホッド家だけではどうにもならなくなる。
国が総力をあげて対処しなければならない。
ますますもって、山を超えた東側の調査が重要になる。
ここに何があるのか、見極めねばならない。
それが今後の怪物対策を考える材料になるのだから。
最悪の場合、巨大な国家を相手にする事になる。
そうなると、怪物退治や魔物討伐などという生やさしいものではなくなる。
妖精の軍隊との戦争。
国家の存亡をかけた殺し合いになる。
そうでなければ良いと思う。
そうならない欲しいとも。
だが、そうなるかもしれないという可能性が頭に浮かんでしまう。
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