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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第五章 レトロ喫茶の運命は如何に

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45.大人の対応に興味津々

 俺がじろじろと見てしまうような失礼な態度を取ってしまったのに、怒るどころか余裕の微笑みで返されてしまうだなんて……大人ってこういう人のことを言うんだろうな。


「私に興味を持ってもらっているということかな。嬉しいよ」

「興味……そうですね。お客様に興味を持っているだなんて失礼かもしれませんが。素敵だと思っていたので、どんな方なんだろうとつい見惚れてました」


 接客業としてはあまりよくないことかもしれないけど、バレてしまったなら素直に言ってしまった方がいいよな。

 だって、気になるものは気になるんだし。

 一応言葉を選んで伝えたから、怒ってはいないみたいだ。


「ふ……見惚れるだなんて言い方が上手だ。永瀬君のような可愛い子に言われるのは悪くないな。嬉しいよ」

「可愛い女性からはたくさん言われているんでしょうけど、同性の私から見ても北條様は素敵な方だと思いますよ」

「ハハ。ありがとう。これはもっと注文しないといけないな」

「ええ、ぜひ。料理も私の自慢の友人が作っていますのでおススメなんです」


 何気なく追加オーダーのおねだりもできたみたいだし良かった。

 というか、可愛いか俺?

 別に何の変哲もないヤツなんだけどな。

 どうせならカッコイイって言われたいけど、やっぱり言われないよなあ。


「今日は永瀬君を独り占めしているみたいで私も楽しいよ」

「確かに店も比較的空いてますから、ゆっくりと楽しんでくださいね。俺でよければいくらでもお付き合いさせていただきます」

「永瀬君は人を喜ばせるのが本当に上手だ。これがプライベートだったら少し勘違いしてしまいそうなくらいに」


 北條さんの口元が艶っぽく笑みの形になるのを見ていると、色気にあてられてしまいそうだ。

 同じ男とは思えない品の良さと大人の色気って……この先、自分には訪れない未来が目の前にある気がした。


「北條様こそ、私では到底到達することのない雰囲気をお持ちですし。羨ましいです」

「そんなことはないだろうけれど、君はこのままの君が一番魅力的だ」

「え? そうでしょうか? ありがとうございます」


 北條さん……恥ずかしいこともサラっと言えるの凄いな。

 俺は仕事だから言えるけど、素で相手を褒め称えろって言われても無理だ。

 げんちゃんやとっきーならまだ言いやすいけど、年上の男性相手じゃ余計に緊張しちゃうだろうな。


「そうだな……このコーヒーゼリーをいただこうか」

「はい、かしこまりました。少々お待ちください」


 店内を見回すと、とっきーも史弥(ふみや)君もちょうど手が離せないみたいだ。

 一言お断りをして席を外して、自分で直接キッチンへ向かう。


「げんちゃん、コーヒーゼリーを一つ」

蒼樹(あおい)? もしかして店内は混雑しているのか?」

「いや、たまたまだよ。俺の手が空いていたから直接来ちゃっただけ」

「コーヒーゼリーは……冷蔵庫に作ったものが冷やしてある。少し待ってくれ」


 そういうと、げんちゃんは冷蔵庫から取り出したコーヒーゼリーの上に生クリームとバニラアイスを添える。

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