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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第三章 イケメン揃いのレトロ喫茶です

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24/64

24.暴走とっきーと宥める俺

 とっきーの心が鎮まるかは分からないけど、リクエスト通りにとっきーの頭をポンポンと撫でる。

 とっきーの顔が少しずつ上がってきたから、笑いながら俺から少し近づいて両腕を伸ばす。


「ハグって……体育会系じゃあるまいし。こんな感じ?」


 とっきーの方が少しだけ身長が高いけど、ほとんど変わらないから健闘を称え合ってるみたいな感じになる。

 これで気が晴れるのかはよく分からないけど、俺もとっきーと仲違いしたい訳じゃないからな。


蒼樹(あおい)……っ!」

「わっ!」


 俺がやんわりハグをしてたのに、とっきーは壁から手をはがすとガバっと勢いよく俺をハグしてくる。

 ぎゅうぎゅうしてくるので、苦しいくらいだ。


「ちょっ、くるし……っ」

「これくらいはいいよな」


 とっきーは俺を放す気はないのか、首筋に鼻を擦りつけてきた。

 動きが擽ったくて、ぞわぞわする。


「擽ったいって! やってること意味分かんないからっ」

「あーマズイ。これ以上するとマジで我慢できなくなりそう」


 とっきーはスンっと鼻を鳴らしてから、漸く俺を開放してくれた。

 一体、何がしたかったんだ。

 機嫌は良くなったみたいだから良かったけど、あまりの怪しさに一歩離れた。


「母親に甘える子どもでも、鼻は擦りつけてこないだろ」

「それはアレだ。蒼樹の匂いを堪能……じゃなくて、俺もたまには甘えてみたっていいだろ?」

「はぁ? いやまあ、甘えるのは構わないけど……」


 変に気恥ずかしくなって、手のひらで首筋を庇う。

 いちゃついてるカップルじゃあるまいし、一体なんだったんだか。

 手のひらの下の首筋が少し熱を持っているみたいな気がして、落ち着かない。


「もしかして、蒼樹も興奮した?」

「俺もってなんだよ! するわけないだろ。擽ったかっただけだ」

「そんなに全力で否定しなくてもいいのにな。はぁ……前途多難ってこういう時に使うって思い知らされるわ」


 今日のとっきーは特に情緒不安定でついていけない。

 こういう時にげんちゃんがいてくれたらとっきーを止めてくれたんだろうけど、用事があるからって帰っちゃったからな。

 変な方向に暴走するとっきーを止めるのは、俺一人だと力不足だ。


「今日はこれくらいで勘弁してやるか。よし、帰るぞ」

「俺は疲れたよ……これでやっと帰れる」


 ニシシと笑いかけてくるとっきーを今度は俺が睨みつけながら、ボディバッグを手に取って背負う。

 とっきーも財布と携帯をパンツのポケットに突っ込むと、俺の肩を叩いてきた。


「明日は普通に働いてくれるよな? また不機嫌になったりするなよ」

「蒼樹が必要以上に微笑んだりしなければなー」

「だから、それは仕事上のことだからな? 分かってて言ってるだろ、もう」

「暫くはさっきの驚いた蒼樹の顔を思い出して、俺も我慢することにするわ」


 ニヤニヤしてるとっきーをぶん殴りたくなる。

 不機嫌になったりご機嫌になったり、どれだけ忙しすぎるんだよ全く。

 まあ、イライラされるよりかはマシだから今回は俺が我慢すればいいか。

 責任者は従業員に働きやすい環境を用意して、スムーズに働いてもらわないといけないからな。

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