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レトロ喫茶のマスターは珈琲より紅茶がお好きなようです  作者: あざらし かえで
第二章 レトロ喫茶、オープンします

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12.準備中に

 SNSのチェックをしてから、オープンの準備に取り掛かる。

 と言っても、ほぼ済ませてあるから店を開ける準備をするってだけなんだけどやっぱり初日って緊張するもんだ。


「俺ができること一つずつやっていけばいいんだよな。じいちゃん」


 俺の目に付くところには、じいちゃんの写真を飾っておいた。

 写真の中のじいちゃんが励ましてくれてるみたいで、笑顔で頑張れよって言ってくれてたことを思い出す。


「……しんみりしてる場合じゃないよな。さて、頑張りますか」


 シャツの袖を少しだけ捲って、コーヒー器具へ手を伸ばした。


 +++


 店の準備に取り掛かり始めると、げんちゃんが店の裏口から入ってきた。

 振り返った俺を見ると少し驚いた表情を浮かべた。

 なんだろう、げんちゃんより先に店へ着いてたからか?

 俺たちが待ち合わせをする場合、一番最初に待っているのはげんちゃんな気がする。


蒼樹(あおい)? 随分早く来たんだな」

「うん。色々気になっちゃってさ。そんなこと言って、げんちゃんも相変わらず早いな」

「俺は下ごしらえもあるからな。蒼樹、大丈夫か?」


 げんちゃんは俺の側まで来ると、上から顔を覗き込んでくる。

 俺、そんなに変な顔してるかな?


「げんちゃん……?」

「ああ、いや悪い。具合でも悪いのかと思って顔色を見ていた」


 額がくっつきそうな距離だったから、おでことおでこをくっつけるつもりなのかと思ったけど違ったみたいだ。

 別に熱っぽくないし、顔も赤くなったりしてないはずだ。

 それでも、げんちゃんには俺の具合が悪そうに見えたのかもしれない。


「緊張はしてるけど、大丈夫だ。げんちゃん、これからよろしくな」

「ああ。蒼樹の力になれるように精一杯やらせてもらう」


 げんちゃんは普段あんまり笑ったりしないけど、笑うと男前でドキっとする。

 吊り上がってる目元が和らぐから、ギャップがあるんだよな。

 俺もげんちゃんみたいに男らしい男になりたいもんだ。


「着替えてくる」

「分かった。げんちゃん、コーヒー飲む?」

「試しに淹れてみたいのなら、俺だけじゃなくて蒼樹と鷺羽(ときは)の分も一緒に」

「了解」


 俺が店にいるって分かったから、着替えもせずに様子を見に来てくれたんだな。

 げんちゃんは変わらず、いつも俺のことを気にかけてくれてる。

 もっとげんちゃん自身のことも考えて欲しいけど、俺が時々ぼーっとしてるせいで気になるのかもしれないな。


 俺がコーヒーの準備をしていると、とっきーも来たみたいだ。

 同じく着替えもせずに、俺の側へ寄ってくる。


「何、朝からコーヒー飲ませてくれるって?」

「俺の練習も兼ねて。で、とっきーも俺のことが心配?」

「蒼樹のことはいつも心配っつーか、大丈夫かよって思ってるけど……あぁ、玄暉(げんき)が先に来てたのか」


 とっきーも裏へ着替えに行ったみたいだ。

 なんかいきなり声が低くなったのは気のせいか?

 げんちゃんが先に来てたらマズイことでもあるのか知らないけど、せめて営業中だけでもげんちゃんとぶつかって欲しくないんだよな。

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