13.まずは三人でコーヒーを
俺がお湯を沸かして器具を温めていると、とっきーが戻ってきた。
とっきーも店を開ける前にいくつかチェックする場所があるって言ってたけど、終わったにしては早すぎるような気がする。
「とっきー、もうチェックは終わった?」
「いや、まだだけど。蒼樹の淹れてくれたコーヒーを飲んでからにする」
「げんちゃんは下ごしらえ中か。了解。味見よろしく」
フィルターをドリッパーへセットして、朝挽いた粉を適量入れていく。
今日はコロンビアだから、甘さと深みのバランスも取れてる豆だし誰でも飲みやすいタイプのコーヒーだと思う。
本日のコーヒーはコロンビアで、ブレンドはじいちゃんに教えてもらったブレンドと俺がオリジナルでブレンドしたブレンドと二種類選べるようにした。
じいちゃんのブレンドはプラムコレクトブレンド、略してプラコレブレンド。
俺が作ったブレンドは、蒼。
俺は反対したんだけど、俺の名前から名付けろってとっきーとげんちゃんに言われてその名にした。
和名で綺麗な感じがするから、らしい。
プラコレブレンドも全てのバランスが整ったコーヒーで、飲み口もさっぱりしている。
俺の作った蒼は、プラコレより少し苦みが強めになっていてコクがある。
ミルクと砂糖を入れるとちょうどよく飲めるタイプのコーヒーにしてみたけど、コーヒー好きの人ならブラックで飲んでも楽しめるブレンドにしてみた。
「コーヒーの香りって癒されるよなー。さっきまで少しイラっとしてたけど、蒼樹の手元を見てたら和んだ」
「なに意味わかんないことを言ってるんだか。コーヒーの香りで癒されるっていうのは同意するけど」
俺がコーヒーを淹れている間、とっきーはずっと俺の手元を眺めてる。
別にただ淹れてるだけだし、見ていて面白いかどうか微妙だけど。
ペーパードリップだから、一番スタンダードな淹れ方だと思う。
蒸らしをしてから、少しずつお湯を注いでいく。
焦らず何回か分けてじっくり淹れ、全て落ちきったところでカップへ注ぐ。
この作業中もふわりとコーヒーが香るから、一日淹れていると全身がコーヒーの香りで包まれてしまう。
俺はこの香りが嫌いじゃないからいいけど、思っている以上に外へ出ても香りが残るんだよな。
「お待たせ。どうぞ」
「サンキュ。おーい、玄暉! 蒼樹がコーヒー淹れてくれたから一旦コッチ来て味見だ」
「分かった。今行く」
俺がカウンターへカップを並べると、とっきーが一番に席へ着く。
続いてげんちゃんもキッチンから戻ってきた。
キッチンって言っても大した設備じゃないけど、水道があってガスが使えるから問題ないらしい。
「まずは俺たちがお客第一号だな。蒼樹のコーヒーはいつも飲んでるけど、店で出す前に飲めるってのは特権だよな」
「そうだな。蒼樹はおじいさんから教わってるのもあって、いつも美味しいコーヒーを淹れてくれる」
「なんかプレッシャーなんだけど、メインだからきちんとしないといけないよな。じゃあ、俺も飲むか」
とっきーとげんちゃんの間の席が空いてたから、俺は真ん中へ座る。




