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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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 曲が流れ出す。

 それと同時に俺達は動く。

 といっても、まだ俺は黒子のようなもんだ。

 一応ポイントのために美玲柚ちゃんと一緒に動いているけれど、あくまでスタートは彼女の独壇場だ。


 今回の俺達の演技は、一応ストーリーみたいなものがある。

 そのシナリオだと、最初のこの部分は、ある所に住んでいる少女が、美しい物で溢れた不思議な場所に迷い込んでしまい、好奇心のままに進んでしまう……なんて感じのシーンだ。

 だからスポットライトは彼女だけに当たるようイチゴに依頼済み。

 というか、今回のこのステージ、照明もBGMも、あと他にも電子的なアレやこれを全部イチゴに頼んでいる。

 ダメ元で、「こういう事出来るか?」なんて恐る恐る聞いたとしても、ほぼ確実に「できるよぉ♪」と返してくれる安心感。

 うん、俺もうお前らAIメイドがいないとやっていけない気がする……。


 っとと!

 イチゴのライトワークに任せっきりではダメだ。

 俺は、村雨丸を使って水を個体、つまり氷の状態にして作り出す。

 本来水を操る方が魔力を節約できるんだけれど、そんなんじゃ間に合わないのでじゃんじゃん魔力を吸わせていく。

 俺の魔力をドカ食いさせて作り上げたのは、リンク全面に咲き乱れる氷の花畑。

 これだけでも結構難しいんだけど、今はフィギュアスケートの真っ最中。

 当然このままでは俺も美玲柚ちゃんもまともに演技などできないから、俺達が滑る部分だけは氷花を消し去るという小技が必要だ。

 これが難しい!マジで難しい!


「わぁ……!!!」


 でも、美玲柚ちゃんの自然な笑顔が見れたので満足。

 この子、裏のない本当に魅力的な笑顔を見せてくれるので、笑顔にし甲斐があるなぁ……。

 この笑顔が出せた時点で、ぶっちゃけこのシーンは勝った。


 実を言うと、今回の俺達の演技は、光の演出がものすごく重要だ。

 どんなに精巧な氷の花を作り出したとしても、光の当て方一つで輝きを失ってしまう。

 だから、「できるだけ花であるとわかるように、そして美しく見えるようにライト当てられるか?いや、無理だよな……」と諦め半分でイチゴに聞いて出てきた答えが「できるよぉ♪」だもん。

 なんならその後、「全部の花に色もつけちゃうね♡」とか言われたときには、イチゴの処理能力のヤバさにちょっと戦慄したもん。

 それはそれとして、そういう事をするためには、リンクの上だけを明るくし、リンク外は暗くしておかないといけない。

 そうなると、リンク上にいる俺たちからは、観客たちの表情が暗くて見えないので、反応がわかりにくいんだよなぁ。

 だから、美玲柚ちゃんの自然な笑顔という勝ち確定演出だと俺が勝手に思っている物を見れたのがとてもありがたい!


 さて、少女は不思議な場所へと迷い込んだ。

 次のシーンでは、少女があるキャラクターと出会う。

 それが俺の役なんだけれど、正直俺としてはこれどうなんだろうと思い続けている……。

 配役名は、『妖精の国の王子様』だそうだ。

 最初俺が提案したのは、どこかの国の有栖みたいにイラッとする造形のウサギみたいなキャラクターだったんだけれど、何故かそんな俺の提案に対してうちの女性陣と美玲柚ちゃんが猛反発。


「ウサギみたら襲いかかりたくなるからアウトにゃ。ニャーに押し倒されたいなら好きにするニャ」

「イチゴはね!ますたぁはもっとカッコいい役が良いと思うなぁ!」

「ワシ思うんじゃが、いっそのことあの騎士服みたいなのはどうじゃ?貴族用の正装じゃから文句も言われんじゃろうし、カッコいいじゃろ?」

「私もいいと思います!大試さんは今、私の騎士ってことになっていますし!ついでに王子様って設定はどうですか!?」

「騎士王子……良いと思います!」


 という感じで、何か知らんがテンション高めに決められてしまった。

 有栖なんて興奮してエクスカリバーブンブン振り回してたもん。

 何が彼女の琴線に触れたんだろうか?


 その王子様、つまり俺ですが、妖精なんです。

 騎士で王子で妖精という属性過多気味な状態で美玲柚ちゃんの元へと近寄る。

 シナリオ的には、迷い込んできた彼女を歓迎し、この不思議な場所、設定上は妖精の国を案内するという事になっている。

 これが俺じゃなくてもっとちゃんとしたイケメンだったら様になるんだろうけどなぁ……。

 なんてマイナスなメンタルになりかけつつも演技を続ける。

 ここからは、アイスダンスみたいな演出も増えてくる。

 美玲柚ちゃん1人の動きから、俺も含めた2人の動きが重要になってくるので、更に会場を滑り回る際の負担が増す。


 ここでいちばん大変なのが、俺の背中につけている妖精の羽だろうか?

 氷で作った羽なんだけれど、その羽根の後ろからは幻想的な光の粒子が舞っていて、少ししたら幻のように消えていくんだ。

 これ、実は普通に物理現象なんだ。

 具体的に言うと、村雨丸で水の粒子を作り出し、それに雷切で超強力な電気をぶつけてプラズマ化して飛ばしてるんだ。

 なので、不用意に触ると死にます。

 羽だって薄くて頑丈な氷なので、不用意に触ると切れます。

 万が一にも美玲柚ちゃんに当たらないように操作するのきっついわ……


 リンク上には、次第に花だけではなく木も生え始めている。

 完全に木だらけにしてしまうと、観客から見えなくなってしまうので、あくまで氷でできた普通サイズの木と低木が数本だけだけども。


 なんで木を生やしているかと言うと、ここからもっとでっかい木を生やすために心の準備をさせるためだ。

 最初からあの木を生やしてしまうと、多分皆唐突すぎて訳わかんなくなりそうだし……。


 シナリオ的には、王子はとうとう少女を国の中枢へと案内する。

 そこにあるのは、妖精の国の王城にして、すべての始まりの存在でもある巨大な樹木。

 さぁ、作ってみるか!

 このクソ広いリンクを覆い尽くすだけの巨大な、『世界樹』を!


 俺は、これまでの比でない勢いで俺から魔力を吸い取っていく村雨丸に更に力を込める。

 ここからの演出は、完全にぶっつけ本番だ。

 美玲柚ちゃんにも、新鮮な驚きを見せてほしいために見せていない。

 実際にやっちゃうと、絶対に目立ってボボンまで情報がいっちゃうから、油断させるためにも本番まで秘密にしておいたんだ。


「さぁ、お姫様。これから本気を出すぞ。俺を信じて、全力でついてこれるか?」

「はい!」


 俺の質問に間髪入れず答える美玲柚ちゃんの反応に満足して、俺は、村雨丸に込めに込めた力を解放した。






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