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覗き穴ダンジョン~自宅警備員の俺の部屋の壁にダンジョンの深淵を覗ける穴が空いた件  作者: 御手々ぽんた


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第19話 新しい情報に混乱してみた

「──え、新しい称号?」


 俺は慌てて深淵を覗く穴から目を離すと、鑑定スキルを使用したまま、自分の手を見てみる。


『・スキル

 覗き魔の眼球(デバガメゴヨウタツ)レベル1 0/30

 悪意なき借用(ヒトクチチョウダイ)レベル0 0/20

 ・称号

 深淵を覗きし者

 強奪者

 ・祝福

 深淵の祝福レベル1 4/20』


 確かに、新しい称号、「強奪者」という文字が増えている。


 そして、それだけではなかった。


「スキルも増えてる……それに地味に、覗き魔の眼球がレベル1だ……いつの間に……」


 一気に情報が増えすぎていて、俺は理解が追い付かない。


「落ち着いて、一つ一つ、確認していこう。まずは、覗き魔の眼球(デバガメゴヨウタツ)かレベル1になったところから── 」


 俺の呟きに反応して、左目に映る文字列が変化する。


『スキル覗き魔の眼球(デバガメゴヨウタツ)レベル1の効果を提示。スキル鑑定を内包。スキル粗探しを内包。スキル蔑視耐性を内包。スキル邪眼耐性を内包。称号「強奪者」の効果によりスキル邪視を内包。保有者は深淵の支配者へと至る資格を持つ』


 一見して、前に見た内容と変わらない。しかしよくよく見て、俺はようやく変化に気がつく。


「スキル邪視が増えてる……え、なにこれ。もしかして攻撃スキル? しかも、強奪者の方の称号の効果で?」


 やはり鑑定スキルさんはここまでしか情報を開示してくれないようだ。今度の俺の呟きには反応してくれない。

 なので推測の域を出ないが、レベルが1になったことと、新しい称号が増えたことの両方が、新たな内包スキルの発現に寄与したのではないかなと、俺は思った。


 なんにしても、スキル邪視の効果については別途、自分で検証するほか無さそうだった。


「うわー。本当に攻撃スキルだったら、迂闊には使えないじゃん。強奪者とか明らかに攻撃的な感じだし……これはとりあえずペンディングにしておこう」


 格好いい横文字を使って、とりあえず後回しにすることを決める。

 そして俺はいよいよもう一つの新しいスキルの方を確認してみる。


悪意なき借用(ヒトクチチョウダイ)レベル0の効果を提示。自身と眷属間での所有物の所有権の任意の委譲が可能となる』


「……意味がよく、わからないな」


 俺は追加で情報が表示されないかと色々と試すも、こちらも新しく表示される文字列は現れない。

 いけずな鑑定さんに、ため息つく。


「たぶん、アビちゃんは俺の眷属になると思うんだよね。アビちゃんと俺の持ち物を互いに譲り合えるってことか? でも、所有物自体じゃなくて、所有権だけの委譲なの? う、うーん、それって何の役に立つんだ?」


 俺の呟きが聞こえたのか、部屋の角で食後休憩をとっていたアビちゃんがいつの間にか俺の後ろにいた。


「あ、アビちゃん……」


 声をかけようとすると、突然楽しげにふよんふよんと跳ね始めるアビちゃん。

 次の瞬間、その体を細長く伸ばし、俺を掠めるようにして壁の穴へとその体を押し込み始める。

 あっという間にアビちゃんの姿が見えなくなる。


「……深淵にいっちゃった」


 俺は深淵へと続く穴を覗き込む。

 すると、アビちゃんが見える。


 新しく深淵の中央に出来た光の帯で区切られた空間──俺の支配領域らしいそこに、アビちゃんが入っているようだ。


 そのアビちゃんの体は、ぐでーと平たく伸びていて、ちょうど支配領域を囲む光の帯で出来た円を、びったり覆う感じだ。

 まるで日なたぼっこをしている猫のように、とても寛いでいるように見える。


 そんな姿をしているアビちゃんを、俺は初めて見たのだった。



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