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覗き穴ダンジョン~自宅警備員の俺の部屋の壁にダンジョンの深淵を覗ける穴が空いた件  作者: 御手々ぽんた


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第14話 近所を探索してみた

 時刻は深夜、日付が変わる少し前ぐらいの時刻。

 俺は自宅から少し離れた路地にいた。行きつけの無人コンビニとは、だいたい反対側にあたる。


 そもそも人気の少ない俺の家の周辺。無人コンビニすらないここら辺はより閑散としていた。


 それに深夜という時間も合わさって、よほどの不運が重ならなければ、俺がこれからすることが誰かに目撃されることはまずないはずだ。


 それでも念には念をいれて、俺は帽子を目深にかぶり、マスクまでしていた。


 なぜここまでしているかと言えば、面接帰りに出会ったプラチナランクの探索者に、俺が盗み見ていたのを感づかれたのが、どこか心の中で引っ掛かっていたからだ。


 ──俺と違って多忙そうなプラチナランクの探索者にとっては、きっとすぐに忘れるような出来事だろうけど……


 一瞬見えた、電柱に片手で捕まり、獲物を探す視線をこちらに投げ掛けてきた白銀の髪をした女性探索者。

 その整った容姿と相まって、肉食獣のようなその立ち振舞いは美しくもどこか恐怖を覚えるものだった。


 そんなわけで、外でスキル使うのは、やっぱりドキドキするのだ。


 ──でも、家で深淵を覗くだけじゃ効率、悪いしな。まあ、これだけ時間と場所を選んで、さらに万が一、見られても顔が分かりにくくしているんだ。大丈夫大丈夫……


 そう、自分にいいきかせながら、粗探しスキルを使用する。


 前に見たのと同じ様に、俺の左目に映る世界に赤い光が灯る。


「よし、一番近そうなところからいってみますか」


 俺は手に半透明のゴミ袋をもって歩きだす。

 もちろん、このゴミ袋は時空の綻びとやらから報酬ボックスが出たときに持ち帰る用だ。

 これが家にあった物で一番、容量が大きい袋だったのだ。


「最初はこれか……」


 数十メートル歩いて、一番近い赤い光のところに到着する。

 崩れかけた壁とやや傾いた電柱の間の隙間にあるそれは、俺の拳ほどの大きさだ。

 俺はゴミ袋を地面におくと、そっと隙間に両手をのばすのだった。


 ◇◆


「まあまあ、大量だな」


 持ってきたゴミ袋には大小様々な箱が袋の三分の一ほど入っていた。


 赤い光──時空の綻びらしい、粗、はどうもそのすべてから、報酬ボックスが出るわけではなかった。

 手で触れるとただそのまま消えてしまう物もなかなか多かったのだ。


「消えちゃったのは、単に外れ、かね。まあ、数時間でこれだけ集まれば十分だろ。ふぁー。さ、帰って一眠りしたら、さっそく開封してみるかなー」


 俺は大きくあくびをすると、最後に左手を見る。


『・スキル

 覗き魔の眼球(デバガメゴヨウタツ)レベル0 19/20

 ・称号

 深淵を覗きし者

 ・祝福

 深淵の祝福レベル1 3/20』


 着実にスキルの経験値らしきものが増えているのを確かめると、よいしょっとゴミ袋を肩に担ぐ。

 そのまま俺は家へと向かって歩きだす。


 その俺の背中を見つめる、一対の視線。それにその時の俺は、気がつくことはなかった。

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