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土埃
埃まみれの道路を一台の車が走っていく。土埃を立てながら。
できる限り速く。高速の速さで進んでいく。ただひたすらに。真っ直ぐ突き進む。
その車は逃げていた。恐るべき何かから。バックミラーを見る余裕は無い。
振り返れば終わり。そんななか、できることは真っ直ぐ走ることだけ。
心臓が高鳴っている。ドクンドクンとゆっくりではなく、ドクドクと速く。車の高速と重なるように。
逃げられるだろうか。それは分からない。見逃してもらえるだろうか。それも分からない。
ただただ、ひたすらに走り続けるしかないのだ。車のガソリンが尽きるまで。限りなく遠くへと。そうしなければ捕まってしまう。そうしたら、どうなるか分からない。
本能のままに。本能が導くままに走らなければ。でなければ捕まってしまう。
やがて、ガソリンは尽き、車は捨て去り、身体一つで走りゆく。土埃を立てながら。
彼が恐るべき何かから逃げられたのか。見逃されたのか。それとも、捕まってしまったのか。それは誰にも分からないーー。




