75/100
幼虫たちとの戦い
彼は幼虫たちと戦っていた。レモンの木を守るために。
幼虫たちはレモンの葉を食い荒らすのだ。味を占めたように。
ほかの葉よりも美味しいらしい。本当かどうかは知らないが。
だが、彼にとっては困りものだ。せっかく丹精込めて育てているレモンの木を食い荒らされてはたまったものではない。
ゆえに彼は幼虫たちと戦う決意を固めた。
しかし、相手は群れを為している。一匹一匹対処していては人海戦術ならぬ虫海戦術で倒されてしまう。
最初はスプレーを使ってはいた。だが幼虫たちを相手にするには心もとない。
群れが密集しているところにガムテープを使って圧死させる方法もしていた。
レモンの木に張り付いてしまったものは捕殺や、火箸によって捕まえて洗剤液への溺死など、できる手段は何でもしていた。
レモンの木を幼虫たちから守るため、そのためだけに情熱を注ぎ込んでいた。
心血を注ぐ彼の努力は実ることになる。
大量にいた幼虫たちの数が少なくなり、遂には姿を見かけることは無くなったのである。
レモンの木も無事に守られ、葉も生い茂っている。彼の完全勝利だ。
しかし、まだ油断はできない。レモンの木に花が咲き、果実が実るまで、月日がかかる。
その時まで彼の戦いは続くのであったーー。




