表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/52

未来の夢

「もし一晩だけ見たい夢に操れるとしたら、どんな夢を見たいだろうか。

過去の未解決事件の犯人の正体かね。

それとも、現代の身近な恋愛の果ての結婚生活かね。

あるいは、未来の出来事かね。

まぁ、どちらにせよ、夢を見るまでは分からないだろう。

私には、君が見る夢を知ることはできないのだからーー」

 そう言って、黄昏時に出会った老人は私に何かしらの瓶を渡して去っていった。

 その夜のこと、酒瓶の中身をグラスに移し替えた。中身は赤紫色の液体。つまり赤ワインである。

私はグラスに注いだ赤ワインを呷った。一口づつ丁寧に。口の中を転がすように。

なんて気持ち良いのだろう。鼻腔をくすぐるような感じはこのことだろうか。

とても美味しい酒だ。ぐいぐいと空かしかねない。丁寧に味わわなければ。

 しかし、どこか眠気を感じている。微睡んでいる自分がいる。

確か、一晩だけ未来を視られると言う話だったけか。私はどんな夢を視るのだろう楽しみで笑顔になる。

 その夜更けのこと。私が視た夢というのは、高いビルの屋上で人々が次々と墜ちていくものだった。生気を喪っているようにも思える。

これが未来の光景なのだろうか。

 私は冷や汗で目が冴えてしまった。なんて怖い夢なのだろう。これは夢だとしても悪夢の類いでしかない。こんな夢は実現してほしくない。

なのに内なる私はあの夢を、あの人々が墜ちる夢を実現すると肯定している。否定しきれない。悪夢のダブルバインドに囚われている気がする。

 未来なんて将来なんて、知るべきじゃなかったのだーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ