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3.少女が行方不明

 ビルが言う。「ワウワウ。覚えきれない。」

 ビルは、宿で戦闘装備(スリムパワー)を着ている。既に時間は夕方である。今晩はパル救出作戦の実行なので、ビルはこの戦闘装備について八重子から説明を受けている。

 しかし、初めての戦闘装備(スリムパワー)は、様々な機能と注意があるので、もうビルの頭が過剰反応(オーバーフロー)している。

 ビルが言う。「とても多い。無理だ。」

 八重子が言う。「パルが待っている。」

 ビルは黙り、説明を真剣に聞く。

 ビルと八重子は、もともと行方不明の人々について怪しい場所を見つけており、準備していた。

 ビルが言う。「よく、コーギー犬族が着れる戦闘装備(スリムパワー)があったな。」

 コーギー犬族は、胴長短足の為に、しばしばオーダーメイドになることが多い。

 八重子が言う。「父のお下がりです。」

 天狐族の八重子の父親は、コーギー犬族なので、体型はほぼ同じだったことが幸いした。

 戦闘装備(スリムパワー)は、防弾チョッキとパワースーツを戦闘用に進化させ、まるで中世の鎧のような外見だ。しかもパワースーツの筋力アップをしている。

 頭部は、強化ガラスで覆われているが顔は見えている。離れていると強化ガラスが分からない。

 全身をコートで覆い、テンガロンハットを被り、マスクをする。エリザベスが言う。「パルを助けてください。」

 ビルが言う。「パルを連れて必ず戻る。約束する。」

 二人は宿を出る。

 ビルが言う。「さあ、決闘だ。」

 ビルはカウボーイの気分だ。

 八重子が言う。「奇襲ですから、静かに。」

 ビルが頷く。




 コリー犬族のパルは、地下室の中でまだ痛む顔を水に濡らしたハンカチで押さえている。

 神族の少女、9才位がパルに差し出したものだ。赤毛で目が青い神族でまだ子供だ。

 ナットが聞く。「まだ、痛いの?」

 パルは、昨日アルバイトが終わり、家に帰ろうとウルフ・バンパイア・スーパーから出た。そのすぐ後、何ものかに薬で眠らされ、気がついた時には、倉庫の中で子供たちと若い人々と共にいた。

 パルは、気がついた直後に力の限り吠えた。

 その直後、ハイエナ族の男が現れ、パルを殴りパルは意識を失った。


 パルが再び、気がついた時には殴られた頬にハンカチをあてている少女がいた。

 パルが聞く。「ここはどこ?」

 少女が言う。「多分、スーパーの地下倉庫。」

 パルが周囲をよく、見るとみな力なく項垂れている。

 パルが言う。「ありがとう。私はパル。宿屋の娘。あなたは?」

 少女が言う。「私はナット。ダウンタウンよ。」

 パルが聞く。「みんな行方不明の子供と若い人たち?」

 ナットが言う。「そうだと思う。」

 倉庫には数人しかいない。ビルが十人以上の子供と若い人々の行方不明者がいると言っていたのに数が足りない。

 パルは、ナットに聞く。「ここから、連れていかれた人がいるの?」

 ナットが言う。「何人かは連れていかれたわ。でも、私たちも来週に連れていかれるらしいわ。」

 パルがナットが落ちついていることを不思議に思い聞く。「どうして落ちついているの?」

 ナットが言う。「ここでは、毎日殴られないから。」

 どうやらナットは家では、毎日、殴られているらしい。

 パルも貧しいが、ここにいる子供たちと若い人々の服は更に貧しく服が擦りきれている子供もいる。つまり、パルより、みなもっと貧しいのだ。

 みな無気力で絶望を顔に示している。


 そこへ、ゴリラ族の男とトカゲ族の男、それにハイエナ族の男が現れる。

 トカゲ族の男は店長だ。

 パルが聞く。「なぜ、店長が?」

 再びパルが殴られる。

 トカゲ族の店長が言う。「急ぎで追加とは、人使いがあらい。」

 ゴリラ族の男がナットを見つけて言う。「こいつを連れいく。」

 トカゲ族の店長が言う。「ああ、神族の子供はそいつしかいない。」

 ゴリラ族の男は、ナットに薬を嗅がせて意識を失わせる。

 パルは殴られながらも、彼らがオレゴン州ポートランドという地名を言っているのを聞く。


 

 

 パルが、新たに殴られた頬に濡らしたハンカチをあてていると、銃声が響き、ドアが開く。

 ビルと八重子が現れる。ビルがパルに近づき言う。「さあ、家に帰ろう。」

 パルは一瞬、喜こぷ。しかしパルは悲しそうにビルに言う。「ナットがオレゴン州のポートランドに連れていかれたの。」

 パルがここで起きたことを話す。

 八重子が言う。「予定外の要求があったようね。」

 そこへ、ブルドック族のウッドが警察官たちと現れる。

 ウッドが言う。「一言ぐらい、説明してくれたらよかったのに。」

 八重子が言う。「警察署にスパイがいる。」

 ウッドが苦い顔をする。

 ウッドが八重子に近づき聞く。「誰だ?」

 八重子が言う。「署長。」

 八重子がテープレコーダーをウッドに渡す。

 ウッドが更に聞く。「誰に相談すればいい?」

 八重子が言う。「味方は、共和党のグスタフ。」

 ビルはやり取りを聞いて言う。「いったい、俺たちは誰と戦っているのか?」

 八重子が言う。「深い闇の使徒たちと戦っている。」

 ビルが聞く。「やつらは、何の目的で人拐いをしている?」 

 八重子が近づいて小声で言う。「臓器売買と若返りのA薬」

 ビルは、ある噂を思い出す。その噂は、思春期前の子供から若返りのA薬をつくり出している闇の勢力があるというものだ。

 ビルは、それはあくまで都市伝説(ただの噂)と思っていた。しかし、ここに子供たちを誘拐している連中がいる。

 ビルが言う。「ナットを救出しないといけない。」

 八重子が言う。「ええ。救出しないといけない。でも、情報も集めなければいけない。」

 八重子は、ここまでの事は何回も相談しているが、オレゴン州ポートランドの事はまだ、何も相談していないと説明する。

 

 パルがビルにつかまる。

 パルが言う。「お願い。ナットを助けて。」

 

 



 

 

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