二月
二月一日月曜 くもりのち晴
今朝は朝起会だから、朝六時に起き學校に来た。早起会から帰って、学校に来た。昨日、中田君が自動車にひかれたそうだ。今日は図書がうまくいかなかった。
學校から帰ってみると、妹のすみ江ひとりでお留守番をしていたから、おこたの中であられをたべた。それから、妹のえり子をむかえに行く時、飯森君と二人でマラソンをした。内へ帰って、お母さんが帰って来たので夕飯は支那ソバをたべた。夕刊をみると各大臣方がきまったそうだ。夜寝たのが九時。
二月二日火曜 くもり
今朝起きてみると、見わたすかぎりの銀世界だ。大そう寒い。學校へ行くときすべって困った。學校へ来て五時間目は唱歌をやったが、うまくうたえた。
予習をしてから内へ帰り、妹のすみ江に手品をしてみせたら「ああわかったわ」といっているけれども、ほんとうはわかっていないらしい。とうとう僕がかった。夜夕刊を見たら、大臣の親任式があったそうだ。夜大きな箱にはいったものがとどいたのであけてみたら、おもちがたくさん入っていた。夜寝たのが九時半。
二月三日水曜 晴
朝起きて、残雪の間を歩いて學校へ来た。三時間目は球算をやったが、よく出来なかった。予習をすまして家にかえった。
今日は節分だ。今年は僕が豆をまくのだ。方々の内から「鬼は外、福は内」というこえがきこえてきたので、お母さんが内でもそろ々まこうとおっしゃってまめを出して下さった。僕はありったけのこえを出して「鬼は外、福は内」といった。夕飯をたべ、夜寝たのが九時半すぎであった。
二月四日木曜 晴
學校へくる途中で「かん々」と鐘の音がきこえたので、いそいでいったがとう々遅くなってしまった。四時間目体操をした。はじめ運動場を三四回はしりへと〱になったところで、母と妹がむかえに来た。
それで僕は早退して帰って、すぐ明治座にいった。一番始「寿曾我氏」をはじめ「やじきた」やら「おどり」などを見て、おみやげをもって僕達は人より早く帰った。帰ってあけてみると、田家雪の歌がかいている菓子器であった。夜寝たのが十二時であった。
二月五日金曜 晴
昨日遅く寝たので、今朝は寝坊してしまったので、今日も學校へくる途中で鐘がなってしまった。読方の試けんをした時、一だいだけまちがえて、あとみんなあった。体操の時キックをして、赤がさんざんまけた。予習の時、僕は遅れていたのでけんめいにしておいついた。だが帰るのが遅くなった。
内へ帰り夕飯をたべる時、お母さんが「くすりだと思ってこれ(肝油)をたべてごらん」といったのでたべてみた。別にわるい味はしなかった。夜寝たのが十時。
二月六日土曜 晴
朝早く妹に起こされ、だれか来たよということだから、そっと戸をあけると飯森君が笑いながらたっていた。僕は洋服をきて顔を洗い、かけあしで第四れんたいの方をはしって、うちへ帰って飯をくい、今日は早目に學校へきた。
學校へ来て勉強してから予習して、内へ帰ってみると、弟の孝達が遊んでいたので孝達を遊ばした。夕方きじの毛をむしった。夕飯をたべお風呂に入り、寝たのが九時三十五分であった。
二月七日日曜 きり雨
朝早くおき明治功臣録を読んでいると、妹のすみ江とえり子がけんかを始めたので、やめて孝達と遊んだ。「ごはんですよ」といったので朝飯をたべ二階で勉強した。誰か来たようだから下へおりてみると、亮ちゃんが来ていた。たんすの方をみるとすみ江達が赤飯をたべていたので、僕もたべた。
お昼はきじの御料理がでた。三時頃、飯森君と飯森君の内で将ぎをやった。中々飯森君は強かった。内へ帰って夕飯をたべて寝たのが、今日は早くて九時であった。
二月八日月曜 くもり
朝おきて朝飯をたべてから、學校に来た。しばらくしてから鐘がなって、修身を始めにしていろ々勉強して、予習をしてから、家に帰ったのが五時頃であった。
夜夕飯をたべて遊んでいると、お客さんが来たのでお掃除をして上がらせ、紅茶をのんでからお客さんが帰るまで遊んだ。それから勉強して、寝たのが十時であった。
二月九日火曜 晴
朝六時頃、飯森といっしょに明治神宮におまいりして、かえってきて朝飯をたべて學校へ来た。朝礼の時紀元節の歌のけいこをしてから、すぐ建国祭の展覧会を見にいって、學校へ帰った時はお昼であった。それから弁当をたべて書き方や唱歌をし、予習をして帰って来て遊んで、夕方寝台をつくってそこで遊んだ。夜風呂に入り寝たのが九時であった。
二月十日水曜 くもりのち晴
朝床の中で本を見ていると弟の孝が来たので、起きて洋服をきて戸をあけてから、少し遊んでからごはんをたべて、學校へ来た。校長先生から紀元節のお話があり、それから勉強し四時間目式の練習をしてから國史をして予習をしていると、先生が古い練習帳をくれた。
家へかえって孝達と鬼ゴッコをした。それからお父さんに頭をかってもらったので、さっぱりした。お風呂に入って、寝たのが九時四十分頃。
二月十一日水曜 くもり
今日は紀元節の佳き日。僕はいつもより早く起きて、家が一番始めに国きをたてた。それから、妹のくつをみがいてやって朝飯をたべて、飯森といっしょに學校へ来たら早かったので遊んで、式をした。「雲にそびゆる」という歌をうたった時、天皇の御思をしみじみ感じた。
内へかえって孝などと浅日堂にゴムをかいにいって、帰ってから青年会館へ来たら、ぎゅう々つめで身動きもできなかったので、帰ってきた。夕飯をたべて寝たのが十時。
二月十二日金曜 雨
今朝起きていると雨がざあ々ふってきた。朝飯をたべて學校へ来た。始めに算術の試験をして、次に読方の試験をした。「これは明日、父兄に見せるのだ」と先生がいった。書方をして四時間目話をしたが、僕は笑話をした。
予習をしてかえって、夜床の中で勉強していると、すみ江がきびがらをつくってといったので、おヒナさまやら花をつくってやったらよろこんだ。夜寝たのが九時半。
すみ江ねしょうべんする。
二月十三日土曜 雨
今日も雨が降っている。顔を洗って朝飯をたべる時、「えり子も、すみ江といっしょに學校へいきなさい」といわれたので、すみ江はえり子をつれて學校へ来た。三時間目、お母さんとえり子と孝が僕達の教室に来た。その時、えり子が僕の所に来て「お兄ちゃん」といったので弱った。
内へかえって遊んでいると、雨はます〱強く降ってきた。夜は雨はやんだ。夜遊んでから寝たのが九時半。
二月十四日日曜 晴
朝起きてみると、雨はやんで深いきりがたちこめていた。そして、家の屋根からゆげがたっていた。今日は朝寝ぼうしてしまった。勉強してから遊んでいると、亮ちゃんが来たのでお餅をやいた。僕は中へあんこをいれてたべた。
夕方電話をつくって遊んだら、とてもよくきこえたので面白かった。夜夕飯をたべてお風呂に入っている時、午後かんなでつめを半分きってしまった所がいたかった。夜寝たのが九時。
二月十五日月曜 晴
今日は朝起会だったので、朝四時に起きて學校に来た。まだまっくらだ。學校に来てみると、僕達が一番早かった。遊んでいると、ならべといったのでならんで参拝してから、内へ帰って朝飯をたべて學校へ来て、四時間目は写生をしたが中々かけなかったので遅くなった。予習して、僕達は当番だったので当番をして内へ帰った。
内へ帰って遊んで夕飯をたべて、夜勉強して寝たのが九時半であった。
二月十六日火曜 晴
朝飯をたべて、學校に来て遊んで教室に入ってみると、先生がいない。其の時校長先生がいらっしゃって、先生は遅くなるとおっしゃった。そして自習をしていると、先生がいらっしゃった。三時間目また先生は用があるといってどこかへいったので、五時間目はお話やうたをした。今日は予習がないので早く帰れた。
内へ帰ってみると、すみ江達が遊んでいた。夜寝たのが九時半。
二月十七日水曜 晴
今日は日本晴のよい天気だ。朝飯をたべてから學校にいくとき、手紙がない。あちらこちらさがしまわってやっと見つかり、ポストに入れて、やっと皆においついた。かばんを入れてしばらくして鐘がなり、校長先生があさっては祈年祭であるとおっしゃった。教室に入り三時間目球算をして、僕は甲組になれた。四時間目はかけあしをしたり、キックをしてかった。
予習をして内へ帰ってみると、お父さんがおいもを一俵おくってくださった。夜寝たのが九時半。
二月十八日木曜 晴
今朝は少し早く五時に起きて、洋服にきがえて戸をあけてカーテンをとって、勉強をしてから朝飯をたべて、學校へ来た。今日は少し早く學校へ来られた。教室に入り修身をして、理科は教室であった。手工は二時間やった。僕は一時間はかんなのはをといで、よくきれるようにし、二時間目からけずり始めたらとてもよくけずれた。予習をして手工室で手工してから、裏山でたきびをしたりいたずらをした。夜は九時半に寝た。
二月十九日金曜 晴
今朝も少し早く起きて、顔を洗った。井戸水がたいそうつめたい。それから勉強して朝飯をたべて、學校へ来た。今日も少し早かった。今日は祈年祭だ。級長が穏田神社にお詣りにいった。四時間目キックをして、十たい十四で赤がさんざんにまけたので口惜しかった。
予習してから内へ帰って、えり子にかぶとやオルガンをつくらせたらできた。夜は勉強して、寝たのが十時であった。
二月二十日土曜 晴
今日は六時に起きて顔を洗ってから、お線香を仏様にあげて拝んでから、二階へいって勉強してから、朝飯をたべ學校へ来た。勉強して、今日は一年生の身体検さがあるので予習を早くすませて、内へ帰った。内へ帰って遊んでいると、お客さんが来たので二階で遊んだ。帰る時お送りした時、僕にはピストル、妹や弟もいろ々なものをかってもらって、帰りは円タクで帰ってきた。夜寝たのは九時であった。
二月二十一日日曜 晴
今朝起きて戸をあけると、光がさっとさしてきた。日本晴だ。朝飯をたべて、鹿島にさとうをかいにいって、原宿から省線で、東京からはなれたおぎくぼに来た。始めはなんだかわからなく、あちらこちらをさがしまわってとう々みつけた。それから原っぱへいって昼飯をいただいて、遊びに行き、帰ってきてお灸をすえた。五時頃帰ってきた。夜夕飯をたべ紅茶をのんで、寝たのが十時。
二月二十二日月曜 くもりのち晴
朝起きて仏様に線香をあげて、勉強して少し遊んで、朝飯をたべて學校へきた。今日は肉弾三勇士が支那のびょうこうちん(廟行鎮)で戦死した日だ。お話をきいてラジオ体操をして、教室に入った。お昼にお父さんが帰って来た、十二日ぶりだ。図書をして予習をして、今日は当番なので当番して帰ったのが五時頃。
内へ帰ってそうじをしてから、まりなげをして遊んだ。寝たのが十時。
二月二十三日火曜 くもりのち小雨
朝起きて仏様に線香をおあげして、勉強してから弟と遊んでいると、ごはんですよとおっしゃったので朝飯ををたべて、學校に来た。二時間目は活動をした。五時間目は唱歌をして、はやり歌やハモニカをふいたりした。予習をしようと思ったけれど、忘れたので自習をした。
帰って夕刊をみると、今日は満州の万寿節だ。心から今日を祝した。夕飯をたべお風呂に入り、寝たのが九時半。
二月二十四日水曜 晴のちくもり
起きて仏様に御線香をさし上げて、勉強して朝飯をたべて、學校へ来た。學校に来て二時間目は、読方の試けんをやった。三時間目は球算の試けんをやってから、出きた人から出るといって一番早く出られた。帰りに銅をひろった。
昼飯をたべてくぎをひろいにいって、帰ってきてお父さんのおてつだいをして、夕飯をたべてお風呂に入り、寝たのが十時。
二月二十五日木曜 雨
起きてみると雨がざあ々ふっていたので又寝て、今日は少し寝ぼうをしてしまった。朝飯をたべて學校に来て、少し遊んで鐘がなった。理科は教室でやった。手工は二時間やった。一時間目は木にせんをひいて、二時間目からけずり始めた。よく出来た。今日は予習がないから早く帰れた。
内へ帰ってて夕飯をたべていると、お父さんの友達が来たので、僕は電話をかけた。夜寝たのが十時
二月二十六日金曜 くもりのち雨
朝起きて勉強してから、朝飯をたべて學校へ来た。今日も内遊びだ。しばらくして鐘がなった。それから勉強してお弁当の時間になった。僕は、今日のおかずはのりまきだった。今日は当番なので、昼休みに当番をやってしまった。
勉強して予習して帰ってきたのが、今日は少し早くて四時。夕飯をたべてお風呂に入り勉強していると、どこかで火事があったらしい。「うーう」というこえがきこえてくる。寝たのは十時。
二月二十七日土曜 晴のち雨
朝起きて火をおこしてから、少したって朝飯をたべて學校へ来た。体操をして教室に入り、一時間目は読方をし、二時間目は算術の試けんをした。予習する前僕はぱんをたべ、お茶をのみながら予習した。
内へ帰って遊んでいると、留守居をたのまれたので、いもをやいた。少したって、お父さんとお母さんがこんどこす家をみにゆき帰ってきて、とてもひろいから明日こすとおっしゃったので、夕飯をたべすぐ二階へいって大そうじした。お風呂に入って又大そうじを十時までした。寝たのは十時半。
二月二十八日日曜 晴
今日はいよ々ひっこしだ。今日は天気がよいからうれしかった。朝早く起き朝飯をたべ、しまい始めた。今度こす内はたいそうひろかった。ほこりがぼう々とたつ中で、僕達は働いた。
その内兵隊さん達もきて、いよ々大活動が始まった。木戸一つあけると墓場である。僕達も小さいものを運んだり、おつかいをしたりして、からだはわたのようにくたびれた。お風呂に入って洗うと、のび々した。夜寝たのが十時。
(3月に続く)




