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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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8/60

第8話:PDCAって言ってみたかっただけですけど、ちゃんとやってます

「よし、始めようか。第1回カリキュラム実行試験会!」


小さな屋敷の裏庭にて、俺は宣言した。


前日までに書き殴った“ぐにゃぐにゃカリキュラム”をそれぞれに手渡し、今日から本格的に育成フェーズに突入だ。

PDCA?もちろん意識してる。

なんの略かはあやふやだけど、かっこいいから使ってる。



---


【ジル編:体幹強化訓練】

「リオン様、俺、走ります!……って、重ッ!?何この砂袋!?」


「10kgある。友情の重みだ。」


「友情重ッ!!」


ジルは俺を背負って庭を走った。よく転ぶ。

でもすぐ立ち上がる。やっぱスペックが違う。

たぶんこのままゴーレムを素手で倒せるくらいには育つ。問題なし、Plan通り。



---


【サーシャ編:集中訓練】

「この石を、魔法触媒だと思って握ってくれ」


「きれい……これ、あたしの……?」


「うん、さっき拾ったやつだけどな!」


サーシャは石に夢中で、1時間座って動かなかった。集中力バケモン。

合間に鳥の鳴きまねを求めたら「チュン……チュン……(リアル)」と妙に哀愁漂う再現度。

芸術枠か?要再検討。



---


【レオン編:疾風特訓】

「レオン、俺の“おやつ”を30秒以内に厨房から取ってこい!」


「うす!」


結果、18秒。しかも正確にバタークッキーを3枚持ってきた。そこまでは完璧だったが……


「リオン様!台所が大変なことに!」


「なぜ冷蔵庫ごと開けっ放し!?」


スピードはある。が、周囲への配慮がゼロ。

D(Do)はOK、C(Check)で赤点。要教育。



---


【ミナ編:根性カリキュラム】

「ミナ、今日は転んでも泣かないで立ち上がる訓練だ!」


「まかせて!」


……結果、数分で20回転倒。


「ひざ、青くなってるけど……大丈夫か……?」


「ふっふーん!へーき!」


あかん、泣きそうになったの俺だった。

愛おしさと心配で胃がキュウキュウする。

カリキュラム内容、ややマイルド化を検討。



---


【ダント編:副官訓練】

「ダント、これはなんの書類?」


「昨日、リオン様が“書いたふり”をした偽帳簿です。」


「わぁバラすの早い!」


「正直が美徳だとリオン様が言ってました。」


うむ。素直でよろしい。しかし書類作成の観察力、冷静な分析力、あとたまに出る皮肉。

こいつ……逸材だな。



---


全てがうまくいったわけじゃない。

厨房が焦げた。

レオンが怒られた。

ミナのスカートは泥だらけになった。

俺も2回転んで1回泣いた。


だが、成長の匂いがあった。


俺は、みんなの前で宣言した。


「問題点はいくつかある。だが!次に活かせば、すべては経験だ!」


「「おおーっ!!」」


お小遣いだけは忘れずに渡した。教育のモチベは報酬と実感。これは基本だ。


リオン・フォン・エルトレード、2歳11ヶ月。小さなPDCAを回して、みんなで大きく回ってる晩冬の出来事である。


つづく。

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