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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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4/60

第4話:俺の成長は諦めた。だから育てる側に回ります。

魔物事件から数日後。


俺は屋敷のテラスで、ひたすら使用人たちの動きを眺めていた。


「やっぱ……おかしいって。」


メイドは重い水桶を片手でひょいと持ち上げ、執事は高速で書類を処理しながら村人の相談にも対応。

さっきなんて、エミリーさんが鳥を素手で捕まえて調理してた。


この家の使用人、戦闘だけじゃなく生活力もMAX。

ステータス画面があったら全部カンストしてるレベル。


そんな彼らに俺は悟った。


「俺、この家系の中でまともに戦える未来、ゼロだな……。」


走っても遅い、力も弱い、魔法は出ないし、パン投げられたら泣きそうになる体たらく。

わかってる、自分の限界。でも、絶望はしてない。


なぜなら――


「人材を育てて、生き延びる方法があるじゃないか。」


見ろよ、うちの使用人たち。

誰がどう見てもバケモン級の強さと信頼性。

その採用、教育、指導。全部やってるの、うちの両親だぞ?


「……これは学ぶしかない。」


俺は決めた。この家の人材戦略を学び尽くし、第二、第三のロルフを生み出すのだ。

自分は弱くていい。その代わり、強い仲間を自分の手で育てる。


「ふふふ……見える……未来が見える……人材育成王国の礎が……!」


「リオン様?何か企んでらっしゃいますか?」


「わぁ!?リリアさん!?忍者か何かですか!?」


静かに背後に立っていたメイドのリリアさんにビビる。

やばい、思考が漏れてた?声出てた?危ない。


「何もしてません。人を育てたいなぁって考えてただけです。」


「まあまあ、立派な志ですね〜。それなら、エミリー様の新人教育術など参考になりますよ?」


お?情報きた!


「ふむふむ、で、そのエミリーさんはどうやって教育してるんです?」


「まずは相手の性格タイプを3分類するんですよ。“素直バカ”、“理屈っぽい天才”、“面倒くさがり”。で、それぞれに合わせた叱り方と褒め方が……。」


「なるほど……メモを……あ、手が動かねぇ!!」


「かわい〜♡」


完全にペット扱いされているが、俺の頭の中は真面目だ。

将来のスカウト戦略に繋がるビジョンがすでに浮かんでいる。


リオン・フォン・エルトレード、1歳8ヶ月。教育方針と人材育成理論に興味を持った晩夏の出来事である。


つづく。

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