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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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27/60

第27話:私はしゃべらない。だって、“言葉”はもう育ってるから。

王都広場、中央公会堂。


今日は、「全国育成連盟 承認再審査」に伴う公開討論会――


いわば、“リオン式教育”への国としての是非を問う場である。


壇上には、王都教育省の長老派、名門貴族の子弟教育責任者たち、そして――


「登壇代表、リオン・フォン・エルトレード殿。」


俺は、静かに席に着いた。


場内にどよめきが走る。


「ほんとに来たのか……!」


「でもまだちっちゃい……。」


「発言、できるのか……?」


司会者が声を発した。


「では、反対派代表より、ご意見をお願いします。」



---


「そもそも、子供に教育を教えるなど時期尚早。」


「音楽や遊びで学ぶなど、“型破り”も甚だしい!」


「貴族の伝統に干渉せぬこと、これは国家秩序の保全そのものだ!」


矢継ぎ早の批判が飛ぶ。


だが、俺は――しゃべらない。


ただ、膝の上のメモ帳を開いたまま、黙って聞いていた。


「おい、何も言わんのか?」


「これが代表の態度か?」


ざわつく場内。


しかしそのとき、ひとりの青年が立ち上がった。



---


「すみません、発言しても?」


「……許可します。どちら様でしょう」


「私は王都西区で働く教師です。“あの教材”に救われた人間です」


彼は、無記名教材の話をした。


誰にも読まれなかった教科書。

沈黙していた教室。

それが、あの簡素な本で変わったと。


「“学ぶって、遊びじゃない”って思ってた。でも、“遊びのように夢中になること”が学びでした。」


彼に続いて、老漁師が立った。


「読み書きできねぇって、長年ごまかしてた。でも……息子に“字を教えてくれ”って言われた日、ああ、生き直せるって思った。」



---


続々と立ち上がる人々。


元酒場の女将、木工村の父親、吟遊詩人の母、移住した保護者、そして――サーシャ、レオン、ミイナ。


「私は、教えてもらったんです。“学ぶって、誰かの未来を守る力”だって。」


「字を覚えたら、嘘を見抜けるようになった。“自由”が増えました。」


「僕たちは“人に頼れる”ようになった。“信じて学ぶ”って、そういうことだと思います。」



---


司会者が静かに言った。


「……リオン殿、なぜお話しにならないのですか?」


俺は、ようやく顔を上げた。


「だって、話すまでもないじゃん。もう、“言葉”はみんなの中にあるから。」



---


リオン・フォン・エルトレード、4歳と6ヶ月。


“声を上げなくても伝わる力”――それが教育だと、証明された日の記録である。


つづく。

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