第14話:金は湧かない。でも、支援は飛んできた。
「……また、拾ってしまった。」
夕方、裏庭。パン屑を追いかけていたら、藁の山の中にいた。全身泥だらけ、ガリガリの幼子。泣き声も上げず、ただ目だけがきょろきょろしていた。
「名前は?」
「……アオ。」
「今日から“リオン育成所・第ニ期生”だ。」
気がつけば、俺の周囲には再び増え始めていた。最初の精鋭たちが巣立ったあとも、街には“助けを求める目”があふれている。
そう、俺はまだ3歳半。戦えない、魔法もない、でも――拾うことはできる。
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しかし。
「さすがに……財政がきつい!!」
食費、寝具、衣服、文房具、訓練道具、読み物……子供が10人増えるたびに出費がぐんと跳ね上がる。
今や第ニ期生は15名。さすがのうちの屋敷でも、予算調整にヒィヒィである。
そんなとき――
「リオン様、お届け物です。」
届いたのは、分厚い封筒。金色の封蝋、豪華すぎる便箋。その中身はなんと――
「援助金!?え、銀貨じゃない、金貨で来た!?」
「王都貴族数名から、“育成活動への感謝と継続支援”として送られたものです。」
お礼状にはこう書いてあった。
“先日頂いた人材は全員即戦力でした。次の推薦人材を楽しみにしております”
「……なんか、俺、商社の人みたいになってない?」
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そこからが早かった。
次々と届く支援依頼。内容はこうだ。
・「うちの家に優秀な家庭教師を育ててくれ」
・「次期当主の従者候補を数名紹介してほしい」
・「王都の研究所に、読み書きのできる助手を斡旋願う」
「いや、うち、就職課じゃないし……。」
でも、子供たちにとってはチャンスだ。将来の居場所。自立の足場。
俺は考えた。そして――
「リオン育成所・推薦制度」設立を決意した。
内容はこうだ。
・一定の課程を修了した者に推薦状を発行
・適性に応じた進路選択を提示
・送り出した者が成果を出した場合、次期育成資金に還元
そう、教育も資金も“循環”する仕組みを作るのだ。
「育てて、送り出して、また育てる。これが俺の生存戦略――ver.2!」
リオン・フォン・エルトレード、3歳8ヶ月。金銭支援と信頼が“仕組み”を生み出した夏の始まりである。
つづく。




