表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/60

第15話:帰れる場所があるという安心が、人をまた歩かせる

ある夜、寝る前の俺の枕元に、ロルフさんがそっと差し出したのは――


「リオン様宛ての手紙が、また数通届いております。」


「また……って、最近めっちゃ増えてるよね。」


それは、俺が送り出した元部下たちからの便りだった。


毎週のように誰かが送ってくる。報告もあれば、相談も、ただの近況もある。そして、今回の手紙の一つに、俺の目が止まった。


それは、王立魔術院で研修を受けているはずの、サーシャからだった。



---


『リオン様へ


こんにちは。元気ですか?


わたしは、元気では……あるけれど、ちょっとだけ、心がしんどいです。


まほうの勉強は好き。でも、まわりがすごすぎて、ぜんぜん追いつけません。


わたし、“すごい”って言われて送り出されたけど、ここじゃなかったのかも……って、思うときがあります。


リオン様が言ってた、「迷ったら、戻ってこい」って言葉、ほんとに戻っていいのかな。


ごめんね、へんな手紙で。


サーシャ』



---


「……あのバカ真面目が、ここまで書くってことは、よっぽどだな。」


俺はすぐに、便せんを広げた。

文体は“ちょっと大人風”。

でも内容は俺らしい率直なものにした。



---


『サーシャへ


お前が今しんどいのは、“ちゃんと戦ってる”証拠だ。


才能あるやつが、才能の塊に囲まれると、必ずぶつかる。自分が“普通”だと思う瞬間が一番きつい。でも、それは成長の種でもある。


戻ってきてもいい。うちには“再育成制度”ってのを作った。別の道を探して、もう一度送り出す。それが俺のやり方だ。


でも、お前がもう少しだけ頑張ってみようと思えるなら、もうちょいだけ、そこで踏ん張ってみ。


失敗しても戻れる場所があるって知ってるだけで、明日がちょっとマシになる。


リオンより』



---


翌日。


俺は“再育成制度”を正式に設立した。


●名称:「リターン・トレイル・システム」

●対象:斡旋後の子供たちで、進路変更希望者

●内容:元所属者への再訓練と進路再斡旋

●条件:悩んだらすぐ連絡すること(恥は捨てろ)


「育成ってのは、人生の道しるべだけじゃなく、“灯台”でもあるべきなんだ。」


「素敵な言葉ですね、リオン様。」


「今、自分で言っててちょっと照れた!」



---


数日後、サーシャからの返事が届いた。


『もう少しだけ、がんばってみます。灯台があると思えたら、ちょっと泣けました』


リオン・フォン・エルトレード、3歳10ヶ月。はじめて“帰ってもいい”制度を作った、柔らかくて温かい秋の始まりである。


つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ