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前略、疑問と質問と

「今更なんだけどさ、リリアンも冒険者なんだよね?」


『ラックベル』を出て、あたしの剣を直すために鍛冶師のいる街『テンカ』へ歩く。

 あたしはふと思いついた疑問をぶつけてみた。


「なにを当たり前の事を今更、そうですよ」


 まぁネオスティアにおいて、戦う技術を持ってる人は冒険者って認識でいいんだろうけど。

 リリアンが戦ってるのを見たことがないから気になったんだよね。


 ……殺された事はあるんだけどさ。


「正直なところ、今はあまり戦う気はありません。これのせいで全力どころか半分も実力をだせませんからね」


 せいぜい2割、といったところでしょう。

 手の枷を見せつけるようにあげ、淡々と語るリリアン。2割って……


「あ、じゃあスキルボードとかみせてよ。強い人のも参考にしたいし」


「お断りします」


 即答。やっぱり自分で強くなれってことかな。

 リリアンはやっぱり、あまり自分の事を教えてくれない。


「強い人の真似をするのがあなたではないでしょう」


「……だね」


 少し考えて頷く。

 やっぱり大分仲良くなれたと思う。最初はこんなふうに、あたしを考えた発言はしなかった。

 そうだ、出会った頃に聞けなかったことも聞いてみよう。


「そういえば、なんであたし最初に殺されたの?たしか単純に気に入らないって」


 今思えば酷い話だ。……いやあの頃でも十分酷い話だ。


 ピタッ、と足を止め振り返るリリアン。まずい、少し早かったか……?


「私に命じられたのは、転生者をルキナ様のもとに連れてくることでした」


 ルキナさん、たしか『青の領地』の領主でリリアンの主人だったよね。久しぶりに聞く名前に目的を再確認する。

 ルキナさんに、ちゃらんぽらん女神からの封筒を届ける。その報酬としてあたしは元の世界に帰る。


「目的は忘れてないようですね。私は自分よりあなたがルキナ様に必要とされてるように感じ、それが単純に気に入りませんでした」


 なるほど、もっと自分を見て!って感じかな?

 そう思うとリリアンが、とても可愛らしくみえてくる。

 あたしは自分の死を水に流す、いやまぁとっくに気にしてないんだけど、今は生きてるし。


「ですが、出会い、共に旅をする中で気づきました。あなたは……」


 いやぁ、照れるな。多分、褒めてくれるつもりだろう。そう、あたしは……


「ルキナ様から必要とされるはずのない無能だと」


「そこまで言う必要はないんじゃないかな!?」


 前言撤回、可愛くないやい!


 冗談です。薄く笑うリリアン、その表情に少し目を奪われる。


「少なくとも、誰かの居場所を奪って喜ぶ人間ではないと認識しました。特訓にもよくついてきてます」


 リリアンは、あたしの背のカゴに目をやる。カゴにはもう半分以上の石が入っていた。


「まぁね、せっかくだし最後までついていくよ」


「その意気です」


 その後も何気ない会話を続けながら、リリアンの気まぐれな特訓をこなしていく。

 『テンカ』までの道のりはまだ長い。

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