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不倫の神様  作者: 天狗
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66/70

LOG.66|不倫なんて最低よ|With MIKA





4号機と不倫中に…



香港にいるはずの、

旦那が店に突入してきた。





ドカァン!


美容室の備品を

蹴っ飛ばす4号機の旦那。





4号機の旦那

「今度こそ許さない!」






俺は人より、

修羅場経験値が高い。



どう逃げるか、

冷静に組み立て始めていた。



しかしそれ以上に、

4号機の動揺がゼロだった。








4号機

「あら?帰ってきたの?♡」

「どうしたの?」

「その怖い顔……?」












4号機…


お前を選んで

やっぱり正解だったよ。






バカと不倫すると修羅場で詰む。


だが4号機は違う。



頭がキレる。

動きが早い。

演技ができる。

サイコパスで嘘つき。








お前は、

俺やミカに、似ている。










4号機の旦那

「また浮気しただろ!」

「全部知ってんだぞ!」






にしても…

旦那の見た目…。


ホント冴えねぇデブだな……。


典型的な不摂生の金持ちか…。


弱そうだし、

めんどくせぇから

ぶん殴ってみようかな?




と、

ふざけたこと考えている間、


4号機が

椅子に座って足をパタパタし始めた。






あ。





緊急回避システム、

発動合図。










こんな安い修羅場で

使ってほしくなかった。



だが…

まぁしゃあない。やるか。








4号機

「違うわよ、バーカ」

「ウチとこいつはなんもないから」







完璧な第一声。


4号機がスイッチ入ったのを見て、

俺も演技に入る。







シン

「す、すみません……」

「アタシ、帰ります……」








4号機の旦那

「待て!ダメだ!帰るな!」






手首を掴まれた瞬間、

俺は叫んだ。







シン

「ま、待ってください!」

「アタシ…恋愛対象じゃないです!」







旦那が固まる。






4号機の旦那

「アタシ…?」

「え…?」






シン

「アタシ…」

「彼氏、いるので…」





4号機の旦那

「……は?」

「嘘つくな!」

「騙されるワケないだろ!」





シン

「これ、彼氏です」




リュウトが、

酔っぱらって俺に抱き着いてる画像。





4号機の旦那

「彼氏…タトゥー多いな…」




シン

「強そうな男性とか大きい男性がタイプなんです」

「…あなたみたいな♡」





4号機の旦那

「お、おい」

「俺は、やめてくれ…」






4号機

「この人、彼氏の惚気しか言わないの」

「マジでウザかった」








完璧。

アドリブ力が高すぎる。






そして、

俺からしたら、


リュウトが遠隔で損してるのが

面白くて仕方ない。








4号機の旦那

「……あ、そうなの……」

「悪かったな……」






俺の手首から

旦那の手が離れる。






バカが。


俺は心が乙女なんだから

優しく扱えや。


二度と逆らうな、デブ。











4号機は

俺に畳み掛ける。




4号機

「つーかお前さ」

「ウチが付き合いで……」

「整骨院行ってあげてるのよ?」

「なのにお前…」

「気持ち悪い惚気ばっかで」

「全っ然仕事しねぇじゃん!」

「気持ち悪いの!」

「わかる!?」






4号機の旦那

「……そんな言わなくても」

「可哀想じゃないか…?」







旦那のほうが

気迫に押されて小声になる。







シン

「…ごめん」








4号機の旦那

「………」







4号機

「ごめんじゃねーよ!」






4号機がブチギレついでに

スマホを地面に投げた。




バキ!





棚の角に当たり、

見事に画面が割れた。



自分で証拠を隠滅した。


これも、脱出ポッドの一部。





4号機の旦那

「あ…スマ、」





4号機

「ふぅ〜スッキリ!」

「あなたのおかげで本音言えた♡」

「だから浮気じゃないの♡」

「焼肉行こ♡」






旦那は腕を引かれるまま、

尻すぼみになる。






4号機

「お前は、早く帰れ!」

「しっしっ!」






帰るタイミングも調整してくれる。


4号機、お前は天才だ。






シン

「……じゃあ、帰ります」





泣きそうな顔の演技のコツは

すっぱい時の顔、だ。







外に出た瞬間、

4号機の旦那が駆け寄ってきた。






4号機の旦那

「さっきはすまなかった!」

「本当に悪かった!」

「少年、気をつけて帰ってね…!」

「ごめん……!」

「彼氏とお幸せに!」






深々と、

俺に頭を下げた。


俺は軽く頭を下げて、

美容室を離れた。








ーーー









みたか。





100%負け、からスタートしたのに、


最後には相手に謝らせ、


不倫は、誤解として処理され、


俺は無傷で帰宅した。









外に出た瞬間、

思わずリュウトに電話した。





リュウト

『なにー?』




シン

『はっはっは!』

『ひーっひっひ!』

『聞けよリュウト!』

『さっきよぅ…』





リュウト

『マジでー!?』

『マジでやったのアレ!?』

『楽しそうー!』

『やっぱシン頭いいなー!』






勝手に写真使われたのに、

楽しそうー!じゃねぇんだよなぁ…。



よかった。バカで。








シン

『だろー?』

『はっはっは!』

『今暇だろニート!?』

『パーッと呑むぞ!』





リュウト

『りょーかい!』

『すぐ準備するわー!』




いやー愉快痛快!


緊急回避システム、大成功!


バカが、二度と逆らうな!





バカを騙して酒を呑む!



”最高の人生”だ!









今回…


4号機を失ったが…


2号機と3号機は

まだ関係はあった。





だけど……


この頃には

俺の欲は壊れていて…


遊べる子が2人では、

満足出来ない体になってた。








ーーー







そしてリュウトと向かった呑み屋。



そこには…


いつも、美人がいる。



実は、

前々から目はつけていた。








夫婦で店を回してる、

昔ながらの居酒屋、の嫁。




年齢は、40手前。




…なのに、

現役女優みたいな顔。



髪型も顔もメイクも

宝塚って感じだ。



つまり、モテる側の女。






こいつは、5号機だ。




5号機にしてやる。







5号機は、

ラストオーダー後、

客と同じカウンターで

その日のまかないを食べる。


その時 よく喋っていた。





旦那はこのタイミングで

ガタガタと

倉庫整理や掃除が始まる。



つまり、

ノールックだ。





バカが…。

隙だらけだ…。

俺に隙を見せるな。







口説こうと思ったが…





リュウト

「これ美味いな!」

「大将!おかわり!」





自分で呼んだとはいえ…



リュウト…邪魔だなぁ。



よし。





シン

「飲めよホラ」

「イッキだリュウト。」






リュウト

「うええ!?」




散々飲ませて…






リュウト

「……。」





無事、リュウトが潰れた。





これで口説ける。




導線は整った。





そして

店じまいが近づくと…



5号機は、

当たり前のように

俺たちの隣に座る。



その夜も同じだった。




5号機は

タンっと軽くグラスを置いて、

俺の顔を見て言った。





5号機

「前から思ってたんだけどさぁ」

「シンさん、変に色気あるよね」

「すっごいエロそう」




軽い冗談だろう。


でも今の俺は本気にした。






なぜなら、


俺は今、

心の中にミカを飼っている。





ミカ

【いけ!】






シン

「ありがとう」

「誉め言葉でいいんだよな?」







俺はゆっくり足をぶつけて、

反応を見る。



ミカ

【そう】

【次はLINEね】





5号機

「ちょ、バカ」

「やめてよ…!」







5号機は笑っていた。



拒絶ではない。







次は太ももの上にLINEのQRを置いた。




ミカ

【表情ちゃんと見て】

【メニュー表バリアもサボらずね】







ずっと俺の中に

ミカがいてくれるから

自信たっぷりに戦える。






5号機が一瞬だけ俺の足を見る。


そして、

照れながら読み込んだ。


通知が来る。





ミカ

【後は、隠密作業よ】







そのまま隣で

関係ない話しながら

目の前でLINEで会話した。






シン

「これ、うまいね」






5号機

「でしょ?」

「何時間も煮込んでるからね」




と、口では会話しながらも

手元のLINEでは、






シン

『俺、ありでしょ?』






5号機

『若いエキスは欲しいかも』

『若返りたいんだよね〜』





シン

『明日、昼間あいてる?』






5号機

『あいてる』







シン

『フォレストきて』

『14:00』






5号機

『いいの?』

『こんな おばさんで』








スパイみたいで超楽しかった。







シン

「すみません、代行」

「帰るぞ、ニート」






リュウト

「……うぷ」








ミカ

【やったね!】

【大成功!】

【ほらね、シンなら出来るわ】







ーーー







そして翌日。



フォレストで会って、

首絞めて、しっかり沼らせた。



サクッとゲームクリアだ。









心にミカがいれば、





何も怖くない。







絶対負けない。







ミカと俺で、

この街の人妻たちを

一網打尽にしてやる。





ミカ

【アンタは最高よ】








ーーー









5号機とはその後、

ホテル組と家パーティー組の

安全なシフトを成立させた。


調整も上手く、扱いやすかった。








ただ、今回…

問題は別の女から来た。






ある日、帰宅すると…


黒いゴミ袋が

家の前に置いてあった。







よく見ると……






まさかの2号機だった。


玄関前で、

2号機が黒い服着て

体育座りで泣いてた。







シン

「びっくりした!」

「どうした!?」

「大丈夫か!?」






2号機が顔を上げる。


涙でぐしゃぐしゃだ。






2号機

「ふぇぇぇ…」

「離婚しちゃったぁぁぁ…」

「あんなやつ死ねばいいのに…」






聞けば、

まさかの旦那の不倫。


それが原因で離婚。






ミカ

【これは厄介ね】




任せとけ、ミカ。






2号機

「ぐすっ…」

「不倫とかっ、う、ぐす」

「ありえない、ぐすっ」

「人としてどうなのよっ」







いや、お前もな!


いや、俺もな…。








2号機

「いい歳した大人が…」

「不倫なんて、最低よ!」

「子供のこと考えてないの!?」

「私ばかり、いつもっ…いつも!」





お、俺に言われても…。






そして2号機は、

禁断の呪文を口にしてしまう。






2号機

「シン、私と結婚しよ」








さて。



ついにきたか。




…ん?


2号機と別れるのは…


初めて…だよな?






ミカ

【どうしようね?】

【コイツ、また捨てちゃう?】





ああ。捨てる。


……また、とは?




いや、落ち着け。


今は目の前の事に集中しろ。





今の状況だと…


2号機、3号機、

同時に切るしかないのか…。





もったいない…


が、仕方ない。





シン

「ごめん」

「俺……結婚するんだ」







ミカ

【アレを、やるのね】







2号機の顔が止まる。








2号機

「誰と……?」

「意味わかんないんだけど…?」









シン

「ま、厳密に言うと結婚というか」

「実家に帰るんだ」

「俺、母さんが好きなんだ」

「女として」






ミカ

【よし、一旦、表情確認】






沈黙。


呼吸さえ忘れた顔。



よしよし……。







シン

「60歳手前で親父が再婚してさ」

「そしたら嫁が30歳で!」

「歳が近い母さんが誕生したんだ」

「惚れちゃってさ、俺」

「だから…」

「実家に帰って口説こうと思う」






完全沈黙。


動揺の気配だけが空気に残る。





もちろん、最初から嘘だ。


親父は再婚なんてしてない。





ミカ

【さすが】

【アンタは天才よ】






そしてさらに、

そこに優しさの形を被せる。








シン

「なぁ2号機」

「何か困ったらいつでも頼ってね」

「失ったんじゃない」

「元の生活に、」






2号機

「ミカって女?」

「ホントは、ミカと結婚するの?」





な…




ミカ

【あーあ】

【サウナで名前出したからだね~】





2号機

「最初から、そう言ってよ。」

「別に、怒ったりしないよ。」





2号機の目から

涙が消えて、




完全に感情が無くなっていた。





シン

「…バレたか。」

「あぁ、そうだよ。」






ミカ

【きゃはは!】

【ホント噓つき!】

【メイが聞いたらブチギレね!】







2号機

「……そ」

「わかった」

「ありがとう、シン」










ミカ

【ま、結果オーライ!】






さすが俺だな。


なんだかんだ、

うまくいってしまう……。




ミカ

【シンは、不倫の神様!】






そう。俺が神だ。


バカが、二度と逆らうな。





ミカ

【二度と逆らうな!】






そして俺は微笑んで返した。






シン

「こっちこそ、ありがとう」

「3号機にも、伝えるね」

「俺から説明しておくよ」

「また、どっかでな」






そして2号機は帰った。




ミカ

【シン!】

【これからも、一緒だよ!】

【ずっと、ミカと一緒!】






あぁ、そうだな。





ミカ。



これからも、助けてくれ。




…なんだか久しぶりだよな?



ミカ

【うん】

【ずっと、待ってたよ】

【おかえり】




……そうか。







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