ヴィルとの再会
幻獣保護区へ侵入した男について、ホイップ先生から調査結果を特別に教えてもらった。
そもそもどうやって、厳重な警備が敷かれている幻獣保護区内に入れたというのか。
その方法とは、施設内でケガなどを治療する幻獣達の食糧となる、果物の箱に忍び込み、検査を掻い潜るように結界魔法を展開させた状態で入ってきたという。
魔法を巧みに操る犯人だからこそ、できた芸当だったのだろう。
その男は元々魔法使いで、過去に国家魔法師だったこともあったらしい。
けれども過去に禁書を横領し、王都から永久追放の身となっていたようだ。
職や財を没収し、禁書で得た魔法を忘却させるだけで、もともと身につけていた魔法を消す権利はなかったようだ。
その辺についても、見直される機会があるだろうとのこと。
何はともあれ、捕まえることができてよかった、よかった!
◇◇◇
行者遠足から戻ってきた私達は、十日間の休養日が設けられた。
もともと予定していたものだったが、幻獣保護区での滞在が長かったため、ありがたいと思ってしまう。
けれども一日休んだら十分体は元気になった。
ガーデン・プラントの植物の世話をしつつ、あとの期間は何をしようかと考えていたら、ヴィルがやってくる。
「ミシャ、久しぶりだな」
「本当に!」
幻獣保護区内では外部との連絡が禁じられていたため、ヴィルに連絡ができたのは帰宅してきた日だったのだ。
「土産もありがとう」
ヴィルはそう言って、小脇に抱えていた魔法書を持ち上げる。
そこには私がお土産として渡した銀細工のしおりが挟まれていた。
手紙と一緒に、お土産も渡していたのである。
ちょうど休憩を取ろうとしていたので、ヴィルと一緒に薬草茶とお菓子を囲むこととなった。
「幻獣保護区内では、いろいろ大変だったようだな」
「そうだったんです」
密猟者とうっかり遭遇してしまったときのことは、思い出すだけでもうんざりしてしまう。
「皆が無事でよかった」
「ええ」
幸いにもけが人はゼロだった。
にゃんこ大好き班のリーダだったレナ殿下の、的確な指示もよかったのだろう。
「校長から事件について知らされたときは、現場に駆けつけようと思ったのだが」
「ダメって言われました?」
「ああ」
幻獣保護区はたとえ王族に名を連ねるヴィルでさえ、目的がないと入場の許可は下りないのだ。
「まあでも、事件を抜きにしても、行者遠足はいい経験にはなりました」
「学びがあったのならば、よかった」
しばしお茶を楽しんでいたが、ヴィルの表情に憂いを感じた。
「あの、何かありましたか?」
「よくわかったな」
「眉間の皺の深さでわかりました」
これもヴィルと長く一緒に過ごしてきたからこそ、気づけたのだろう。
「実は、レヴィアタン侯爵の子息が闇オークションの会場に潜入して、これを落札してきたのだ」
「こ、これは――!?」
ヴィルが魔法書に挟んでいたチケットを取りだす。
それはツィルド伯爵主催の、豪華客船の旅に参加するためのものだった。




