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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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幻獣発見!

 魔導眼鏡をかけて、周囲を注意深く見渡す。

 私も一種類だけでもいいから探したい。

 なんて考えている中でふと気付く。こうして幻獣だけに集中して探していると、それ以外への注意が散漫になることがわかった。

 レナ殿下のやり方は大正解だったのだ、と身をもって知ることとなる。

 皆とは違う方向を向いて探していると、草がわさわさ揺れているのを発見した。


「ノアさん、あれ!!」


 私が指差した瞬間、顔をこちらに向かって覗かせる。


「見て、幻獣――んん?」


 登場したのは、ミミズみたいな妙な照りのある生き物。


「幻獣なの?」

「さあ?」


 なんて会話していたら、魔導眼鏡に情報が表示される。


「生物情報、宝石スライム――契約下にある個体って、ジェムじゃないの!!」


 魔導眼鏡を外してジェムのもとへ向かう。


「あなた、何をしているのよ」


 ミミズみたいな姿で、少し照れたようにぐねぐねと動いていた。

 その様子を見ていたら、がっくりうな垂れてしまう。


「ねえミシャさん、ジェムはどうしてこんなことをしたの?」


 ノアが信じられない、という表情を浮かべつつ聞いてくる。


「たぶん、嫉妬なんだと思うわ。この子、いつもそうなの」

「そうだったんだ」


 皆、ジェムの周りにやってきて面白がっていたが、ジェムが調子に乗るので止めてほしい。


「わかったわ、幻獣探しはしないから、大人しくしていてちょうだい」


 そんなふうに伝えると、ジェムは小さい形状に変化し、私の鞄の中へ飛び込んでいった。

 はあ~~と盛大なため息を吐いてしまう。


「そんなわけだから、残りはノアさんが探してくれる?」

「いいの?」

「ええ、この通り、ジェムが嫉妬しちゃうみたいだから」

「わかった」


 その後、エアは空飛ぶスズメ幻獣〝メガ・チュン〟を発見したようだ。

 レナ殿下は木々をてんてんと跳び回るリス幻獣〝ジュリス〟を見つけたという。

 順調に発見する中、エルノフィーレ殿下が樹洞じゅどうを巣穴にしている幻獣を発見した。


「この子は……」


 小さなハリネズミみたいな幻獣――〝ヘッジホッグ〟だという。

 様子がおかしいとエルノフィーレ殿下が言うので覗き込んでみると、きつく丸まっている上に呼吸が荒いように思えた。針が抜けて巣穴にたくさん落ちているのも気になる。

 どうしたのか、妖精に聞いてみることにした。


「ねえ、この子、なんだか辛そうなの。見てくれる?」

『いいでちゅよ』


 妖精が樹洞を覗き込むと、焦ったように叫んだ。


『か、かなり衰弱しているでちゅう! 一刻も早くどうにかしないと、命が危険でちゅうよ!』


 その言葉を聞いて、エアが私に聞いてくる。


「ミシャの魔法薬を与えるのはダメなのか?」

「あれは人間向けの魔法薬だから、幻獣にどう作用するかわからないの」


 もしかしたら赤ちゃんには効果が強すぎるかもしれない。

 レナ殿下が叫ぶ。


「妖精殿、ホイップ先生を急いで呼んでくれ!!」

『わかったでちゅう!!』


 すぐさまホイップがこの場に召喚される。


「あらあら、そんなに焦って、どうしたのお?」

「ホイップ先生、エルノフィーレ殿下が発見したハリネズミ幻獣の赤子が、衰弱状態らしいんだ。見てほしい」

「まあまあ、大変!」


 ホイップ先生はすぐさま樹洞を覗き込む。すると、すぐに対応が必要だという。


「幻獣保護区の人に報告したほうがいいけれど、この子の命がもつかしら?」


 エルノフィーレ殿下がホイップ先生に問いかける。


「この子のためならば、なんでもします! ですので、どうか助けてください!」

「なんでもする、って言ったの~?」

「は、はい」

「一つだけ、この場ですぐに助けられる方法があるわよお」


 ホイップ先生はにっこりと微笑みながら、エルノフィーレ殿下に提案した。

 

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