幻獣発見!
魔導眼鏡をかけて、周囲を注意深く見渡す。
私も一種類だけでもいいから探したい。
なんて考えている中でふと気付く。こうして幻獣だけに集中して探していると、それ以外への注意が散漫になることがわかった。
レナ殿下のやり方は大正解だったのだ、と身をもって知ることとなる。
皆とは違う方向を向いて探していると、草がわさわさ揺れているのを発見した。
「ノアさん、あれ!!」
私が指差した瞬間、顔をこちらに向かって覗かせる。
「見て、幻獣――んん?」
登場したのは、ミミズみたいな妙な照りのある生き物。
「幻獣なの?」
「さあ?」
なんて会話していたら、魔導眼鏡に情報が表示される。
「生物情報、宝石スライム――契約下にある個体って、ジェムじゃないの!!」
魔導眼鏡を外してジェムのもとへ向かう。
「あなた、何をしているのよ」
ミミズみたいな姿で、少し照れたようにぐねぐねと動いていた。
その様子を見ていたら、がっくりうな垂れてしまう。
「ねえミシャさん、ジェムはどうしてこんなことをしたの?」
ノアが信じられない、という表情を浮かべつつ聞いてくる。
「たぶん、嫉妬なんだと思うわ。この子、いつもそうなの」
「そうだったんだ」
皆、ジェムの周りにやってきて面白がっていたが、ジェムが調子に乗るので止めてほしい。
「わかったわ、幻獣探しはしないから、大人しくしていてちょうだい」
そんなふうに伝えると、ジェムは小さい形状に変化し、私の鞄の中へ飛び込んでいった。
はあ~~と盛大なため息を吐いてしまう。
「そんなわけだから、残りはノアさんが探してくれる?」
「いいの?」
「ええ、この通り、ジェムが嫉妬しちゃうみたいだから」
「わかった」
その後、エアは空飛ぶスズメ幻獣〝メガ・チュン〟を発見したようだ。
レナ殿下は木々をてんてんと跳び回るリス幻獣〝ジュリス〟を見つけたという。
順調に発見する中、エルノフィーレ殿下が樹洞を巣穴にしている幻獣を発見した。
「この子は……」
小さなハリネズミみたいな幻獣――〝ヘッジホッグ〟だという。
様子がおかしいとエルノフィーレ殿下が言うので覗き込んでみると、きつく丸まっている上に呼吸が荒いように思えた。針が抜けて巣穴にたくさん落ちているのも気になる。
どうしたのか、妖精に聞いてみることにした。
「ねえ、この子、なんだか辛そうなの。見てくれる?」
『いいでちゅよ』
妖精が樹洞を覗き込むと、焦ったように叫んだ。
『か、かなり衰弱しているでちゅう! 一刻も早くどうにかしないと、命が危険でちゅうよ!』
その言葉を聞いて、エアが私に聞いてくる。
「ミシャの魔法薬を与えるのはダメなのか?」
「あれは人間向けの魔法薬だから、幻獣にどう作用するかわからないの」
もしかしたら赤ちゃんには効果が強すぎるかもしれない。
レナ殿下が叫ぶ。
「妖精殿、ホイップ先生を急いで呼んでくれ!!」
『わかったでちゅう!!』
すぐさまホイップがこの場に召喚される。
「あらあら、そんなに焦って、どうしたのお?」
「ホイップ先生、エルノフィーレ殿下が発見したハリネズミ幻獣の赤子が、衰弱状態らしいんだ。見てほしい」
「まあまあ、大変!」
ホイップ先生はすぐさま樹洞を覗き込む。すると、すぐに対応が必要だという。
「幻獣保護区の人に報告したほうがいいけれど、この子の命がもつかしら?」
エルノフィーレ殿下がホイップ先生に問いかける。
「この子のためならば、なんでもします! ですので、どうか助けてください!」
「なんでもする、って言ったの~?」
「は、はい」
「一つだけ、この場ですぐに助けられる方法があるわよお」
ホイップ先生はにっこりと微笑みながら、エルノフィーレ殿下に提案した。




