調査完了!
結局、幻獣保護区内の安全が確認できるまで五日の期間を要した。
翌日から騎士隊を派遣し、広い範囲で調査を行ったという。
思っていたよりも早かったな、という印象だったのだが、クラスメイト達は口々に退屈だったと言っていた。
それに関しては、アリーセも同意を示す。
「やはり、同じ熱量で五日間も自習するというのは難しかったですわ」
四日目、五日目は集中力が切れ、散漫になっていたという。
「そういうふうには見えなかったけれど」
「勉強しているように見えて、考え事をしている時間もありました」
「そうだったのね」
「先生がいるというだけでしゃっきり背筋が伸びて、しっかり勉強に集中できるので、普段の授業のありがたさを感じました」
「それはたしかにあるわね」
「ミシャのほうが勉強がはかどっていましたね」
「それはたぶん、雪国出身だからよ」
長い期間、何もできずに家に閉じ込められるというのは雪国の日常だった。
「大雪が降って、外に一歩も出ることができなくなるの」
使用人達が行う屋根の雪下ろしを手伝いたいなんて言っても、両親から危ないからダメだと言われ、大人しく部屋で過ごすことしかできなくなるのだ。
「大変でしたのね……」
「ええ。でも、集中力もついていたみたいだから、結果的にはよかったのかもしれないわ」
まあでも、普通の状況であれば、ここまで熱心に勉強できなかっただろう。
今回は学期末の試験勉強という目標があったので、頑張ることができたのだ。
「あと、幻獣保護区内の安全確認がもっとかかると思っていたのよね」
想定していたより早かった。
そんなわけで、本日から幻獣保護区内での幻獣探しを始めることができるのだ。
生徒全員に魔導眼鏡と何かあったときのための転移の魔法札、監視を目的とした妖精族が派遣される。
魔法札は湿気でダメにならないよう、防水加工は施されている。
妖精はハムスターみたいなネズミに蝶の翅を生やした子が派遣された。
『よろしくでちゅう!』
「喋った!!」
驚くエアの前で、妖精は自慢げな様子で胸を張る。
前回の妖精はうっかりしている部分があったからか、妖精のランクもアップしているようだ。
学年主任であるアイン先生が生徒の前に立ち、本日のミッションについて説明し始める。
「いいか? 幻獣を発見したら近づかず、刺激しないように大人しくしておくんだ!」
魔導眼鏡はただ見るだけで記録されるという。
「薬草の採取も意識が散漫になるから禁止する! 幻獣探しに集中するように!」
その口調は厳しいが生徒達がケガをしないよう、トラブルに巻き込まれないように、と思うがゆえなのだろう。
アイン先生の話が終わると、クラスの担任がやってきて、各々が担当する区域について説明してくれた。
「〝にゃんこ大好き班〟は、東にある草原区ねえ」
湿地帯ではなくてよかったと思う一方、緑竜に会える可能性がないとわかって少し残念になる。
「区域内に幻獣保護局の人達や先生がいるけれど、十分気をつけるのよお」
「はい!」
そんなわけで、私達〝にゃんこ大好き班〟は草原区に出発することとなった。




