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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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珍しい料理

 夕食はブッフェ形式だった。

 ローストビーフに大エビのグラタン、フォアグラのステーキ、牛肉の赤ワイン煮などなど、学生向けとは思えない豪華な料理が並ぶ。

 料理にはガラスの蓋が被せられているが、自動で開閉する魔法仕掛けのようだ。

 床に魔法陣が描かれていて、立ち止まると蓋が開く仕組みらしい。

 私の前にいたエアが、ギョッとする。


「エア、どうしたの?」

「ミシャ、大変だ! カタツムリの料理がある! 前におじさんがカタツムリは毒があるって言っていたのに、食べて大丈夫なのかよ!」


 カタツムリ料理とは? と思って覗き込んだら、カタツムリではなかった。


「エア、これはエスカルゴよ」


 富裕層が好む、高級食材だと言うと、信じがたいという眼差しを向けてきた。


「本気でこれを食うのか?」

「ええ。私は食べたことないけれど、エスカルゴは〝陸の貝〟って別名があって、けっこうおいしいっていう話よ」

「陸の貝……! そういうふうに聞くと、なんだかおいしそうに思えるから不思議だな」

「一緒に食べてみない?」

「ミシャも初めてか……。わかった。挑戦してみる」


 そんなわけで、私とエアのお皿にエスカルゴが盛り付けられた。


「エスカルゴの口直しにローストビーフをたくさん食べよう」

「おいしいかもしれないじゃない」


 私も食べたことがないし、好みもあるので、絶対に大丈夫と言えないのだが。

 テーブルは班ごとに分かれていて、〝にゃんこ大好き班〟と合流する。

 アリーセのお皿にもエスカルゴがあって、エアが反応する。


「アリーセもカタツムリ食べるんだな」

「エスカルゴですわ」

「そうだった!」


 みんなが揃ったので、いただくことにした。


「よし、ミシャ、エスカルゴを食べるぞ!」

「ええ」

「これは、殻を潰して食べるのか?」

「いいえ、そうではなくて」


 ちょうどアリーセが食べるところだったので、参考にさせていただく。

 アリーセはトングみたいなカトラリーを手に取ると、エスカルゴの殻を固定させ、二股のフォークで身をくるりと回して取り外していた。


「あのトングみたいなやつ、パンを摘まむもんだと思っていた」

「ああやって使うのね」


 私達の視線に気付いたアリーセは、「何を見ていますの!?」と顔を真っ赤にさせる。


「ごめんなさい。エスカルゴの食べ方がわからなくて、参考にさせてもらっていたの」

「そうやってすると、きれいに食べられるんだな! アリーセ、ありがとう!」


 エアから感謝されたアリーセは、まんざらでもない様子でいた。

 私達もエスカルゴをいただく。

 トングでしっかりエスカルゴの殻を掴んで、二股のフォークで身をくるりと出す。

 そのまま頬張ると、肉厚の身に薬草とバターの風味が広がっていく。


「うわ、おいしい!」

「本当、貝みたいだわ!」


 私達がエスカルゴできゃっきゃと楽しむ様子を、レナ殿下やエルノフィーレ殿下、ノアが微笑ましい表情で見ているのに気付く。


「ミシャ、はしゃぎすぎちゃったな」

「ええ」


 エアと一緒に、おおいに反省したのだった。


 

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