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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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宿泊施設へ

 転移魔法で到着した宿泊施設は、五階建ての立派な建物だった。

 噴水広場があり、幻獣保護の偉人であるマリウス・リヒテンベルガーの銅像もある。


「ノア、この人がマリウス・リヒテンベルガーだってさ」

「立派なお方だけれど、なんか雰囲気が神経質そう」


 たしかに、眉間には深い皺が刻まれていて、険しい表情でいる。

 けれども心の中は幻獣愛で満ちた、温かい人物なのだろう。たぶん。

 マリウス・リヒテンベルガーの銅像を眺めていたら、アイン先生が駆けつけてきた。


「貴殿ら! 無事だったか!」


 私達をまとめてぎゅ~~っと抱きしめてくれた。

 苦しかったが、アイン先生の愛が伝わってくる。


「他の生徒もすぐにここへ集まってくるだろう。しばし休むといいと言いたいところだが、少し、詳しい話を聞きたい」

「ならば、私が代表して話そう」


 〝にゃんこ大好き班〟のリーダーであるレナ殿下が挙手する。

 レナ殿下は私達を振り返り、安心するように微笑む。


「皆は先に休んでいてくれ。私もすぐに合流するから」

「わたくしも、同席いたします」


 エルノフィーレ殿下が挙手する。


「いいのだろうか?」

「はい。他の方はどうかお休みになっていてくださいね」


 お二方の言葉に甘えて、私達は休ませていただく。

 部屋は一人で使うようになっているらしい。

 なんて贅沢な、と思ってしまう。

 建物の内部は高級ホテルのようで、床は大理石、天井には水晶のシャンデリアと贅が尽くされたものだった。

 この宿泊施設も、マリウス・リヒテンベルガーの支援で建てられたという。

 優秀な魔法使いでもあった彼は、建物が劣化しないような魔法式を建築に組み込むという、高等技術を織り込んだ宿泊施設を築いたようだ。

 エアと一緒に、美しい内装をまじまじと見てしまう。


「ミシャ、ここすごいな。この建物はすでに建てられてから何百年と経っているなんて」

「新築みたいにピカピカよね」

「本当に」


 そんな会話をしているうちに、男女二名の案内人がやってきて部屋まで案内してくれるようだ。

 男子は四階、女子は五階らしい。

 魔法仕掛けの昇降機エレベーターもあって、至れり尽くせりである。

 エアだけ四階で下りた。


「じゃあ、またあとでな!」

「エアもゆっくり休んで」

「ああ、みんなも!」


 エアは元気いっぱいな様子で下りていった。

 私達は五階で下りる。

 一人一人鍵となる腕輪が手渡された。これを装着していたら、扉に触れるだけで鍵の開け閉めができるという。

 とても軽く、締め付けるような装着感もない。便利な品だと思ってしまった。


「部屋にあります飲み物や食べ物は、ご自由に召し上がってくださいませ」

「ありがとうございます」


 ノアやアリーセと別れ、部屋で休ませていただく。

 今すぐにでも眠ってしまいたいが、湿地帯でのあれこれで汗と泥まみれである。

 お風呂が先だ。

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