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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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緑竜の贈り物

 レナ殿下の手のひらには、植物の種みたいなものが六粒あった。


「ホイップ先生、これが何かわかるだろうか?」

「まあ、すごいわ~! これ、リザレクト草の種よお」


 リザレクト草というのは、最上位の魔法薬を作成するのに必要な薬草だという。

 世界樹の傍にのみ自生する、大変貴重な薬草のようだ。


「私が所持していても、育てられる自信がない。ミシャに託してもいいだろうか?」

「ええ、もちろんよお」


 レナ殿下からリザレクト草の種を受け取る。


「ミシャ、ガーデン・プラントで育ててみるといいわあ」

「責任重大ですね」

「あなたなら大丈夫よお」


 もしも育たなくても、誰も責めやしない。そもそもリザレクト草の栽培を成功させた人はこの世にいないのだから。ホイップ先生はそんなふうに言ってくれた。


「それはそうと、あなた達はどうして、宿泊施設に逃げ込まなかったのかしら~?」

「それが……」


 レナ殿下がホイップ先生に宿泊施設まで転移できる魔法巻物が使えなかった旨を報告する。


「まあ、滲んでいたですって~?」


 特殊なインクを使って作成しているようで、使用できない状態になることはほぼないという。

 けれども実物の魔法札を見たホイップ先生は、ハッとなる。


「これは、なんらかの魔法が干渉しているわ~」

「魔法、ですか?」

「ええ。でないと、こうはならないもの~」


 ホイップ先生は食人花の口に捕らえた男に質問を投げつける。


「ねえあなた、ここでどんな魔法を使ったのかしらあ?」


 もごもごという抗議するような声が聞こえるばかりである。


「きちんと答えないと、食人花がごっくんとあなたを呑み込んで、養分にしてしまうかも~?」


 そんな物騒なことを伝えると、男は白状したようだ。

 何やらもごもごと訴えているが、私には何を言っているのかさっぱりである。

 ホイップ先生は耳がいいのか、きちんと聞き取れているようだ。


「緑竜の活動がもっとも活発になるように、森の湿度をぐっと上げたですって!?」


 春先だというのに、じめじめしていて過ごしにくい環境だと思っていたが、まさかそれが魔法で作られたものだったなんて。


「はあ、呆れたわあ」


 あとの事情聴取は騎士に任せるという。

 ホイップ先生は食人花ごと男を連行し、騎士隊に突き出すようだ。


「ひとまず、あなた達は宿泊施設で待っていなさいねえ」


 そう言って、ホイップ先生は新しい魔法巻物をくれた。

 さらに、幻獣保護区内に密猟者が出たため、他の生徒もすべて宿泊施設まで転移するように鳥翰魔法で伝達するという。


「他のクラスメイトは待機している先生達が助けてくれるから、心配しないでねえ」


 途中で出会った、〝攻撃魔法を極め隊〟の活躍も伝えておく。


「わかったわあ」


 ホイップ先生は宿泊施設まで転移する私達を見送ってくれた。

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