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トワのセカイ  作者: 小桜 天那


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第六話 おぞましい部屋(3)

 そのまま倉庫の扉の前まで着いてしまいました。結局途中でセカイさんと会う事はありませんでした。

「全く、セカイさんはいつまでも何をしているのでしょう……」

 やり場のない怖さを、ここにいないセカイさんに八つ当たりとしてぶつけます。

 以前ここに入った時は、置いてある物の異質さや不気味さなど感覚的なものでしたが、今はそれに物理現象も加わりました。完全に怪奇現象と化しています。整理というのならば、そういう曰く付きの物を優先的に片付けてほしいものです。そうじゃないとここが幽霊屋敷となってしまいそうです。

 怖さを紛らすために、そんな文句を心の中で呟きながら、私は倉庫のドアノブに手をかけました。


 扉をゆっくりと開け、恐る恐る中を見回します。電気が付いたままという事はまだセカイさんはこの中にいるのでしょう。

「セカイさん。セカイさ~ん」

 返事がありません。

 まさか何かあって中で倒れているなんて事はないと思うので、恐らく奥の部屋にいるのでしょう。

 仕方なく倉庫内に足を踏み入れます。

 ────カタカタカタ。

 何かが揺れている音がします。見なくてもわかります。さっきメアリーで見た揺れていた箱です。

 ゆっくりと音の聞こえた棚の右上を見ます。例の木製の箱がありましたが動いてはいません。

 触らぬ神に祟りなし。なので特に確かめる事もせず先に進みます。

 ────カタカタカタ。

 気にしません。無視。無視、無視、無視、むし、むし、ムシ、ムシ…………。

 ────ケタケタケタケタ。

「わあああああっ!」

 突然、棚の中段にあるピエロの人形が揺れながら笑い出しました。

 もう、さっきのメアリーで見ていた時のリプレイになってます。

 …………という事は。

 そのまま私は上を見ると、外国製の赤ちゃんの人形が私を凝視してました。

「っ………………!」

 私は声にならない悲鳴をあげました。こんなの完全にお化け屋敷じゃないですか。

 ──どうしよう、どうしよう………………。そうだ!

 私はスカートのポケットの中に手を入れます。もしもの時のために、以前シアンさんにあげた護身用のペンダントを改良した物を用意しました。自分の意思で結界を発動出来るようにしました。これで自分の周りに結界を張って……。

 ──あれ? でもこれ自分の周りじゃなくて……。

 私はペンダントに魔力を込め結界を発動させました。

 ペンダントから発せられた光は自分にだけではなく、この部屋全体を包み込んでいきます。

 部屋の中が結界の光で満たされると次第に騒いでいた木箱やピエロの人形、凝視していた人形などが徐々に落ち着きを取り戻し、やがて動きを止め、倉庫内は静寂を取り戻しました。

「何とか、うまくいったみたいてすね……」

 紅呂羽さんがこのペンダントを使った時の事を思い出し、『聖なる加護』を使えばその中にあるものは同様に浄化出来るのでは、と咄嗟に使い方を変えてみました。どうやら正解だったようです。

 ……とはいうものの、そもそも浄化しないと入れないような部屋というのが問題ありだと思いますが。

 確かに禍々しい空気は消えたみたいですが、視覚的な不気味さが無くなったわけではありません。さっさと奥の部屋にまで行ってしまいましょう。

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