10-3 sideルイス(ハヤト)
リフトが中腹に着いたので、俺たちは滑り始めた。
二人であーだこーだと話しながら行ける程度にゆっくりと。
「マユとリオも一緒に来たそうだったねー」
ゆっくり滑りながらユウヤが少し大きな声で俺に話しかけてくる。
「あいつらなら運動神経いいから、午後には勝手に滑れるようになるだろ」
俺もゆっくり滑りながらユウヤに言った。
山の中腹からはあっという間で、ホテル近くの傾斜の緩いところまで戻ってきた。
俺たちは何度もリフトに乗っては滑り降り、色々と話をした。
楽しくて楽しくてたまらなかった。
「そろそろ昼だな。昼にはホテルのレストランに戻らないとな」
俺の言葉に
「うん、そろそろ戻る?」
ユウヤもそう言ったので、俺たちはホテルに戻ることにした。
レストランに入って行くと
「おーい、ハヤト、ユウヤ、こっちこっちー!」
マユが四人掛けのテーブルで手を振っていた。
レイズ…考えればマユそのものだな…と思いつつ
「おう、今行く。行こうぜユウヤ」
とユウヤに声をかけ、俺たちはマユとリオの所に向かった。
「もう私らも滑れるようになったよー!ねーっリオ!」
「うん!もう大丈夫だよ!」
マユとリオが言った。
「そうか。どのぐらい行けそうだ?」
俺が尋ねるとマユは
「リフト乗って中腹ぐらいは行けると思うよー」
ドヤ顔でそう言った。
なので
「俺たちは昼からは山頂に行くつもりだぞ」
と言ってみた。
「えー?!そんなのずるいよー!!」
マユとリオが文句を言うと、
「明日にはみんなで山頂に行こうね」
ユウヤがにっこり笑った。
リオが
「見てなさいよ…明日になる前に山頂に行ってみせるから…」
と俺たちをじろりとにらんでそう言った。
昼食後、午後三時ごろにはマユとリオも山頂についてきた。
根性ありすぎだろこいつら…
山頂から中腹まではかなり傾斜が厳しいが、ユウヤと俺はほぼ一直線に滑り降りた。
「もーっ!!待ってよー!!」
叫びながらマユとリオもそれなりについてくる。
「あいつらすごい根性だな」
と俺が言うと、
「ホント。なんであんなに頑張れるのかなー?」
ユウヤが笑った。
俺らが仲良くしてるのを見るためだよ…とは言えなかった。
そうなんだ。
この頃、ユウヤは俺がゲイだとは知らなかった。
マユとリオは俺がゲイだということ、俺がユウヤを好きだってことに気づいてたみたいだけど、ユウヤは何も知らなかったんだ。
…この頃のユウヤは、自分が俺のことを好きだという自覚はなかった…とハリエットが言っていた。
この夢がいつまで続くのかはわからないけど、もし…もしも、修学旅行の最後に、ユウヤに告白するところまでだとしたら…?
俺がふられたところで、この夢は終わるんだろうか…?
夕方まで滑り、ホテルで夕食を取って部屋に戻ってユウヤとまったりしていると、
「お邪魔ー!!」
マユとリオが俺たちの部屋に来た。
「バスの中でやってたゲーム持ってきたよー」
マユがゲーム機を取り出してそう言った。
”恋に恋するアンリエッタ”というスタート画面が見えた。
「最難関攻略対象のルイス、やっとクリアできたんだよね~」
「苦労したわよねぇ…」
マユとリオがそう言ってうなずきあっていた。
「…そんなにルイスって難しいのか…?」
俺はこのゲームの攻略方法などについては良く知らなかったので、そう聞いてみた。
「うん。ルイスはねぇ、アンリエッタが他の攻略対象者との好感度を上げないで、なおかつ学園内で起こる問題を全部平和的に解決しなきゃダメなんだよ」
とマユが言った。
「ハリエットがいい子すぎて…っていうか正しさを振りかざすような感じで、問題解決するのに厳しい物言いしたりするんだけど、それでルイスの気持ちがアンリエッタの方に傾く…みたいな感じなの」
リオがそう説明した。
「それは…ハリエットがかわいそうだね…」
とユウヤが言った。
「うん。俺もそう思う」
俺がユウヤに同意すると、
「そりゃハリエットかわいそうだとは思うけどさー、ゲームじゃん?」
マユが言った。
違う。
俺にとっては…俺たちにとってはゲームじゃない!
現実なんだ!!
…俺は心で叫んだ。
ちなみに私は乙女ゲームはやったことがありませんw←




