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令和二年一月四日 十時十七分五十秒
結局、世界は何も変わりはしなかった。
僕の与り知らないところで大変革が起きていたりするのかもしれないが、少なくとも僕の知る限りでは世界は何も変わっていない。
世界は、そう簡単に終わったりしないのだ。
世界は、僕たちなんかには想像もできないほど強固に完成していて、それは少年の恋とか少女の涙なんかでは全然歯が立たないものなのだ。
僕たちには、世界を変えるような物語は無くて。
それはきっと、とてもありふれた、つまらない凡人たちの帰結だ。
でも――悪くないな、と。
校門で手を振る少女を見て、僕はそう思ったのだった。