第8話
領地機能というものは思っていたより本格的だった。
税率、治安、食料、生産、軍事、外交。
「これ別ゲーじゃね?」
しかも俺の配下はNPCなのに、飯を食うし、寝るし、文句も言う。
「サタン様ー! ゴブリン区画の井戸が壊れましたー!」
「デスに直させろ!」
「デス隊長は訓練中です!」
「じゃあスケルトンに掘らせろ!」
「骨なので力仕事が苦手です!」
「知らねえよ!」
魔王になって一番忙しい仕事が井戸修理になるとは思わなかった。
それでも国は少しずつ大きくなった。
暗黒大陸に元からいたゴブリン、オーク、魔族、獣人。黒い霧のせいで外に出られなかった者達が魔王城周辺に集まり始めたのだ。
人口、いや魔口は三千を超えた。
アイムは伝令隊長。
デスは近衛騎士団長。
フェンリルは……。
「飯」
「お前は何もしてないだろ」
「我は国の守護神だ」
「封印中で戦えない守護神がいるか」
「精神的支柱というものだ」
完全にペットだった。
そんなある日、アレスとミレイが魔王城へ来た。
「プレイヤーが一人、行方不明になった」
「ログアウトしたんじゃないのか?」
「違う。フレンドリストにはオンライン表示。でもどこにもいない」
俺は嫌な予感がして、魔王専用画面を開いた。
《WORLD PROGRESS 78.9%》
《暗黒大陸封印状態:不安定》
《封印内部に異常アクセスを検知》
「……これ、まずいかもしれん」
フェンリルが珍しく真顔になった。
「魔王。地下へ行け」
「地下?」
「玉座の下だ。そこに、この大陸が封じられた理由がある」




