第6話
どれにしようか……。
目の前に浮かぶ三つの選択肢を見ながら、俺は腕を組んだ。
大魔王。無難。
見習い魔神。将来性。
邪神。めちゃくちゃ強い。ただし暗黒大陸強制開放。
普通に考えれば邪神だろう。ステータス大幅上昇、信仰心でさらに強化。俺のプレイスタイルとも合っている。
ただし一行だけ、どう考えても無視できない文章がある。
暗黒大陸が強制的に解放される。
「デスゲームになるんだよなぁ……」
「何を迷っておる。邪神でよかろう」
横で寝そべっているフェンリルが当然のように言った。
「お前、他人事だから言えるんだろ」
「我は神狼だぞ。死ぬ気がせん」
「俺も今のステータスならそんな気はするけど、問題は他のプレイヤーだ」
たかがゲームで知らない人間を死なせる趣味はない。
というわけで。
「見習い魔神、っと」
《クラスアップを実行します》
《種族:魔王 → 見習い魔神》
《職業:魔王 → 魔王》
《新規種族スキル【神気操作Ⅰ】を取得しました》
《新規種族スキル【眷属進化】を取得しました》
《称号【力より良識を選びし者】を取得しました》
《隠し条件を満たしました》
「ん?」
《WORLD PROGRESS 61.2%》
《暗黒大陸封印状態:安定》
「……こんなの今まで出てたか?」
フェンリルが起き上がる。
「我は知らぬ。だが、魔王とは本来この大陸の封印を管理する者だったはずだ」
「は?」
「我も全部は知らん。負けイベント用NPCだからな」
「お前、自分でNPCって言うなよ」
とりあえずその表示を閉じる。
その瞬間、謁見の間の扉が勢いよく開いた。
「サタン様ー!」
飛び込んできたのはアイムだった。最初は三十センチほどだった体も、今では成長して一メートルくらいになっている。羽も少し大きくなった。
「どうした?」
「デス隊長から報告です! 人間がいっぱい来てます!」
「プレイヤー?」
「たぶん! 百人くらい!」
俺はため息をついた。
「ゲーム開始数日で魔王城レイドとか、みんな元気だな……」
こうして俺の魔王生活は、ようやく他のプレイヤーと本格的に交わり始めた。




