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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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039 仕組まれた締め出し(セルフ経済制裁)と、ミニ領都へようこそ!

 冒険者ギルドを飛び出した俺は、その足でテイマーズギルドへ向かいヘレナと合流。そのままイアンとカミラの働く商会へと赴いた。


 商会ではノズチの皮を適正価格で色をつけて買い取ってくれ、防衛用の鉱石もスムーズに購入できた。


(はぁ……最初から商会で買い取ってもらえば良かったよ)


 無駄なストレスを抱えた俺は、帰りの道中でヘレナにギルドでの一連の騒動を話した。するとヘレナは大爆笑。


「あははは! 私も一緒にギルドに行けば良かったわ! あのケチなギルマスが腰を抜かして泡を吹く顔、生で見たかった~!」


(……解せない。俺のムシャクシャは全然晴れないのに)


 理不尽に泥棒扱いされた俺は、思わずポツリと呟いた。

「あーあ、あの冒険者ギルドに何か合法的な嫌がらせでもしたいなぁ」


「ふふ、だったらこの街の冒険者ギルド管轄にある薬草、『根こそぎ』取っちゃおうか?」

 ヘレナが笑顔で物騒な提案をしてくる。


「えっ、街の人たちの迷惑にならない?」


「大丈夫だって。不足分は商会が他の街から仕入れるだけだから、ちょっと値上がりする程度よ。その代わり、地元採取の納品がゼロになるから、冒険者ギルドの売り上げは極端に落ちるわね」


「冒険者たちには迷惑がかからないかな?」


「冒険者はこの街に縛られてるわけじゃないわ。暮らし難くなったら別の街に行くだけよ」


「そっかぁ。それならコボルトたちに頼めば、お茶の子さいさいで出来ると思うけどね」


 開拓村に帰った俺がその話を何気なく口にすると、その「嫌がらせ計画」は一瞬でコボルト全員に広がった。現場にいたドライとアハトの生々しい武勇伝(マチェット無双)と共に。


 この時、誰も把握していなかったが、村のコボルトはすでに総数300匹を超えていた。


 優秀な嗅覚を持つもふもふ大軍団が、冒険者たちの目を盗んで夜な夜な森や野原を駆け巡った結果――俺が気づかないうちに、辺境の街の周辺からすべての薬草が完全に消滅した。


 後日、何も知らない俺が「最近ヤケに薬草が集まるなぁ」と街の錬金術ギルドへ売りに行くと、そこのギルマスから顔を真っ青にして拒絶された。


(あれ? 断られた。だったら他の街の商会で売ろうっと)


 俺はあっさりと別の街へ卸しに行き、潤沢な利益を得るのだった。


 一方、辺境の街の冒険者ギルドは大混乱に陥っていた。


 あの日、怯えたギルマスは恐る恐る「本物の街の領主」にノズチの件を問い合わせていたのだ。


 俺は「辺境の『村』の領主」と言ったのだが、ギルマスは都合よく「辺境の『街』の領主の関係者(貴族)」だと勘違いしていた。しかし、領主からは「そんな少年は知らん」と一蹴される。


「あのガキ、騙しやがったなァァァ!!」


 コボルトに脅され、冒険者たちの前で恥をかかされたギルマスは烈火のごとく激怒。街の他のギルドマスターたち(錬金術ギルドなど)にも圧力をかけ、俺を街から締め出すと同時に、次に見つけたら捕縛しようと血眼になっていたのだ。これが俺が薬草を断られた真相である。


 この不穏な動きをいち早く察知したのが、カミラとイアンだった。

「レン君が危ないわ! すぐに村へ知らせに行かないと!」


 二人は馬車を急がせ、忠告のために命がけで辺境の村を訪ねてきた。


 だが、村の前に到着した二人は、御者席で完全に硬直した。

「な……何よ、ここ……本当に、ただの辺境の村なの……?」


 そこに広がっていたのは、廃村の面影など微塵もない、巨大な三重防壁に囲まれた「難攻不落の城塞都市」だった。バークと力自慢の超大型コボルトたちが、寝る間も惜しんで建築した結晶である。


 圧倒されながらも、大きな鉄の城門の前でカミラが叫ぶ。

「フンフちゃあああああん!!」


「バウバウ!(カミラさん、久しぶりだワン!)」

 今日の門番責任者だったシベリアンハスキー風のフンフが、数匹の大型コボルトを引き連れて、巨大な門をガラガラと開けて出てきた。


「フンフ~! 会いたかったわ~!」

 安堵と驚きで半泣きになったカミラが、フンフのモフモフの体に抱きつく。フンフは嬉しそうに尻尾を振ると、カミラと一緒に馬車の御者席に飛び乗り、領主の館への道案内を買って出た。


 整然と区画され、活気にあふれる村(?)の様子を見回しながら、イアンとカミラは引きつった笑いを浮かべる。


「これ……王都の領地にある『領都』と変わらないじゃん……」


「いや、『ミニ領都』と言っても過言ではないな。一体数日であの少年は何をしたんだ……」


 フンフに案内され、新築ピカピカの立派な領主の館の中へと誘われた二人。


「こんにちは、イアンさん、カミラさん。遠いところをようこそ!」

 ロビーでは、いつもの戦闘服(安心デザイン)を着た俺と、ヘレナが笑顔で出迎えた。


 その後ろには、アインス、ツヴァイ、ドライ、フィアの初期精鋭もふもふ軍団が、まるでお召し抱えの近衛騎士団のような威風堂々とした佇まいでズラリと並んでいる。


 街のギルドが仕掛けた「締め出し」などどこ吹く風。自分たちが完全に「世界の中心」になりつつあることに全く無自覚な俺は、温かいお茶で二人を歓迎するのだった。

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