表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/157

029 名工スカウト大成功! もふもふ建築作業員35匹と、押しかけ錬金術師の移住計画

 辺境の街へと戻り着いたレンたちは、ここまで護衛してくれた『朝焼けの光』の4人と一度別れ、その足で薬師アンナの家へと向かった。


 門のノッカーをカチカチと鳴らすと、すぐに奥からアンナが笑顔で迎えに出てきてくれた。


「あらあら、アイちゃん。お帰りなさい」

「ワフワフ!」(アンナお師匠さま、ただいま戻ったワン!)


 秋田犬風のコボルト・アインスは嬉しそうにアンナに抱きつき、アンナも「いい子ねぇ」とアインスの豊かな赤毛を優しく撫で回す。


「アンナさん、これ、街の門前で買った『美味しい』と評判のお菓子です。皆さんで食べてください」

 レンは道中に仕入れておいたお土産の包みをアンナに手渡した。


「あらあら、そんなに気を使わなくても良いのに。ありがとうね、とっても美味しそうなおもたせだわ。みんなでいただきましょう。さあさあ、中に入ってちょうだい」


 アンナに招かれて庭へと進むと、そこにある木陰のダイニングテーブルでは、今日もジュリアが優雅にティータイムを楽しんでいるところだった。


「こんにちは、レンくん。お帰りなさい。……あら? 見慣れない新しい子がいるじゃない?」

 ジュリアがテーブルから顔を上げ、レンの後ろに控える大きな影に目を留めた。


「はい。この子の名前はツェンと言います」

「バフバフ!」(ジュリアさん、こんにちワン!)


「まあ! なんて見事なもふもふの毛並みかしら!」

「はい、新しく増えた仲間の中でも、このツェンが一番の『最高峰もふもふ』なんですよ」


(しめしめ、狙い通りジュリアさんはツェンの毛並みを一目で気に入ってくれたみたいだぞ)


「とっても可愛いわね、こっちにいらっしゃいな」

「バフ♪」(行くワン♪)


 ジュリアに優しく手招きされ、チベタンマスティフ風の超大型コボルト・ツェンは嬉しそうに尾を振りながら彼女の元へと歩み寄っていく。その巨大なライオン風のタテガミにジュリアが嬉々として両手を埋めるのを見届け、レンはアンナに向き直った。


「あの、アンナさん。バークさんは今いらっしゃいますか?」

「あら、バークに用事かしら? たしか家の中にいると思うわよ。――あなたー! レンくんが来ましたよー!」


「なんだい、呼んだかい。……おお、レンくん! 久しぶりだな。どうした、しばらく辺境の開拓村に行ってたんじゃなかったのか?」

 奥から、頑固大工のバークが道具入れを片手に顔を出した。


「ええ、その辺境の開拓村から今ちょうど戻ったところなんです。今日は、バークさんにどうしてもお願いしたくて来ました」

「ほう、俺にか? なんだい?」


「実は、辺境の開拓村の家屋がゴブリンたちにひどく荒らされてしまっていて、瓦礫だらけでそのままじゃとても住めそうにないんです。そこで、腕利きのバークさんに、村の家々の改築か建て替えをお願いできないでしょうか!」

「ふむ、なるほどな……」


 バークは腕を組み、ゴツゴツした顎をさすった。

「開拓村の再生か。家の事なら俺の専門だから任せておけと言いたいところだが……ただなぁ、あいにく俺の弟子たちが今この街には残っていなくてな。圧倒的に人手が足りん。俺一人じゃ建て替えに何年もかかってしまうし、これでももう良い歳だからなぁ。この街で別の職人や手伝いを何人か雇って連れて行くか?」


「あ、それなら人手に関しては『コボルト』じゃ駄目ですかね? うちのコボルトなら、人手はいっぱいいるのです!」


「いっぱい? おいおい、最初に見せたあのアインスたち5匹以外にもいるのか?」


「あはは……。途中でいろいろありまして、ちょっと数が増えて、今は全部で35匹になりました。 今ジュリアさんにモフられているツェンも、その中の1匹です」


「……35匹ぃ!? 随分とまぁ、大世帯になったもんだな!」

 バークは驚いて目を見開いた後、ジュリアの横で力強くお座りしているツェンの立派な体躯をまじまじと見つめた。


「ふーむ、なるほどな。あいつら並のパワーと器用さがある奴が35匹もいるなら、重い資材の運搬から土木作業まで何でもこなせそうだな。……よし、いっちょコボルト大工団を率いてやってみるか!」


「バフバフ!」(力仕事なら任せてほしいワン!)

 ツェンがタイミングよく頼もしく吠える。


「あら。それなら、ツェンちゃんには私が『錬金術』の基礎を仕込んであげるわよ」

 ツェンの圧倒的なもふもふにすっかり癒されているジュリアが、ツェンの頭を撫でながらバークに告げた。


「あはは、ツェン以外にも賢い子がたくさんいるので、人手や作業に関してはなんとでもなると思います!」

「良し分かった! 話は決まりだ。レンくん、いつ出発する?」


「俺はいつでも大丈夫です! 早ければ今日明日にでも、すぐに村に戻りたいくらいです!」


「がはは、せっかちだな! だが職人は足が命だ、すぐに準備しよう。……ところでレンくん、その開拓村には、俺たち夫婦もそのまま移り住んで構わんのか?」

 バークがふと、真面目な顔をして尋ねてきた。


「えっ? もちろん大歓迎ですよ! 村の家も、バークさんの好きなように自由に作り変えて住んでください!」


「あら、それはとっても良いお話ねぇ。じゃあ私も一緒に開拓村へ行って、大好きなアイちゃんと一緒に暮らそうかしら」


「ワフ!(一緒に住もうワン! お師匠さまの美味しいご飯がまた食べたいワン!)」


「ふふ、アイちゃんも大賛成してくれているようね」

 アインスの喜びようにアンナが目を細める。


「そういうことなら、当然私も開拓村に行くわ。良いわよね、レンくん。ね、ツェンちゃん?」


「バフバフ(マスターが良いって言えば、俺は全く問題ないワン。ジュリアさんにいっぱいモフモフしてほしいワン)」


 ジュリアもすっかりその気になり、ツェンはレンを振り返って期待の目を向けた。


「もちろんです、ジュリアさんも大歓迎ですよ! 今はまだ荒れたボロ家しかありませんが、好きなだけ広く使ってください!」


「へぇ、タダでマイホームを貰えるのね。嬉しいわ。――バーク、そういうわけだから、私の家も最優先で素敵に改築してね。地下室があって、しっかり錬金術の実験ができるような工房付きの家が良いわ」


「おう、全部俺に任せておけ!」

 バークは力強く拳で胸を叩いた。


 こうして、腕利きの大工バークだけでなく、超一流の薬師アンナと、これまた凄腕の錬金術師であるジュリアという「強力すぎる職人トリオ」の開拓村移住が、もふもふたちの魅力によってあっさりと決まってしまった。


 街へのとんぼ返りは大成功。レンは心の中でガッツポーズをしながら、明日からの大建築計画に胸を躍らせるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ