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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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157/157

157 凱歌は静かに響き渡る! 広がる覇道、そしてモフモフたちと歩む新たな地平

 六天魔王の玉座から立ち上る硝煙が消え去った頃、レンたちは無事にミノス王国へと帰還を果たしていた。


 王城の門を潜った瞬間、待ち構えていたリリスとヘレナが、安堵のあまり涙を浮かべて駆け寄ってくる。


「レン様! 無事で……本当に良かったですぅ!」


「ああ、ただいま。心配をかけたな、リリス、ヘレナ」


 レンがそう答えると、足元ではアインスが「ワフッ!」と元気よくレンのブーツを前足で叩き、ツェンがその巨体をレンの背中に預けるようにして「バフ、バフッ」と嬉しげに鼻を鳴らす。


「ふふっ、みんなも本当に頑張りましたね。さあ、まずはゆっくり休んでください」


 ヘレナが優しく微笑むが、その眼下には深い隈が刻まれていた。


「……二人とも、随分と疲れているようだね」

「実はですね……」

 リリスが苦笑いを浮かべる。


「オミラン王国と六天魔王領の戦後処理が膨大すぎて、もう目が回りそうです。おまけにヴァイシュラ様が去ったエチラル王国、その属国たちが次々と『アレスに従属したい』と使者を送ってきていて……」


 ヘレナがため息をつく。


「嬉しい悲鳴ですけれど、あまりの数に書類の山が王城を埋め尽くしそうですわ」


 その時、執務室のドアが勢いよく開き、数名の女性官僚たちがきびきびとした足取りで入ってきた。


「失礼いたします。属国の外交交渉、第一陣の選別が完了いたしました。こちらに調印を」


「助かるわ! あなたがいてくれて本当に良かった!」

 リリスが官僚の手を握りしめる。レンの採用した彼女たちは極めて優秀で、崩壊寸前だった王国の事務作業を次々と片付けていたのだ。


 その光景を眺めながら、レンはヴァイシュラと視線を交わした。

「……どうやら、アレスの器が世界に追いつき始めたようだ」

「ええ。レン様の覇業、もはや誰にも止められませんね」


   ◇◇


 執務室の窓からは、ミノスの街並みが一望できる。

 外ではコボルトたちが、街の人々と仲睦まじく過ごしていた。


「ワン!」

 ツヴァイが街の子どもたちに囲まれ、尻尾をブンブンと振って「撫でて!」とばかりに頭を差し出す。


「ガウッ!」

 ドライが街の大工を手伝い、その真剣な眼差しで木材を運んでいるが、通りがかりの女性に頭を撫でられると、照れくさそうに耳を伏せる。


「ワォン、ワォン!」

 フィアが魔法で小さな光の蝶を作り出し、広場の子供たちを笑わせている。その傍らで、フンフとゼクス、ズィベンが三匹揃って街の噴水のほとりで昼寝中だ。


「アフ……ウワン……」

 大きな体躯を折りたたみ、モフモフの毛並みを日光に透かして、幸せそうに寝息を立てる。


「ウォン……」

 ノインが優雅な足取りで広場を歩き、街の美しい花々に鼻先を寄せる。その横をフィルツェンが、喉のたぷたぷを揺らしながら「バウ、バウッ」と何かを嗅ぎ回る……と思えば、そのままパン屋の店先に座り込み、焼きたてパンの匂いを堪能していた。


「……本当に、賑やかな光景だな」

 レンがそう呟くと、ドライツェンが誇らしげな顔でレンの傍らに直立不動で立ち、アハトと共に主の帰還を静かに祝うように寄り添う。


「レン様」

 リリスが背中からそっとレンを抱きしめた。


「書類の山も、属国の対応も……私たちが絶対に何とかします。ですから、レン様は……」

 レンはリリスの手を握り返し、窓の外に広がる広大な空を見上げた。その先には、まだ見ぬ国々、まだ出会わぬ者たちがいる。


「……ああ。この事務仕事が落ち着いたら、いよいよ本格的に乗り出すぞ。この世界全てを、僕たちの手で導くために」


「全国制覇……ですね!」

 ヘレナもまた、目を輝かせてレンの隣に並ぶ。


 足元では、アインスが「ワフウッ!」と大きく鳴いて前足でレンの服を軽く引っ張る。


「マスター、どこへでもついて行くワフ!」――レンだけには、そう聞こえていた。


 戦いは終わり、しかしアレスの物語はここからが本番である。


 コボルトたちの楽しげな鳴き声と、希望に満ちた官僚たちの足音が響く中、レンは力強く前を見据えた。

 覇道はまだ始まったばかり。


 愛すべきモフモフたちと共に、レンの旅はどこまでも続いていく。

あとがき

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

アレス王国とモフモフたち、そして少し頼りない(?)けれど最強のキング、レンの物語はいかがでしたでしょうか。

最初は小さなコボルトたちとの出会いから始まったこの旅路も、気がつけば大陸を揺るがす覇道へと繋がっていました。冷徹な判断と、それとは対照的にコボルトたちの愛くるしい仕草に振り回されるレンの姿を、楽しんでいただけていれば幸いです。

戦術的な連携とモフモフの癒やしが共存する世界観を、私自身も書いていてとても楽しく、時に頬を緩ませながら紡いでいました。ヴァイシュラの軍神としての采配、そして個性豊かなコボルトナンバーズたちが、レンという主を支える「盾」であり「矛」となっていく成長を感じていただけたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。

物語は一つの区切りを迎えましたが、レンたちが目指す「全国制覇」への道は、まだまだ始まったばかりです。

彼らの行く先には、きっと新しい仲間や、まだ見ぬ強敵、そして……もっとたくさんのモフモフたちが待っているはずです。これからもレンとアレス王国軍を、温かく見守っていただければ嬉しいです。

本作を応援してくださった全ての読者の皆様に、心からの感謝を。

また、別の物語、あるいは新しいレンたちの冒険でお会いしましょう!

ありがとうございました。


他にも異世界ファンタジー作品を多数執筆しています。

気になるタイトルがあれば、ぜひチェックしてみてください!



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