しっとりぽとん、よざくらひらん、恋ぽとり
★前回のお話★
夜の公園での時間が終わり、三人は帰り支度を始める。
らんは、健太と学校で再び会えることに小さな期待を抱くが、
直の強い視線や以前の言葉を思い出し、心が揺れる。
直は仕事の疲れをこぼしつつも、
健太と軽口を交わし、昔のような柔らかい表情を取り戻していく。
その姿に、らんも健太も安堵を覚える。
三人はスマホの話題で盛り上がり、
直と健太の距離が少しずつ修復されていく様子が垣間見える。
らんは、その温かい空気をそっと見守る。
別れ際、直はらんの耳元で
「次会ったとき、健太となんも変わってねーなら……本気で落としにいく」
と静かに告げる。
突然の言葉にらんは強く動揺し、
健太は言葉を失ったまま、しずかな沈黙を落とす。
不器用ながらも少しずつ形を変えながら、
ゆっくり前へ進んでいく三人。
中編、始まります(#^^#)
公園ぬけて、トコ、トコ、トコ。
矢沢くんをちらり。
(しずかすぎる……)
アクアマリン、ぽとん。
「直、わらってたね」
「……うん」
しーん。
(えーっと)
「同い年ってことは、高校生かぁ。なに高かなぁ」
「……さあ」
(うう……キョリ)
「さ、さっきまでふつうに話してたけど……あの人、よく考えたら有名人なんだよね! しかもトップ俳優だよ? そんな人から『つながるぞー』だって。スマホ持ってないの、もうおしいどころじゃないよねー!」
ツインテ、ぴゃんぴゃん。
ちら。
「……うん」
(うく……)
矢沢くん。
昼もこれだったよね。
『身長いくつ?』
『百七十』
しーん。
『この辺に住んでるの?』
『うん、ずっと』
しーん……って。
元ぼっち同士、得意じゃないのはわかるけど……
二文字返事じゃ会話しぬよぉぉ!
寮まで間がもたぬ……
ここに直がいたら、もっとわちゃわちゃしてたのかなぁ……
ぽわわぁ……
『らん、俺の女になれ』
(ひゃっ!)
『次会ったとき、健太となんも変わってねーなら……おめぇを本気で落としにいくかんな』
(ふひぃ!)
脳内リピートばきゅんばきゅん!
(もぉぉぉ!)
口わるパッキンのくせに、言うことだけキザァ!
有名人のよゆーってやつ?
顔、ぽぽぽぽ。
矢沢くん、こっちをじーっ。
(はっ……!)
う……直の話題はキケンブツ……目つつー。
えーっと、なにか、なにか……あっ!
「スマホ! 矢沢くんも持ってなかったんだねっ! じゃ、じゃあ、いっしょに持とうよー!」
「……うん」
アクアマリン、しずん。
(うぐぅ……会話の糸、どこ……)
「私さー、こっち出てくるとき親に『スマホ持て』って言われたんだけど……ちっさい画面ポチるのがどうも苦手で。なんか、持つ気になれなかったんだよねぇ」
おしゃべり、ぽいっ。
お願いっ、キャッチプリーズ!
「……僕は、パソコンで足りてるから。スマホ、なくても困らないし」
パソコン、なでなで。
(おおおお)
キャッチボール成功っ!
ツインテ、ぴゃんぴゃん。
「それに……」
(うんうん)
「どうしたの……?」
にこっ。
「連絡する相手……いないしね」
アクア、どよぉぉぉん。
(ぐわわわわぁ)
まさかの地雷案件!
「あ、で、でもさ、連絡する相手なら、私がいるじゃん!」
自分へ、ちょい。
でへへぇ。
「……でも、さっき『スマホ苦手』って……」
アクア、うるる。
(がはぁぁ)
へんかきゅーーーーー。
そこはストレートに『うん』でいいんだよぉぉ!
(もぉ……!)
「いーよーだっ! 私ひとりでスマホ買って、直とだべちゃうからねっ」
ぷんすかぷいーん。
「それは、だ……!」
(え?)
『だ』なに?
わくわく。
「……うくっ……」
声ごくん。
(もぉぉぉ)
ねえ、直。
あんたと会うとき、
私らまだ『友だちゾーン』ぬけ出せてないわ。
(……はあ)
まあ……このキョリが……
きっと『私たち』なんだよね。
矢沢くんをちらっ。
しずーん。
(……くすっ)
桜、ひらららら。
(わぁ……)
「見て……矢沢くん」
「……え?」
「桜、とってもきれーだよ」
よざくらぴかん、しろふわひらん。
よるふわはらん、ぽとりんこ。
「ほんと……綺麗だな……」
矢沢くん、ぽつ。
「ね」
にこ。
視線、ぱち。
「今の言葉……すごく、綺麗だった」
ふわんにこ。
ドキン……
「……よざくらぴかん、しろふわひらん……」
矢沢くん、ぽつ。
(へ?)
「よるふわはらん、ぽとりんこ……」
アクア、ぱたん。
「光のしずく……夜の空気に、白い羽」
ぽそ。
ツインテ、ぴゃん。
ドキドキドキ。
「君と歩く夜の散歩道」
(わぁ……)
「桜のひらきが、光のしずくとなって舞い落ちる」
これ……いま、ぽとんって出てきたことばなの……?
(すご……)
「よざくらぴかん、しろふわひらん」
(トクン……)
「その世界の音を、僕は隣でそっと――抱きしめるように聞いていた」
アクアマリン、ぱち。
(はわぁ……すてきすぎ……)
よるの光、すぅ……
アクア……キラキラキラキラ。
「……藤井さんの世界。もっと知りたいな……」
にこ。
(矢沢くん……)
出会ったときから、私のことばを『きれい』って言ってくれた……
ずっと『へん』って言われてきた、私の『ふつう』を、
はじめて抱きしめてくれた人。
誰にもマネできないチカラなんだって、
教えてくれたのは、矢沢くん。
『聞くだけじゃ、もったいない』
そのことばで、私、矢沢くんの世界に……とろんぽとん。
落ちたんだ。
私を、まるっと受け止めてくれてありがとー!
「矢沢くんが、だぁぁぁぁいすき! だよっ」
(えへへ)
「えっえっえっ! あ、あの、え、や、そ、そそそ……!」
パソコン「ガタンッ」
メガネ「ずりぃ」
(ぷっ)
「あわてすぎだよー」
私、けらけら。
「や、だ、だって、ふふふふ不意打ち……だったから……」
おたおた、わたた。
「だって、言いたくなっちゃったんだもん」
ペロ。
「う……くぅ……」
顔、落下。
(あはっ)
ほーんと、テレ屋さん。
「さ、行こ」
ツインテ、ふわん。
「う、うん」
メガネ、くいっ。
てく、てく、てく。
トコトコ、トコ。
「門限……そろそろ気になってきたぁ」
ぽそ。
「何時なの?」
パソコンぱかり。
ピカぽわぁ。
「十時から十二時」
ぽい。
「九時前だし、まだ余裕あるよ」
ぱたん。
(よかったぁ)
るんるん、てくてく。
「……一人暮らし、すごいなぁ」
矢沢くん、ぽそり。
「矢沢くんは、ずっとこの街なんだよね?」
「うん。家を出るって、考えたことなかったよ」
(……そうなんだ)
『暗いって言われるほうが多いんだ』
矢沢くんも、私と同じ。
みんなに『ふつう』を否定され続けて、
『友達みたいな顔されると迷惑』
『もう声、かけんな』
信じてた直にまでキョリ置かれて、
『友達……残念ながらいないんだ』
そんなふうに言うしか、できなくて。
矢沢くん、私と同じ『ぼっち仲間』だったのに、
それでもこの街からにげなかったんだ。
そっちのが、すごいよ。
「私は、にげちゃった」
『へんなの』
『めんどくさい』
そんなのばっかで、あの街にいたって、居場所なんてないんだもん。
「へへっ」
ほっぺ、ぽり。
「でも……それでよかったんだと思う」
返事、ぽとん。
「え……?」
キョト。
「だ、だって……そうじゃなきゃ……ぼ、僕が……君を……見つけられなかった……から……」
まぶた、つつー。
(どっきぃぃぃん)
「矢沢くんっ……!」
(えー……どうしよ)
ドキドキ。
なんかいまの、告白っぽくなかった?
きゅるるん、ツインテさわわ。
『ねぇ、いまの告白?』って聞いちゃおうかな。
(ああん、でもでもぉ)
『へ? なにが?』なんて言われたら、きっと立ち直れない……ずん。
(でも……!)
もうにげないぞ。
じゃないと直と恋人……むりむりむり!
よぉぉぉっし!
恋のひと押し、ぽとり落とすよぉぉぉ!
こうなったら、なにがなんでも『アイラブユー』って
言わせちゃるぅ!
読んでくれて、ありがとうございましたm(__)m
次回更新、がんばりますー。




