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25/25

しっとりぽとん、よざくらひらん、恋ぽとり

★前回のお話★


夜の公園での時間が終わり、三人は帰り支度を始める。

らんは、健太と学校で再び会えることに小さな期待を抱くが、

直の強い視線や以前の言葉を思い出し、心が揺れる。


直は仕事の疲れをこぼしつつも、

健太と軽口を交わし、昔のような柔らかい表情を取り戻していく。

その姿に、らんも健太も安堵を覚える。


三人はスマホの話題で盛り上がり、

直と健太の距離が少しずつ修復されていく様子が垣間見える。

らんは、その温かい空気をそっと見守る。


別れ際、直はらんの耳元で

「次会ったとき、健太となんも変わってねーなら……本気で落としにいく」

と静かに告げる。

突然の言葉にらんは強く動揺し、

健太は言葉を失ったまま、しずかな沈黙を落とす。


不器用ながらも少しずつ形を変えながら、

ゆっくり前へ進んでいく三人。

中編、始まります(#^^#)

 公園ぬけて、トコ、トコ、トコ。


 矢沢くんをちらり。

(しずかすぎる……)

 アクアマリン、ぽとん。


「直、わらってたね」

「……うん」


 しーん。


(えーっと)


「同い年ってことは、高校生かぁ。なに高かなぁ」

「……さあ」


(うう……キョリ)


「さ、さっきまでふつうに話してたけど……あの人、よく考えたら有名人なんだよね! しかもトップ俳優だよ? そんな人から『つながるぞー』だって。スマホ持ってないの、もうおしいどころじゃないよねー!」

 ツインテ、ぴゃんぴゃん。

 ちら。

「……うん」


(うく……)


 矢沢くん。

 昼もこれだったよね。


『身長いくつ?』

『百七十』


 しーん。


『この辺に住んでるの?』

『うん、ずっと』


 しーん……って。


 元ぼっち同士、得意じゃないのはわかるけど……

 二文字返事じゃ会話しぬよぉぉ!

 寮まで間がもたぬ……


 ここに直がいたら、もっとわちゃわちゃしてたのかなぁ……


 ぽわわぁ……


『らん、俺の女になれ』

(ひゃっ!)


『次会ったとき、健太となんも変わってねーなら……おめぇを本気(マジ)で落としにいくかんな』

(ふひぃ!)


 脳内リピートばきゅんばきゅん!


(もぉぉぉ!)

 口わるパッキンのくせに、言うことだけキザァ! 

 有名人のよゆーってやつ? 

 顔、ぽぽぽぽ。


 矢沢くん、こっちをじーっ。

(はっ……!)

 う……直の話題はキケンブツ……目つつー。


 えーっと、なにか、なにか……あっ!


「スマホ! 矢沢くんも持ってなかったんだねっ! じゃ、じゃあ、いっしょに持とうよー!」

「……うん」

 アクアマリン、しずん。

(うぐぅ……会話の糸、どこ……)

「私さー、こっち出てくるとき親に『スマホ持て』って言われたんだけど……ちっさい画面ポチるのがどうも苦手で。なんか、持つ気になれなかったんだよねぇ」

 おしゃべり、ぽいっ。

 お願いっ、キャッチプリーズ!

「……僕は、パソコンで足りてるから。スマホ、なくても困らないし」

 パソコン、なでなで。


(おおおお)

 キャッチボール成功っ! 

 ツインテ、ぴゃんぴゃん。


「それに……」

(うんうん)

「どうしたの……?」

 にこっ。

「連絡する相手……いないしね」

 アクア、どよぉぉぉん。


(ぐわわわわぁ)

 まさかの地雷案件!


「あ、で、でもさ、連絡する相手なら、私がいるじゃん!」

 自分へ、ちょい。

 でへへぇ。

「……でも、さっき『スマホ苦手』って……」

 アクア、うるる。

(がはぁぁ)

 へんかきゅーーーーー。

 そこはストレートに『うん』でいいんだよぉぉ!

(もぉ……!)

「いーよーだっ! 私ひとりでスマホ買って、直とだべちゃうからねっ」

 ぷんすかぷいーん。

「それは、だ……!」

(え?)

『だ』なに?

 わくわく。

「……うくっ……」

 声ごくん。

(もぉぉぉ)

 ねえ、直。

 あんたと会うとき、

 私らまだ『友だちゾーン』ぬけ出せてないわ。

(……はあ)

 まあ……このキョリが……

 きっと『私たち』なんだよね。

 矢沢くんをちらっ。

 しずーん。

(……くすっ)


 桜、ひらららら。


(わぁ……)


「見て……矢沢くん」

「……え?」

「桜、とってもきれーだよ」


 よざくらぴかん、しろふわひらん。

 よるふわはらん、ぽとりんこ。


「ほんと……綺麗だな……」

 矢沢くん、ぽつ。


「ね」

 にこ。


 視線、ぱち。


「今の言葉……すごく、綺麗だった」

 ふわんにこ。


 ドキン……


「……よざくらぴかん、しろふわひらん……」

 矢沢くん、ぽつ。

(へ?)

「よるふわはらん、ぽとりんこ……」

 アクア、ぱたん。

「光のしずく……夜の空気に、白い羽」

 ぽそ。


 ツインテ、ぴゃん。

 ドキドキドキ。


「君と歩く夜の散歩道」


(わぁ……)


「桜のひらきが、光のしずくとなって舞い落ちる」


 これ……いま、ぽとんって出てきたことばなの……?

(すご……)


「よざくらぴかん、しろふわひらん」

(トクン……)

「その世界の音を、僕は隣でそっと――抱きしめるように聞いていた」

 アクアマリン、ぱち。


(はわぁ……すてきすぎ……)


 よるの光、すぅ……

 アクア……キラキラキラキラ。


「……藤井さんの世界。もっと知りたいな……」

 にこ。

(矢沢くん……)


 出会ったときから、私のことばを『きれい』って言ってくれた……

 ずっと『へん』って言われてきた、私の『ふつう』を、

 はじめて抱きしめてくれた人。


 誰にもマネできないチカラなんだって、

 教えてくれたのは、矢沢くん。


『聞くだけじゃ、もったいない』


 そのことばで、私、矢沢くんの世界に……とろんぽとん。

 落ちたんだ。


 私を、まるっと受け止めてくれてありがとー!


「矢沢くんが、だぁぁぁぁいすき! だよっ」

(えへへ)

「えっえっえっ! あ、あの、え、や、そ、そそそ……!」

 パソコン「ガタンッ」

 メガネ「ずりぃ」

(ぷっ)

「あわてすぎだよー」

 私、けらけら。

「や、だ、だって、ふふふふ不意打ち……だったから……」

 おたおた、わたた。

「だって、言いたくなっちゃったんだもん」

 ペロ。

「う……くぅ……」

 顔、落下。

(あはっ)

 ほーんと、テレ屋さん。


「さ、行こ」

 ツインテ、ふわん。

「う、うん」

 メガネ、くいっ。


 てく、てく、てく。

 トコトコ、トコ。


「門限……そろそろ気になってきたぁ」

 ぽそ。

「何時なの?」

 パソコンぱかり。

 ピカぽわぁ。

「十時から十二時」

 ぽい。

「九時前だし、まだ余裕あるよ」

 ぱたん。

(よかったぁ)

 るんるん、てくてく。

「……一人暮らし、すごいなぁ」

 矢沢くん、ぽそり。

「矢沢くんは、ずっとこの街なんだよね?」

「うん。家を出るって、考えたことなかったよ」

(……そうなんだ)


『暗いって言われるほうが多いんだ』


 矢沢くんも、私と同じ。


 みんなに『ふつう』を否定され続けて、


『友達みたいな顔されると迷惑』

『もう声、かけんな』


 信じてた直にまでキョリ置かれて、


『友達……残念ながらいないんだ』


 そんなふうに言うしか、できなくて。


 矢沢くん、私と同じ『ぼっち仲間』だったのに、

 それでもこの街からにげなかったんだ。

 そっちのが、すごいよ。


「私は、にげちゃった」


『へんなの』

『めんどくさい』


 そんなのばっかで、あの街にいたって、居場所なんてないんだもん。


「へへっ」

 ほっぺ、ぽり。

「でも……それでよかったんだと思う」

 返事、ぽとん。

「え……?」

 キョト。

「だ、だって……そうじゃなきゃ……ぼ、僕が……君を……見つけられなかった……から……」

 まぶた、つつー。

(どっきぃぃぃん)

「矢沢くんっ……!」

(えー……どうしよ)

 ドキドキ。

 なんかいまの、告白っぽくなかった? 

 きゅるるん、ツインテさわわ。


『ねぇ、いまの告白?』って聞いちゃおうかな。

(ああん、でもでもぉ)

『へ? なにが?』なんて言われたら、きっと立ち直れない……ずん。


(でも……!)

 もうにげないぞ。

 じゃないと直と恋人……むりむりむり!


 よぉぉぉっし! 

 恋のひと押し、ぽとり落とすよぉぉぉ!


 こうなったら、なにがなんでも『アイラブユー』って

 言わせちゃるぅ! 




読んでくれて、ありがとうございましたm(__)m

次回更新、がんばりますー。

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