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私の居場所を見つけてください。  作者: 葉方萌生
第三章 しのび寄る気配

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□母の日記Ⅲ

<1999年10月29日>


役所で無事に母子手帳をもらえた。

当たり前だけど、事務的な手続きでこうして手帳が手に入って、なんだかまだ夢のなかにいるよう。だけど、確かにいるんだよね。このお腹の中に。

夫もとても喜んでくれたし、すごく気を遣ってくれてる。

「重いもの持たないで」とか、「つわり大丈夫? 食べられそうなもの買ってくるよ」、とか。

すごく心配してくれてるから、子どもが生まれたらもっと心配性になるだろうな。

でも夫の気遣いがとてもありがたい。ありがとう、博史さん。



<1999年12月24日>


今日、お腹の子どもの性別が分かった!

女の子だった。一人目はなんとなく女の子がいいなと思っていたからとても嬉しい。

クリスマスプレゼントだね、と夫と話していた。

だけど……。

院長からいろいろ言われて、後ろめたい気持ちがずっとついて回ってる。とてもじゃないけど、夫には言えない。誰にも言えない気持ちをここに吐き出しているだけ。喜びの裏で、こんな気持ちを味わうなんて。私はどうしたらいいんだろう。



<2000年1月6日>


だめだ、もう無理かもしれない。



<2000年1日10a>


院長の様子がおかしい。

もう終わりにするって言ったのに。彼の中ではまだ終わっていなかったみたい。どうしよう。子どもは順調に育ってる。でも私にはわかる。私はたぶんこの子に会えない。あの院長が、黙ったままでいるはずがないから。

みんなは知らないんだ。この病院で院長が何をしているのか。私だけが気づいてしまった。だから院長は私の動向を常に窺ってる。口封じされてしまうかもしれない。どうしよう。とにかく守らなくちゃ。この子を。この子と博史さんとの未来を。そう思っているのに、やっぱり無理だと諦めてしまう自分が憎い。

ぎりぎりまで粘る。

院長、あなたがやっていることはひととして最低なことです。



<2000年1日29日>


空っぽになってしまった。

なんにもない。

もうなにもかもどうでもいい。


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