第六十五話
「ローゼルトの姫、どうぞ」
善なる意志は手を向けて促す。
「勇者様に力を与える方法はどんなものなんでしょうか」
力になりたくてもなれないクリムの不安ゆえのものだ。
「絆だよ、それ以外ない。勇者の信頼を得て勇者を信頼する。物理的なプロセスは不要だよ。必要だとしても精神的プロセスに昇華する過程でしかない」
善なる意志は歩きながら手を上に下に振りながら答える。
「そう、ですか…………」
クリムは納得するも不安なままだ。自分は勇者様に認められてるのか、信頼されてるのか確かめられていないのだ。
「今のでもう一つ、疑問。そのシステムだと強制合体はできなそうだけど向こうの、敵の勇者ができるてことは?」
勇は人差し指を立てた後向こう側に向けて問うと善なる意志は目を丸くした。そして難しい顔になる。
「以前の戦いではなかった。だが、もしや可能性の問題としてはあるかもしれん。邪悪な意志もより力をつけたかもしれん。それだけだ…………」
「ありがとう」
「そうか、さらばだ」
善なるはまたたく間に光となり消えていく。
「一瞬で!?」
「やはりただ者ではありませんね」
ハリーとアステリア王女は魔法も無しにその消える時間に驚いた。
「さてと。色々あったばかりだが勇者殿、リンネ様、事情をお聞かせ願います」
ハリーは勇とリンネに向き直る。




