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異世界生物排斥論者

 特殊次元対策課も異世界敵性生物も、瞬く間に周知されていた。

 敵性生物の出没する範囲が限定的ながら、出れば命にかかわるほどの事態になるし、ラクシー人はマヒしてしまって逃げる事もできなくなってしまう。

 次元事故という史上初めての事故も、その実験そのものも興味をひくものであるし、異世界や異世界人との接触も、経験のない事柄だそうだ。

 異世界生物と呼称すれば篁文達も化け物も虫も皆入ってしまうため、区別を付けるために、篁文達は異世界人、化け物はサル型敵性生物、虫は虫型敵性生物と呼称している。

 概ね市民は、異世界人を受け入れてくれている様子ではあるが、中には、敵性生物と同列とまではいかないまでも、警戒を解かない人達もいる。

「申し訳ありませんが、当レストランはラクシー人以外のご利用をお断りしております」

 ウエイターが慇懃に断って来る。こんな風に。

 篁文達は揃って昼食を摂ろうとショッピングモールの中のファミレスのような所に来たのだが、ウエイターの慇懃な拒絶にあっていた。

 店内の客も、ウエイターと同じ反感の目、推移を楽しそうに窺う目、断られてざまあみろと言わんばかりのニヤニヤ笑いを浮かべる者、頭の上で耳のように両手を立てて手をヒラヒラとさせる者も、少なくない。

 憮然とした表情を浮かべるセレエとしょんぼりとする紗希を、

「天気もいいし、公園にでも行くか」

「そうであるな!きっと気持ちがいいであるな」

「お腹空いたわあ」

と篁文、ドルメ、パセが促し、レストランを後にする。

 扉を閉める直前、店内で拍手が起こったのは、聞かなかった事にした。

 公園の入り口には、ホットドッグのようなものやポテトフライ、魚のフライ、ピロシキのような物を売る移動販売車がとまっている。

 日常会話がどうにかできる篁文とセレエが皆の注文を伝えて買い物を済ませ、噴水の見えるベンチに座った。

「美味い!」

「うわあ、ピロシキだあ」

「濃い味だなあ。でも、慣れて来たな」

「魚フライ、最高!」

「カレーパンも作ってくれないかな」

 そんな事を言いながら食べていると、レストランの不愉快な対応も、忘れそうになる。

「はあ。あたし、帽子を被ろうかなあ」

 食べ終えて、パセが言い出した。

「え。聞こえにくくなるし、耳を押しつぶしそうで嫌だって言ってたじゃない」

 紗希が目を丸くしたが、パセは苦笑を浮かべた。

「うん。でも、耳でどうしても異世界人ってバレるじゃない?制服着てなくても」

 それに、全員が言葉を無くした。

「何で僕達が気を使わなくちゃならないんだ?被害者だぞ」

「まあ、無用な摩擦を回避して不愉快な思いをしないためと割り切ればいいじゃない」

 そして、ドルメが嘆息まじりに言う。

「吾輩も、翻訳機や篁文、セレエに頼らずに済むように、本気で言葉を覚えるのである」

「そうね。私もやるわ!

 パセ。可愛くて被り心地の良さそうな帽子を買いに行きましょ!」

「紗希、一緒に行こうね」

 女子2人はにっこりと笑い合い、ささくれだった気分が和らぐ。

 と、一斉に手首の端末が呼び出し音を立てた。

 まだおっかなびっくりのドルメを除き、全員がすぐに通話をつなぐと、ヨウゼが音声のみで伝えて来た。

『次元震です。今どこですか』

「公園の噴水です」

 言いながら、送られて来た地図を見た。次元震の発生場所として示されているのは、今来たばかりのショッピングモールだった。

『装備は車で向かわせますので、そこから現場に移動し、南口で落ち合って受け取って下さい』

「わかりました。

 急ごう」

 端末を切り、どこか複雑な思いがするものの、皆は立ち上がって現場を目指した。








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