第59話 王都からの召喚状
「ほれ、これがその召喚状だ。」
レトはそう言ながら一枚の手紙を俺に渡す。
そこにはあの王国騎士団団長ラシュリー様の鎧にも刻印されていた剣に薔薇が絡み合っている紋章の印章が押印されており、王国からの勅命である事を伺わせている。
「で、俺はこれからどうすればいいんですか?」
「早い内に王都へ出発した方がいいだろうな。」
「え……めんどくさ(ボソッ)」
「パンツ!!凄いね!!王国から呼び出されるなんて凄いじゃない!!」
何故かアイルが嬉しそうにして俺の腕を掴みはしゃいでいる。
「凄いのか?めんどくさいぞ。」
「パンツって、名誉欲とかないの?」
「ない!!!」
「「ないの!?」」
俺が即答すると、アイルとレトが同時にツッコむ。
俺は普通に生活がしたいのだ。
ラノベで良くある色んな事に巻き込まれて『あれ?俺、何かやっちゃいました?』とかアホな事はしたくない。
………って、既に少ししてるけど……と言うか、周りが勝手に噂話で広まってしまう事が問題だ。
これからは一般的な魔法や物の価値を見定めていかないと……今回の特急復癒液みたいにまたやらかす事になる。
アイル達からもっと魔法の知識や一般生活に関する事を教えて貰わないといけないな。
しかし『鑑定魔法』か。厄介だな。
俺の力を見抜かれたら絶対に厄介毎に巻き込まれるのが目に見えている。
「ギルマス、行かないって事は……」
「出来る訳ないだろう。王の勅命だぞ?従わなければ……死。」
「「死!?!?」」
「……ぬかもしれないな。」
俺とアイルが同時に声を出す。
クッソ。やっぱりめんどくさい!
鑑定スキルに見破られない方法とかないのか?
後でガガンさんか魔法少女のソフィちゃんに聞いてみようかな。
ガガンさんは魔力が視えるとか言ってたし、視える繋がりで鑑定スキルを欺く魔法とかあるかもしれない。
ソフィちゃんも自分の属性ではない魔法の事まで勉強してるし有効な魔法の事を知っているかもしれないしな。
「後、王国へ行くのは、俺一人で行かないと駄目なんですか?」
「まぁ、当然そうだな。パンツ兄ちゃんを鑑定する為だしな。」
この世界の一般常識を知らない俺が一人旅だと!?
ヤバくない?ねぇヤバくない?
急に不安になって来た。
「それで……いつまでに王国へ行けばいいんですか?」
「そうだな。馬車ならここから王都までは1か月以上かかるから早めに出た方がいいんじゃないか?」
「……1か月。ながッ。」
俺は思い出す。空間移動を試した昨夜の事を。
昨夜、マップで行先を指定した場所にも空間移動出来たのだ。
これを使って行けなくもないが……これはこの世界の常識範囲外の魔法だろう。
見知らぬ街で使っている所を見られでもしたら……。
ここは取りあえず、通常の旅程で移動した方がいい気がする。
「どうしたの?パンツ。急に黙っちゃって。」
「え?あぁ、馬車で移動とか大変そうだなっと思ってね。」
「確かに1ヶ月馬車はきついぞぉ?俺も新人冒険者の頃、馬車で移動した事があるが、ケツが死ぬ。」
「「ケツが死ぬ!?!?」」
俺とアイルはまた叫ぶ。
ケツが死ぬって!?
それは嫌だ!!
「だから、グリ便で行けばいいんじゃないか?あれなら王都まで3日ぐらいで着く筈だぞ?」
グリ便?あのオカマグリフォンか?
「グリ便ですか……でも高いですよね……。」
「まぁ、確かに高いが……ギルドが貨物の定期便契約してるから背中に乗せて貰えばいいんじゃないか?一人乗せるぐらい大丈夫だろ。
安くなるかもしれんし俺が掛け合ってやってもいいぞ?と言うか、旅費に関しては王国側で実費負担するって書いてあったから思う存分空の旅を満喫すればいいんじゃないか?交通費の領収書貰うの忘れるなよ。」
領収書あるのか……。
しかし1か月馬車の旅でケツが死ぬ事は避けたい。
グリ便を使えれば旅程を大幅に短縮できるしケツが死ぬ事もない。
「ギルマス、ではグリ便の手配する事をお願い出来ますか?」
「おう。任せておけ!」
「で、お前達、俺に何か話があって来たんだよな?こちらの話ばっかりですまなかったな。」
おおぅ。そうだ。
調査隊員を受けるって話をするんだったな。
俺はアイルをチラリと見るとコクリと頷き話始めた。
「ギルマス。私達、調査隊の件、受けようと思います。」
「おぉ!決めてくれたか!助かるぜ!で、いつから入れる!?」
アイルがそう言うと、ギルマスは満面の笑みで握手してくる。
て、もう仕事にいつから行けるかの確認か。
まるでバイトのシフトみたいだな。
「え、まだこっちでどこに住むかも決めてないので……直ぐにいつから入れるかはちょっと相談させて下さい。」
「そうか。住む所か。ギルドが贔屓にしてる不動産屋があるからいい物件、探しといてやろうか?」
「え!いいの!?」
「あぁ。任せとけ!」
ギルマス、頼りになるなぁ。
この街でのギルドの影響力を考えると当然か。
俺の偽りの伝手と違って、あちこちに何かしらの伝手があるのかもしれない。
「所でお前達はいつまでこっちにいるんだ?それまでに住む場所を探してみよう。」
「ギルマス、物件探すのにどれくらいかかります?」
「そうだな。明後日また来てくれるか?そうすれば大体、物件もいくつか用意出来る筈だ。」
「明後日ですね。分かりました。アイルも覚えておいてくれ。」
「うん。わかった!」
「パンツ兄ちゃんの件だが、グリ便の手配もその時までに確認しとく。」
「何から何まで有難う御座います。」
「イイって事よ!もう俺達はギルド仲間なんだしな!!ハッハッハッハッ!」
レトはそう言うと快活に笑う。
ギルドマスターって職種も人付き合いが上手くないと務まらないんだろうな。
俺は出来そうにない。
どちらかと言うと俺は一人で黙々とやるタイプだし。
人には向き不向きがある。適材適所、量才録用だ。
そして明後日来る約束をして、俺達はギルドを後にし『ゆっくりしていっ亭』へ向かった。
すると宿が騒々しい。
何かあったのか?
宿に入ると、目に飛び込んできたのは、酒盛りをしているガガンさんとコフィさん、ステフおっさん3人だった。
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