第57話 狼狽
貴重な時間を使い読んで頂いてありがとうございます!
お蔭様でブクマ100超える事が出来ました。
まだまだ思い描いている本編は遠いですが、これからもお付き合い頂ければ幸いです!!
「でもどうするの?何か良い言い訳でもあるの?」
俺がアイルの軽いお口に心の中で悪態をついた直後に即、シバかれた後、ルク・スエルーメリッサ村の旅程(馬車で5日間)を誤魔化す言い訳を考える。
「…………実はお土産を選んでいて、まだ帰ってなかったって事にしよう。今日帰るって事にすればいい!」
「……えぇ?お土産選ぶのに6日もかけるって、ちょっとありえなくない?」
「そっか………じゃあ途中でモンスターと戦闘になって旅に必要な食糧が少なくなってしまったので引き返して来たって事にしよう!」
実際、モンスターと遭遇したしな!うん!そうしよう!
アイルも腕を組んで難しい顔をしている。
確かに苦しい言い訳だが、空間移動を使える事は、ばれる訳にはいかないのだ。
俺はアイルに手を合わせてお願いする。
「頼む!アイル!!俺の言う事に合わせてくれないか?」
「………まぁいいけどさ。」
「どうしたの?パンツ君。急にアイルちゃんを引き摺って行っちゃって。」
俺がアイルをいきなり奥に引きずって行ったので、褐色肌爆乳受付嬢のプラーニャさんが再び尋ねて来る。
「ん、おほん。……実は街を出発した3日目の夜にモンスターと遭遇してしまって森の中を逃げ回ってたら迷って食料が足りなくなって引き返して来たんですよねぇーあはははは。」
「え!?そうだったの!?それは大変だったね!ちなみにそのモンスターはどうしたの?街道沿いに現れる様なモンスターなら緊急討伐依頼を出さないと!」
「えぇ!?あ、ああ!そ、そうだ!あの、あれです!俺達を護衛してくれた『太陽の風』の皆さんが討伐してくれたのでもう大丈夫ですよ!!うん!」
「え?そうなの?なーんだ。それでモンスターはなんだった?」
「ブラッドボアでした。な!アイル!」
「うん!しかも魔導石持ちだったよ!」
「魔導石持ち!?それはかなり苦戦したんじゃない?」
「「えーと……そーでしたねー。」」
俺とアイルはお互いの顔を見合わせて『太陽の風』がブラッドボアを溺死させて、あっさり倒した事を思い出しながら答える。
「所でギルマスはいますか?」
俺は即座に話題を転換する。
ふふ。出来るおっさんの会話術だぜ。
出来てないけど。
何とか誤魔化して俺達はギルマスの部屋へ案内される。
===== ギルマス、レトの部屋 ======
「おまえら、メリッサ村に帰ったんじゃなかったのか?」
部屋に入るやいなや開口一番、プラーニャさんと同じ疑問を口にする。
やっぱりそこ引っかかります?
アイルはジト目で『どーすんの?』って顔で俺を見ている。
「ん、おほん。……実は街を出発した3日目の夜にモンスターと遭遇してしまって森の中を逃げ回ってたら迷ってしまって食料が足りなくなって引き返して来たんですよねぇーあはははは。」
「そうだったのか……大変だったな……。」
俺は引きつった笑顔を浮かべながら先ほどプラーニャさんに話したコピペの言い訳を繰り返す。
しかしギルマスもそれ以上ツッコんでこない………と言うか、いつもの覇気がない。
目の下にクマが出来てるぞ。
「ギルマス、忙しそうだね。」
疲れ切った表情のギルマスにアイルが語りかける。
「忙しいってもんじゃねぇよ。ここ数日、ギガントパイソンだ、ドラゴンが吐いた炎で壁が崩れるだ騒がしい事件ばっかり起きやがって……それの処理やら修繕手配やら領主への説明やらがな……。
それでも通常のギルド業務も停止する訳にもいかねぇし……。
逃げ…………休憩しようとしてもリッターの奴に捕まるし……。」
今、『逃げる』って言いかけたろ。
ギルマスは頭を抱えて深い溜息を付く。
休みなしで働くなんて、完全週休二日制・祝日お休みのホワイトガガン村長と違ってブラックなんだね。
しかもドラゴンの炎でこの街の壁を破壊した云々は俺の仕業だけど……
ごめんさない。
俺は心の中で謝罪する。テヘペロぺロ。
それに逃げるにしても副ギルマスのリッターさんに見つかった時点で捕まるのは明白だ。
ギガパイさん戦でステータスを確認した際、素早さではリッターさんの方が高かったしな。逃げ切れる筈がない。
そうだ。疲れている所、悪いがついでにギルマスには釘を刺しておこう。
これ以上、俺の噂を広められたらタマランチ会長だからな。
「ギルマス、疲れている所、申し訳ないのですが、少しお願いしたい事が……。」
「んー?何だぁ?」
ギルマスは机に突っ伏した状態で虚ろな視線だけこちらに向ける。
今にも眠ってしまいそうだ。
大丈夫かギルマス。
「俺の事は余り口外しないで貰えると助かるんですが……。」
「ん?何故だ?」
「………俺、余り目立ちたくないんですよ。」
「はぁ?目立ちたくないって……お前、変わってるな。冒険者は目立ってこそだぞ?力を誇示して名前を売って稼ぐ!!それが冒険者だ!」
「そーだ!そーだ!!」
『そーだ!そーだ!!』じゃねぇ。ギルマスに同調するな。アイル。
「と、兎に角、余り俺の事は言いふらさないで下さい。今日なんか見知らぬ衛兵に話しかけられていきなり髪を引っ張られたりで大変だったんですからね?後、その衛兵に聞きましたけど、ギルドの広報誌に俺の事を載せるって聞いたんですけど、本当なんですか?」
「あぁ。だってコラム書くのもネタ探すの大変なんだぜ?以前は俺が好きな食材モンスターランキング載せたしな。」
何だそれ。
芸能人が好きな食べ物をランキング形式で発表するみたいな感じか。
それ知りたい人いるの?
「で、その時の評判はどうだったんですか?」
「言い訳ねぇだろ?俺の好き嫌いなんか知っても仕方ねぇ!って冒険者、衛兵連中、ギルド職員からも顰蹙もんだったわ。」
そりゃそうだろう。
広報誌も結構高い(銅貨5枚(¥5,000))しな。
そんなどーでもいい情報はいらん。
「だから!今回はおまえさんがいいネタになると思ったんだよ。俺も楽出来るしおまえさんも有名になれるしで万々歳じゃないか!」
ギルマスのレトはそう言いながら俺の肩に腕を回して来る。
俺は有名になりたくないんだっつーの。
「あ、そうそう、聞きたかった事あるんだ。」
「何ですか?」
「好きなモンスター食材、10個程教えてくれねぇか?」
それ不評だったって今、自分の口で言ったばかりだろ。
俺みたいな新人冒険者のそんな情報を知った所で誰が喜ぶのか。
ギルマスだけが顰蹙買うのはいいとして、俺まで顰蹙買いそうじゃないか。
ギルマス、働き過ぎてで頭回ってないんじゃないのか?
「ギルマス、まさかそれをコラムに書こうとしてます?」
「え!?何でわかったんだ!?すげぇな!」
ギルマス、やっぱり疲れてるな。
「さっき不評だったってご自分で言ったばかりでしょう?それに俺はコラムには載りたくないんですから。」
「え?そうだっけ?いやぁー寝てないからなのか、何か頭がボーっとして言った事覚えてねーんだよなぁ。で、好きなモンスター食材、教えてくれ。」
やべぇ。
ギルマスやべぇよ。
働き過ぎだよ。
会話がなりたってない。
そうだ。お疲れのギルマスに、ファムさんから頂いた特級復癒液で元気になって貰えば話を聞いてくれるだろう。
疲労感に効くかどうか不明だけど、体力と魔力を回復するアイテムだってファムさん言ってたしな。
俺の記憶にある栄養ドリンク的な感じで元気になった気にならないかな?
※ヤバそうな液体だから渡してしまおうなんて思ってないよ!?
「ギルマス、これ使ってみて下さい。代わりに俺の事をコラムには載せないで下さいね。」
俺はコソッと後ろ手に収納魔法から特級復癒液を取り出しギルマスの机に置くと、ギルマスは虚ろな目をしながら特級復癒液を手に取る。
「んー?何だこれはぁ。酒かぁ?…………!?!?」
ガタタッ!!!
ギルマスは椅子から飛び上がり、特級復癒液を両手で手に取る。
「お、おおおお、おま、おま、おままおまおま……」
な、何?どうしたギルマス。
これR15なんだからR18に引き上げる様な事を言うなよ?
「お前!!こここ、これ……特級復癒液!?」
「えええぇえええぇぇぇえ!!」
ええ。そうです。特級復癒液ですよ。
ギルマスが震えながら呟くと、アイルも叫び声を上げる。
何?どうしたの?
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