第52話 お姫様
ラッキースケベとファムさんのコークスクリューを存分に堪能した後、ファムさんからお姫様に気絶している間の顛末を説明して貰い、俺の野盗疑惑も晴れた。
その後、ファムさんはお姫様を連れて一緒に風呂に入り二人の残り湯をありがたく……おいしく使えなかった。
身体に付着した血や泥を洗い流した為、流石に水の汚れが酷くて‥…。
モノホンの変態さんなら喜んでダイブするのかもしれないが……。
俺は水を張り替えて簡単に身体を洗い流す。
「余はフリオセラ王国第二王女の『ゼブナント・アレクサ・フリオセラ』じゃ。お主。我々を守ってくれたのか……。それは大義であった!その方、感謝致すぞ!余の事をアレクサと呼ぶ事を許す!ンフフ。」
流石王族。
先程まで泣きじゃくっていたのに既に王族らしい振る舞いで俺に感謝の言葉を述べている。
自分の事を『アレクサ』と呼んでいいと仰られた時には、腰に手をやり無い胸を張って仰け反って得意満面の笑顔だった。
可愛らしいお子様らしくて微笑ましいな。
すると……
「グウゥウウグゥウウウウ……」
何だ?何の鳴き声だ?
またモンスターか?
俺はキョロキョロを周囲を見回すとまた
「グウゥウウグゥウウウウ……!!」
と先ほどより大きく唸り声が周囲に木霊する。
俺はマップを開き周囲を確認するが俺達の周囲に敵性を示す印はない。
何だ!?この音は!?
俺が一人でキョロキョロしているとファムさんが一言。
「パンツ殿…………お嬢様のお腹の音です……。」
「………///んもぉおおぉおお!!言っちゃダメなのだぁぁぁああ!!ファムのバカァァ!!」
アレクサ姫は涙目で恥ずかしそうにファムさんをポカポカ叩いている。
フフ。カワイイ。
するとアレクサ姫は俺をキッ!と睨み付ける。
「お主!!この事を他言したら死刑じゃぞ!!」
「「死刑!?」」
俺とファムさんが同時に叫ぶ。
死刑て!!
んな理不尽な!!
一応、御命を守って来たのに腹が鳴った事を他言しただけで死刑に処されるの!?
「あの、パンツ殿……お嬢様の王族ジョークなので無視して頂いて結構です。」
ファムさんは苦笑いしながらそう話すが……
「冗談ではないのだー!!本気なのだー!!!」
と御姫様が申されておりますが……。
王族ジョークってあるのか……?
「はいはいー。そうですねー。本気ですねー。分かりましたよー。お嬢様―。」
ファムさんは慣れているのか、適当にアレクサ姫をあやしている。
しかし確かにアレクサ姫のお腹の音……。
野盗どもから解放されて安心したのかお腹が空いたのかもしれないな。
「ファムさん、非常食とかないんですか?」
「食料などはもう一台の馬車に……。簡単な非常食は私も持ってはいるが……。」
するとファムさんは収納袋からビーフジャーキーみたいな干し肉を取り出す。
それ、硬いし滅茶苦茶ショッパイですよね。
お姫様のお口には絶対に合いそうにないし噛みきれないだろう。
はて、どうするか。
そう言えば、野盗に襲われる前に真っ二つにしたブラッドボアがいたな!あいつを焼いてみるか。
「ファムさん、ここで少し待ってて下さい。直ぐに戻りますので。」
「どこへ行かれるのだ?」
「食料調達に行ってきます。」
俺はそう言い残し、森の中に入りファムさん達から見えない場所に来ると空間移動で真っ二つにしたブラッドボアを倒した場所へ移動する。
「くっさ。獣臭が凄いし野盗の死体もそのままだから辺り一面血だらけだ。さっさともう一台の馬車とブラッドボアのお肉を回収するか。」
周辺を捜索すると、森の少し外れた場所に一台の馬車が横倒しになっていた。
あれか。
馬車を確認するが、周囲に人やモンスターの気配はない。
「取りあえず、馬車のまま回収してみるか。」
俺は横倒しの馬車に手を翳し、収納魔法を発動させると、その中に馬車が収納される。
これ、どのぐらいの大きさまで収納できるんだろ……。
ゲイブルさんは城まで収納できる奴が昔はいたとか言ってだが……。
ブラッドボアのお肉も回収……する前につまみ食い。
俺は野盗の剣を拝借して、ブラッドボア肉を手頃な大きさにカット。
そして収納魔法から胡椒を取り出してまぶし、剣に刺してから火魔法で焼いてみる。
おー。肉の焼けるいい匂い……。
うん。先日、『太陽の風』のリーダー(仮)のシェールが焼いたみたいに上手く焼けた。
一口食べてみると中々15……じゃなくてジューシーな肉汁が溢れ出て来て美味しい。
この前食べた奴より美味い。
魔石持ちの魔獣とそれ以外じゃ味が違うのかな?
それとも小さい個体の方が柔らかかったりするのか?
羊とかも子羊の方が身が柔らかいしな。
取りあえずこの焼いた肉は食ってしまおう。モグモグ……。
ブラッドボア肉を回収した俺は再び空間移動を発動して、ファムさんの所へと移動する。
「いやいや、お待たせしましたぁ。」
「パンツ殿。早かったですね。食料調達とは野草でも取って来たのですか?」
「えー!野菜嫌いなのだー!!」
野菜嫌いなのか。アレクサ姫。
好き嫌いしているとoppai大きくなりませんよ?
知らんけど。
「いえ、これをちょっと取って来ました。」
俺は収納魔法からブラッドボアお手頃カット肉を取り出す。
「!?パパパパ……パンツ殿!?今、何を?」
「え?いやだからこのブラッドボアのお肉を……」
「そうじゃなくて……今、収納魔法を……!?」
「?……はい。使いましたけど。何か?」
「土、火、水魔法だけではなく、冥魔法まで……」
ファムさんは驚きの表情のまま固まってしまった。
あー……これはやっちまったか。
複数属性魔法使いだけでも珍しいのに、更に希少魔法の冥魔法まで使うとなると警戒されるか……?
「のぅ!のぅ!!ファム!どうしたのじゃ!!わらわはお腹が空いたのじゃ!!」
「ハッ!あ、あぁ……申し訳ありません。」
固まっているファムさんの腕を揺さぶるアレクサ嬢は、俺が使った冥魔法については特に驚いてい無い様子だ。気付いてないだけなのかもしれないが。
俺は取りあえず何事も無かった様に肉を取り出し、薪を拾ってきて火魔法で火をつける。
そして剣に肉を刺して先ほどつまみ食いした様に胡椒をまぶして焼いて行くと油が滴り落ちてジュウジュウと煙が舞う。
「ゴクリ!グゥウウウウウグゥウウウウウ……!」
アレクサ姫様の腹の音がまた木霊する。
恥ずかしいのか顔を赤くしてファムさんの後ろに隠れてしまった。
カワイイ。
「はい。焼けましたよ。ファムさん。これお姫様にどうぞ。」
「あ、あぁ。有難う。」
「わ、わらわはそんな何の肉かも分からぬ物は食べぬぞ!!」
「グゥウウウウウグゥウウウウウ……!」
身体は正直だね。
ん?食べたいんだろう?ん?これが欲しいんだろぅ?ほら?もうそんなにビチョビチョにしちゃって……。
アレクサ姫の口からは滝の様に涎が垂れていた。
「お嬢様。では取りあえず毒見の為に先に頂きますね。」
ファムさんは肉をナイフにで一口大に切り、口へ放り込む。モグモグ。
「!?これは肉を噛む度に肉汁が口の中に溢れ出して来て、また胡椒のピリッとしたスパイスが効いていて美味しいです!」
そうだろうそうだろう。
ブラッドボア肉、うまし。
空腹は最大の調味料って事もあるのかもしれないが。
「さ、お嬢様、どうぞ。食べないなら私とパンツどのだけで頂きますよ?」
「ふ、ふん。す、少しは味見して見ても良くってよ!」
「はいはい。ではどうぞ。」
ファムさんがナイフを取り出し一口大に切り取った肉をフーフーして冷ましてからアレクサ姫様の口元へ持って行く。
するとアレクサ姫様はパクッ!っと肉に齧り付きモグモグと食べ始めた。
その顔はニヤついていた。
どうやらお気に召したようだ。
それからはタガが外れたかの様に肉を貪り満腹になったお姫様。
「ふ、ふーん。中々、やるじゃない?お主、わらわの専属の調理人にしてあげても良いぞ!!」
ただ胡椒ふって焼いただけなんだけど。
でも素材のブラッドボア肉が良かったのかしれないな。
俺とファムさんも腹を満たしてしばしの休憩を取る。
アレクサ姫は馬車の中で寝てしまった。
ブラッドボア肉……美味いから近くにいたら適当に狩っておこう。
俺の記憶にあるなじみの料理を再現するのだ!!ハンバーグとか生姜焼きとか豚汁とか色々と!
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